ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

移動都市/モータル・エンジン

 

【Amazon.co.jp限定】移動都市/モータル・エンジン ブルーレイ+DVD(特典映像ディスク付き) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2019/08/07
  • メディア: Blu-ray
 

いやーコレだけのトンデモを映像の力でねじ伏せちまおうというその意気はさすがピータージャクソン組! しかしまあピータージャクソンの過剰さってなんか知らんけど下品さがあって、それが堪らん魅力になっている感じがするけれども、この話は別にそんな感じもしなかったなー。もうちょいガツガツやってもらっても良かった。あるいは序盤で圧倒的な存在感を見せた移動都市そのものの迫力みたいなのが、後半あんまり生きなかったのが悪いのかもしれない。結局へんなビームで戦う話になっちゃって、そこは巨大感あんまり関係ないしなー。

まーしかしなんつーかコレだけトンデモやってるのに脚本はスーパー寓話をやっちゃっていて笑う。まあ元々都市が都市を食うという時点で寓話っぽいっちゃー寓話っぽいけど、クライマックスの「お父さんvs大量の女性陣」のバトルはさすがにやり過ぎ感か上で爆笑した。ふだんそういう目で見ない俺からしたってそう見えますわアレ。わざわざ主人公の役割まで交代させてんだもんなー。

まあそもそも「ロンドン」が移動要塞で「アジア」を侵略する、という時点でヤベーのに、ロンドンのキリスト教的な大聖堂から蛇がグイッと鎌首もたげ、アジアの壁にどばしゃーっとビームで穴を開けるとかちょっと露骨すぎやしませんかね。そして暴走して停まらないロンドン。女性陣がよってたかって暴走を止めようとハッスルハッスル! いやまあわかるんだけど、うーん結構難しい題材ではありますよねー。

 

計算が導く予測

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ドキュメンタリー映画ってあったから見たんだけど、これ映画の括りでいいのか? 良くできたテレビドキュメンタリー、という感じなんだけれど。

しかしまあ内容的にはなー、あんまり新味がなさ過ぎてなー。ギャンブルから統計学が生まれたとかいうのはふつーに知ってることだし。トランプvsヒラリーの予測が外れてしまったこと辺りは結構興味深くてそこだけでもいいからちゃんと踏み込んで解説して欲しかったけれど、そこもいつの間にかサラッと通り過ぎちゃったからなー。あとマネーボールの人が出てきたのも大変良かったけど、OPSとかよくわからん数字を統計でつかうのはどーなんだとかいう気持ちは当然ある。

あ、でも「集合知」とかいって牛の重量を当てるクイズをやっていたのは大変良かった。俄には信じがたいんだけど本当に平均したらそんなに近似値出るのかねえ? まあ全く推測の手掛かりがないわけでもないからうまく行く……のかしら?

あと最後にディープラーニングが出てきてブラックボックスの問題が取り上げられてるのはうんちゃんとしてるなーと思った。まあ最近Twitterでも色々あったけど、効率の良い社会をつくることと人間社会の思想は対立して当たり前だから、そこら辺はこれから未来のテーマに確実になるところだよね。でもそれって統計学ではもうなくない? とはちょっと思うけどどーなんだろ。

ビクラムの正体: ヨガ、教祖、プレデター

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こういう肉体をいじめる系のヤツはカルトの温床になりやすいよねー。演劇もそういう下地があるって言ってたのは平田オリザだっけ?

しかしまあこれって大きな括りで見るとふつーのカルトのレイプ事件って感じよねえ。教祖なんだからもうちょっとカリスマあってヤベーことを連発してるのかなーと思ったら、いやまあそのくらいのことはやってるでしょヨガ教室とか思ってしまう。偏見ひでえ。まあしかしほら、ニューエイジで森の中に合宿施設つくっちゃったマカフィーなんて、穴空きハンモックに女性座らせてスカトロ三昧だったわけでしょ? いやー、やっぱりカルトの金持ち教祖ってそのくらいやってもらわんと今更インパクトないよなーそういう問題ではない。でも日本だとオウム真理教とかまあとんでもなかったわけでなー。

この作品がもしなんか衝撃を与えたとするならば、それはやっぱり「あのセレブも受けたあのヨガが」みたいなところが理由になっているのかしら。まあ確かにそれならわかるけど……しかしなー。カルトの人間がセレブっぽく振る舞うのはごく当たり前のことにも思えるしなー。

美術館を手玉にとった男

 

美術館を手玉にとった男(字幕版)

美術館を手玉にとった男(字幕版)

  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: Prime Video
 

うーんこれは……なんともコメントに困る……

いや、贋作って普通そのものが何かの動機をもって制作されるというか、強烈な意図が籠められているようなイメージが、ある。名画の模倣に心血を注ぐって、やはりそこには歪んだ強烈な欲望がないと成し遂げられないのではないか、みたいな印象。そしてそれを用いて設けようとする、これまた人間の欲望に長けた画商、みたいな図式。

