ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ドラゴン・ガール

 

そもそもブルネイの場所を確認することからスタート。インドネシアでもなくマレーシアでもなく、ブルネイなのね。全然差異がわからなくて申し訳ないぜ……

少女がシラットをやるという話なんだけれども、そもそもの問題としてブルネイの文化圏で女性が格闘技を行う意味みたいなのがあんまりよくわかんないんだよな。シラットってザ・レイドでやってるやつで、カランビットナイフとか使うやつのイメージしかない、が、女性が行うのってメジャーだったりするのだろうか? 普通こういうのって女性の抑圧と解放みたいなのがテーマになり得ると思うんだけれども、そこら辺を軽やかに無視しているような感じもして、そこら辺はなかなか面白いなーと思った。っていうかいきなり車で学校に登校するあたりとかビビるよね……あれは理想化された家庭なのか、それともシングルファーザーで司書でもあのくらいの生活ができる社会的豊かさがあるのか……天然資源あるとかそういうことなのかな?

それにしてもストーリーは雑というか、主人公の女の子に全然感情移入できなくてビックリした。本当にアレでいいのだろうか……性格クソ悪いし、それが改善されたようにも思えないし、場当たり的に改心しちゃうし……っていうか、師匠の半身不随の原因が父親にあるって、あんな簡単に解決させて言い問題じゃないと思うんだよなあ……

ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言

 

ハイライトはやっぱり、元SSの人の若者との対話だよなあ……人間として向き合って話し合うことで、きちんと伝わるものがある、あって欲しい、と強く願わされる。抽象化された主義信条ではなくて、人間が生きる中で自分と向き合って、他者に対して言葉を投げかけることの重さを強く感じさせられて、いやー、ちょっと見入ってしまいますよね。

ファイナル・アカウントっていうタイトルが示すとおり、当時の時代を生きたドイツの人たちにインタビューをしていて、その多くがナチスを容認した側なワケだけれども、そういう視点で切り取られる作品って考えてみるとなかなか貴重よね。迫害された側や迫害した側については語られるべき動機が強くあるけれども、この作品で示されているのは、それを容認する世の中の空気で育った、そのどちらでもない人間の話なワケで。しかも少なくない数の証言者がまだ子どもで、責任能力がない段階から、ユーゲントの教育を受けていたりしたわけでしょ? そういう立ち位置で、自分の人生とナチスドイツ支配下の体験を語り直すってのは、ものすごく大変なことだけど、しかし価値のあることだなあと思わされるドキュメンタリーでした。

エリックを探して

 

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  • スティーヴ・エヴェッツ
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ケン・ローチはたぶん好きなタイプの作家なんだけれども、今までそんなに見てないんだよなー。題材が重めでちょっと再生ボタンが気乗りしない作家というのが正直なところ。いやまあ、見ればめっちゃ面白いんだけれどもね……

でまあ、この映画ももちろん面白い。何はともあれイギリスのサッカー文化の強固さが全面に出ているわけだけれども、その他にも家庭の崩壊とか少年のギャング化とか、まーいかにもイギリスで問題になっていそうなことがガンガン出てきていかにもだなーとなる。ドラッグが取り上げられてないのがちょっと不思議なくらい。

全体的に面白いんだけれども、印象的だったのは全体の問題がバーでの話し合いがきっかけで解消に向かうところかな。その場所で同じ地元のサッカーファンが団結して行動することで問題が解消するわけだけれども、それが職業人の連帯で、労働組合の力みたいなものにも繋がって見えるのがなるほどなーって感じ。っていうか、公的機関の介入を受け入れない辺りも、うひーイギリス! って思っちゃうよな。

それにしてもカントナって何者なんだ。サッカーに意識を向け始めたのはベッカムが世界的に大活躍して以降で、当時の自分はギリギリイメージが掴めないくらいの選手なんだよなー。映画の内容を見ると、むしろピッチの外でもカリスマ性を発揮していたタイプよね? そこら辺のニュアンスも実感出来たらもっと面白かったんだろうな。

我ら山人たち

 

なんか何の気なしに再生を始めたが、すごいドキュメンタリーだな。言葉少なに山の人々の生活に密着して、淡々と追いかけるという……

何が驚くかって、この時代ですでに少子化やら限界集落やらの話をしていることだよなあ。この時代は経済が発展して交通の便も良くなって、人々の生活が流動的になっただろうから、いずれ人々が暮らしやすい場所に流れていくのはわかる。観光資源として地方を掘り起こす動きもそこまで出てないだろうから、漠然とした不安があるだろうことも想像に難くない……のだけれども、それをすでにこの時代にフィルムに収めているのが文化の懐の深さって感じがするなー。今日本で撮ってても全然違和感ないもんなー。

