ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

悪魔のハイウェイ: ジョン・マカフィーの数奇なる人生

Watch Running with the Devil: The Wild World of John McAfee | Netflix Official Site

マカフィーは、この映画に繋がる直前くらいまでの内容を追いかけていて、スカトロ趣味とかがこんなにあからさまにされてていいのかよ!? と思ったが、この映画では密着取材でその実際の生活を追いかけていて、まーその程度どうってことないんだろうなーとも思った。

っていうか薬物とアルコールのやり過ぎで被害妄想に追い立てられる……というのはいかにもベタな症状だけれども、この人の場合それに「世界屈指のセキュリティソフトを作成したハッカー」という属性が入るからミョーな真実味が生まれてしまうんだな。セキュリティソフトなんで内側でどんなデータを引っ張ってきてるか知れないわけで、時代的にもコンプライアンス意識なんてどーだったかとかわかんないから、もしかしたらそこら辺の繋がりで色んなデータぶっこ抜いてるかもしれないなあと思うし、そのぶっこ抜いたデータから世の中に対する不信が育ったとしてもそりゃあわからんでもないなあ、と思う。

しかし惜しいなあと思うのは、取材する側の立ち位置がよくわからないところ。これは密着取材であることに価値があって、しかも相手は周囲を振り回すタイプの人間なんだから、もう少しインタビュワーが側の人間性を明確にすることで、視聴者を感情移入させることができたんじゃないかしら、とは思った。現状ちょっととりとめがない感じがすごくする。

萬川集海

 

最近忍者モノにガンガンあたっていて、「現代の忍者の描写ってなんかある?」と思ったら、小池一夫先生のマンガがあったので、おーこれはと思って読み始めたのだが……

いやー、なんかこー懐かしさに笑ってしまうな。いきなり冒頭から「日曜日に学校でイベントを起こすと他校の不良が襲ってくるので運動会が開けない」という入りで爆笑。平日は学校があるから妨害に来ないって、不良マジメに学校に行ってんのか最高だな……で、その不良の襲撃を阻止するために忍者にヘルプを頼む、なぜなら校長も忍者だったからだ! って、その無理矢理の話の作りの無理矢理さが、もう一周回って愛おしいくらいに感じられてしまうよなー。

いやはや、こんなスケールでどーやって話を回して行くの? と思ったら、次のエピソードから急に敵が国際化して、ヨーロッパで武器密輸だの美術品だの、流れるように小池一夫ワールドに突入していって、それも最高に面白かった。手癖感が半端なくて、まあそれも良しって感じ。

そして何より、容赦のない直接的な性行為の描写だよなー。いやよいやよも好きのうち的なニュアンスで、ガンガンヒロインにアプローチして、それが世界観的に全然OKなのは、うーん時代って感じ。いやしかし、小池一夫先生のマンガでは、一方的に女性が男に惚れるパターンが多かった気もするので、そこらへんちょっと新鮮ではあった。

トルコのもう一つの顔

 

な……なんだこの本は……お、面白すぎる……

まー例によってひろゆきとあーだこーだやっているのを見て思わずポチってしまっていたわけですが、いやーさっさと読むべきだった。チョー面白い。『五色の虹』で、中国政府の思想弾圧の話が仄めかされていて、いやーこんなん怖すぎだろ……全体主義国家はやべーなーと思ったけれども、似たような感覚をこの本で感じるとは思わなかったぜ。時代的に大分前の話であるとはいえ、トルコには親日国家みたいなイメージで緩い共感があったので、大変ビックリしてしまったよ。いやー、日本に住んでると本当に民族とかに対する認識が雑になるなあ。あいや、でもこの本の内容だと、トルコで教育を受けているエリートもそのように教え込まれているわけで、自分の住んでいる場所がどうこういう問題でもないのかしら……

貧乏旅行のルポルタージュを読んでいたら、学術的興味に引っ張られて、ズルズルとナショナリズムの問題に踏み込まざるを得なくなっていく流れが、その不気味な予感と合わせて凄まじい牽引力がある。そしてクライマックスは、国家の後ろ盾を得ての現地調査で、丁々発止のやり取りをしたあとに、「これが最後」と覚悟して各地を回るその姿は、いやー、ちょっと読んでて涙を禁じ得ないですねコレ。これだけ筋金入りの人間に、民族の差別みたいな問題で討論するなんて、いやーさすがに怖いものがなさ過ぎるって感じがしますわ。

そしてあのラストの切れ味たるや……いやー、ほんと素晴らしいルポを読ませていた抱きましたよ。

日本インテリジェンス史 旧日本軍から公安、内調、NSCまで

 

正直公安ってよくわからないよー、ということが立て続けにあって、そろそろちゃんと学ばねば、と思っていた所にちょうどいい本があって大変良かった。戦後日本の歴史を辿りながら、諜報機関の変遷をずらららららっと概観できる、自分のニーズにピッタリ合った本だった。まあそれでも、縦割りの組織の顔が見えないと言うか、それぞれの固有性みたいなのが普通に生活していると見えづらいので、読んでて「えーと、この組織は……」みたいな感じになっちゃうけどね。