を、この贋作作家は軽々と飛び越えて、自分たちのもっている物語の言語がぜーんぶ無効化されちゃうような感覚が、ある。彼には自己顕示欲すらない。オリジナルの画家に対するリスペクトだって、全然感じているようには思えない。だってふつーテレビで映画を垂れ流しながら芸術的営為に臨めるはずないとか思っちゃうよねー。

でもって贋作作家が精神疾患を負っていて独り暮らしで決して裕福というわけじゃなくて、という境遇もまあコメントをしづらくしている。多分この人にとって悪意は全くないし、贋作をつくることでしか社会との関わりを持つ術がないんじゃないだろーか、みたいな感じ。かといって贋作を贋作として展示する展覧会に、なにか積極的な意味を見出している感じでもないんだよなー。

いやー、全然言語化できない。教訓あるお話に落とし込めない。そんな感じ。

世紀の贋作画商: 「銀座の怪人」と三越事件、松本清張、そしてFBI

 

文庫 世紀の贋作画商: 「銀座の怪人」と三越事件、松本清張、そしてFBI (草思社文庫)

文庫 世紀の贋作画商: 「銀座の怪人」と三越事件、松本清張、そしてFBI (草思社文庫)

  • 作者:七尾 和晃
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2014/02/04
  • メディア: 文庫
 

うーんこれは合わない。全然合わない。なんだろう、語り口の問題なのかしら。これだけ強く「私」を押し出してその視点で社会を切り出すスタイルが、しかしこの題材に合っているかというとあんまりそういう感じがしない。分厚い内容にもかかわらず出来事が散漫で、もうちょっとこう内容を整理してくれよと思う。次々出てくる魅力的な登場人物よりも、それを観察する「私」の方が前にデデデンッと出てきてしまっている感じで、いやまあそういう作品のルポもたくさんあるのはわかるんだけれども、そういう作品ってもう少し強く取材対象と私の関係を明確に意味づけしてあるように思うんだよなー。

この作品はそういう意味づけをしてないとは思わないんだけど、でもあんまりそこに興味が持てない。そもそもバブルの日本を象徴する事件、みたいなお題目をデカデカと掲げているけれども、そこら辺がピンとこないんだろうなー。バブルの時代に社会を見ていたら感じ方が違ったのかしら……

あるいは、イライの人物像に全くピンときていないのが原因なのかもしれない。魅力的な「キャラクター」として描くには格好の題材だと思うんだけど、全くどういう人物か印象に残ってないんだよなあ……自分の読み方が散漫だったのかしら……?

 

オール・セインツ 幸せのはじまり

 

オール・セインツ 幸せのはじまり (字幕版)

オール・セインツ 幸せのはじまり (字幕版)

  • 発売日: 2018/04/04
  • メディア: Prime Video
 

いやーこんな実話に基づいたいい話されちゃあズルいでしょ……

とにかくこんなにも底抜けに性善説というか、他者に親切にすることが無条件に肯定される話を見せられるとびっくりしてしまうよ。そしてその思いやりの根っこに宗教が存在する、というのは日本で暮らす自分にはあまり実感が湧かないのだけれども、まあしかし確かに説得力があるよなーと思う。

さらにその説得力をマシマシにしているのは「畑を耕す」という超象徴的な行為で、それによってじじばばと難民の間にコミュニティが生まれてしまうとか、いやあめちゃくちゃガード不能にいい話ですね、と思ってしまう。

いやしかし一方でアメリカの農業がいかにシステム化されて弱者を搾取して、という現実もあり、それが実際作中でも触れられてはいたよね。っていうか工場で12時間働く難民の日常はスルーされているよね。

逆に考えるとそういう非人道的なシステムで社会が成り立っているからこそ、良識や思いやりによって教会がコミュニティを成立させるという話でもあり、うーんやっぱり単にいい話とニッコリできる内容でもないような気がしてきたぜ……

監督・出演陣が語るアイリッシュマン

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あ、これもそんなに長い作品じゃなかったのね……しかしまあその内容はクッソ濃厚で大変良いです。

ってかまずこの4人が並んでトークしてるだけでももう最高じゃないですか。スコセッシはおしゃべりだなーって感心しながらも、『レイジングブル』やら『ミーンストリート』やらを持ち出して、デニーロがアルパチーノがペシが映画を語ってるのもう最高。

印象に残るのはジョー・ペシの立ち位置で、一番はっきりと映画へのスタンスを語っていて大変楽しい。いやまあ一度引退しているから芝居そのものについても色々考えることがあったんだろーなー。

一方ロバート・デニーロとアル・パチーノはまあインタビューされなれてますよねって感じで、リップサービス含めて楽しい話をしてくれて良かった。しかしまあどうしたってテクノロジーと老いの話になっていきますよね。背骨をCGでしゃんとさせる、みたいな話にはどーしたってリアリティがある。『運び屋』の冒頭もだいぶ曲がってたもんなー。