まあそれにしたってさ、あんなところで暮らしたらそりゃ雪崩に巻き込まれるよね。見ていて「えっ? ここ、冬大丈夫なの!?」って疑問が何度も頭をよぎるもん。雪崩で隣人を掘り起こしたエピソードとか普通に出てくると、なんかもう常識が違いすぎて言葉がない。ってか、住人のためにパンの修行をしてくる話とか、普通に想像の上を行かれちゃって、現地の人の生活に思いを馳せちゃいますわ。

パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト

 

「弱虫ペダル」、2年生が終わったって聞いて一気読みして「うーん、この読みやすさはすごいなあ……」と感心したばかりで、勢い余ってクライマーのドキュメンタリーを見てしまったのだった。

でまあ、こういうスポーツ選手のドキュメンタリーって、普通に業績を追いかけていくだけじゃイマイチ詰まんなくて、さーてひとりの人生をどういう角度で切り取るのかな……と思ってたけど、まあ普通にドーピングの話ですよね。「イカロス」もそうだし、アームストロングのドキュメンタリーもそうだけど、いやー、これだけドーピングがデフォルトの競技があること自体が色々考えさせられるよねえ。そしてその裏にギャンブルが絡んでて選手への脅迫やら、検査の不正やらがありえるとなると、なんかヤバ過ぎてこんな競技がよくもまあ今日まで続いてるな……という気持ちになる。ほんとアスリートに自然と健全な魂なんて宿るはずないよね。

しかしまあ、これが競技者本人の問題ではなく、むしろ周囲の環境の問題である、被害者である側面も強い、みたいな内容なのが結構新鮮だよなあ。こんな状況整えられたら、個人でドーピングの誘惑に勝てない方がむしろ自然と考えた方が良いよね……

イン・ザ・スープ

 

ブシェミを見たのでもう一本なんかみたいなーと思ったらインデペンデント系で一作出てきたので。

あれ? このオッサンもしかして……と思ったらマジでジム・ジャームッシュだったの笑った。裸の番組の元ネタがよーわからんが、映画ファンはビックリしちゃうよね。

変な人に引っかき回される系の映画ってあるけれども、こういう悪い爺さんがストーリーをブン回していくのは、今まで見たことのない構図でなかなか愉快。貫禄を立てるためのエピソードにも事欠かず、存在感あってとても良いですねー。隣人のヒロインもかなりインパクト強めに作ってある作りのはずなのに、むしろ霞むくらいだもんなー。

まあ、ラストはちょっと綺麗にまとめすぎ? という感じもするけれども。ああいう風に命を失うのは、話のまとめ方としては安易な感じもしなくもない。

しかし、「イン・ザ・スープ」って慣用句として「窮地に陥って」って意味なのね。結経インパクトのあるタイトルだから、スープが出てくるのをじっと待っていてしまったよ! っていうか、村上龍の「イン・ザ・ミソスープ」ってそういう意味のタイトルだったのかと今更ながらに理解した。

俺たちスーパーマジシャン

 

「俺たち~」シリーズまだ見てないのあったか、と思って再生したら、スティーブ・ブシェミとジム・キャリーが出てるとか、結構ビックリサプライズ。このシリーズにブシェミが出るイメージがない、というかそもそも最近の映画でそんなに見た記憶がない、というかむしろ昔の映画に出すぎって話か……

映画の内容はまあいつもの感じでいつもの感じです。ギャグもそこまでドギツイ感じではなく、まあふつーにダラダラ見るのにぴったりな感じではある。

ジム・キャリーは相変わらず顔芸で見せてくれるし、もうめちゃくちゃショーマンって感じでさすがだなーって感じなんだけれども、一方ブシェミが全然ショーマンっぽくないのも笑っちゃうよな。カリスマ性とかある感じじゃないのでそれもまた味になってる。アジアの恵まれない国でマジックのオモチャ配っちゃうみたいなしょーもなさ。

しかしそれにしても、ショーマンのショーでありながらも、そこら辺の本質みたいなのに全然切り込まないのは逆にすごいよなあ。普通もうちょっとメタっぽい構造で何か言いたくなるところじゃん。それを「気を失うドラッグを撒いて大逆転だ!!」だもんなあ……いやー、ほんと良い意味で雑に見終われたよ。