でまあ、GHQの影響と冷戦で日本ではインテリジェンス機関が機能しなかった、というか存在しなかった……というのはなるほど納得。戦前の反省みたいなのも含めてアレルギー反応が起こったのも大変よくわかるし、そんな中で反共の旗印はキッチリ機能していた、というのもなるほどアメリカの影響が強い国でございますね、となる。

そしてそんな中でオウムがあって、北朝鮮の問題があるわけか……そりゃまあ、日本の安全保障体制も変わってきますわね。っていうかさすがに、テポドン飛んできたときにマトモに情報分析できなかったというエピソードにはビックリした。だからもちろん独立した国家として、それに対応する機関が必要、という理屈は大変わかるけど、アレだけ民主主義を標榜するアメリカでもCIAだのNSAだのがああいう風に言われてるのをみると、いやー不安にはなっちまいますよね、やっぱり……

批評の教室 ――チョウのように読み、ハチのように書く

 

言うまでもなくここの文章は批評なんておこがましいもので、雑な感想しか置いていないと自認しているわけだけれども、自分としてもちょっと批評的な観点で作品の感想を言わなければならない機会はあるので、一度本職の人の頭の中を覗いてみたいなーと思っていたのだった。

でまあ読んでみたわけだけれども、一方的に共感してしまう。もちろんバックグラウンドの知識の量やら、周辺の資料にあたる姿勢の違いやらは、自分とは全く異なるワケだけれども。筆者もTwitterなんかで見る限り、社会とのコミュニケーションにある種の困難を抱えているのがチラチラ見えるように感じていて、そういう自分を引き受けつつも、世の中と適度な距離を取っていくには、やっぱりこういう自分なりのルールを打ち立てていく必要があるよなあ、と自分の生活を鑑みながら思う。批評みたいな、他者との意見の相違があることがポジティブ、というか必須な行為においては、そういうある種の切り分けみたいな感覚がどうしても必要になるよね、とは思う。

それにしても、自分で観ていて全然よくわからなかった『あの夜、マイアミで』について、「前提知識が難しいよね」みたいな話をされていたのが大変面白かった。あれだけたくさん映画に触れて、英語もバリバリ読める人でも、文化の文脈を読み取るのは大変なわけだよなー。いや、だからといってもちろん、そこを学ぶ努力を放棄していい、ってワケじゃないでしょうけれども。

クライ・マッチョ

 

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  • クリント・イーストウッド
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おお……すごい……とうとうここまでいったか……

いやー、宮崎駿が『風立ちぬ』を撮ったときも、結構行くとこまで言っちゃったなーと思ったけどさー。クリント・イーストウッドはもう彼岸まで行っちゃってる感じがすごいよねえ。どう考えても国境を越えたメキシコが彼岸にしか思えないよ。いや、でもクリント・イーストウッドってここ数十年間、ひたすら「老い」をテーマに映画を撮り続けてるわけじゃん? 枯れて、枯れて、枯れきって、そして行き着いた先がこの映画って感じが、すごくするよねえ。あのヨロヨロの歩き方で映画一本、しかも主演・監督を務めるって、空前絶後って感じだよなあ……

クリント・イーストウッドはセルフ・パロディも散々やってきたと思うけど、まさかマッチョがニワトリってのは度肝を抜かれるよねえ。ニワトリを抱きながらのロードムービーという、その状況だけでも「映画」って感じだけれども、画面の強度を保つだけでなくて、暴力沙汰を切り抜けるためのきっかけがことごとくニワトリになってるのは笑っちゃうなー。車なんて盗んじまえばOKだという割り切りとか、メシを食いにいっただけで急に女ができちゃうとか、現地で急にドリトル先生になっちゃうとか、この力の抜け加減、本当に凄いなーと思います。善し悪しじゃなくて、ただひたすらすごい。

ペプシよ、戦闘機はどこに? ~景品キャンペーンと法廷バトル~

www.netflix.com

U-NEXTでコカ・コーラとペプシコの激しいシェア争いのドキュメンタリーが予備知識としてあったのもあって、なかなか面白かった。あのドキュメンタリーでは、切磋琢磨することがいかに良い影響をもたらしたかみたいな雰囲気あったけれども、まあ普通に考えて過剰な競争は歪みを生むよね。特にコーラなんて、まだ判断力がないとされる未成年をターゲットとしているわけで、まあこういうことが起こるのも自業自得って感じだよなあ。砂糖の問題とかでここら辺から規制が入ったりしてるわけでしょ? 行きすぎた経済競争にトラブルシューターの弁護士があれやこれやとやってきて、うーんやっぱりコーラってのはアメリカの象徴なんだなーみたいなことを雑に考えてしまうね。

それにしても、途中で出てくるフィリピンのクジのエピソードはほんとひどすぎるぜ。こんなのどう考えても収支が合わないに決まってるじゃん。ペプシコーラくらいブランディングにこだわってシェアを手に入れた会社が、なんであんなアホなキャンペーンやっちゃうんだろうなー。マジで謎。

そしてペプシチャレンジの結末には爆笑。ってか敵も味方も入り交じってのペプシチャレンジだから、それぞれがどっちのロゴが出てくるのかが一瞬わかんなくて、それもまた面白いところだよなー。