ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

マシニスト

 

マシニスト [Blu-ray]

マシニスト [Blu-ray]

 

んー、たぶんこれきっと見たことがある映画だと思うんだけど、内容全く覚えてなくて見直したらうーんやっぱり内容が完璧に脳内からスッポリ抜け落ちていて、しかしこの内容だったらしょうがないよなー。

わりと序盤からなにが真実かわからない作品であることは伝わるので、じゃあそういうなかでなにを面白く観るのかなーと思ったけど雰囲気はやっぱりちゃんとしてますねー。大量に出てくるカーチェイスのシーンがとても良くて、音楽も相まって『サイコ』とか『めまい』な感じがとても素敵でございます。あとは左右の分岐の意識の植え付け方も最高に格好良くて、映像作品ってああやって意識に暗喩を吹き込むんだなーとても感心させられました。あと普通にお化け屋敷の恐ろしさが良いのもある。まーあそこはストーリー的にもだいぶ大事なところですからね。

まーしかし全体を通すと結局そんな話かよーという肩透かし感もなくはなく、見終わった時にもうちょっとしっくりきてもよかったのかなあ。アイバンのワケのわからなすぎるところも微妙だけれども、やっぱりわざわざ冒頭にまで持って来た簀巻きグルグルパートとか、あれ全然しっくり来なくてなー。なんであれ入れる必要があったんでしょうか? 謎。

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

 

 『ドローン・オブ・ウォー』は日々の繰り返しの映画でありましたが、こっちは1回ポッキリのシチュエーションを気合い入れて描いた作品でありますね。当然全然見所も違ってきていて、この映画は凄まじくドラマチックにフィクショナルにテーマをガツンと見せるつくりになる、と。こういう題材をこういう手つきで描くことの是非はあるかもしれないけど、基本的には面白い問題提起だなーという感じで好感が持てました。

しかしまあ、シビリアン・コントロールって難しいもんですねー。この作品のつくりからすると、「なんで目の前のテロリストを殺せないの!?」というところに意識が行きがちで、視聴者の意識もわりと「子供がいるから」以外の抑止力ってないつくりなんだけれども、じゃあ子供がいない状態ならノリノリでミサイル打ち込んでいいんですか? みたいな風には思ってしまう。ぶっちゃけイギリスの国内にいたら同盟国がどーとか別に関係ないでしょ。テロリスト殺せ! みたいな。

そうそうイギリスが主体になってるのも面白いところだよなー。アメリカが対比されて「なんも問題ないからミサイル早撃て」って急かすのには爆笑したけど。イギリス的には自国のことをこういう風に認識してるってこと? いやあそれはそれで大変興味深いところでありますね。

しかし最後にいかにもヒューマニストな政治家を愚かに描いた後、軍人が超正論で論破しちゃう流れはずいぶん冷めたなあ。っつかその程度の意識が天秤に乗ってない人をストローマンにして描かれても、作意に冷めるだけでしょーが。

バレー・オブ・バイオレンス

 

うーん、その、なんだ、新しめの映画は最終決戦をスカすのが流行ってるのか。序盤あれだけマカロニリスペクトしておいてそういうオチはアリなのか。オレは全く納得がいかないぞ。アレだけキャラを立てたトラボルタが呆気なく死んでしまう展開はちょっと信じられない。

ほんとさー、入り口は大変良くて、主人公と保安官が壁越しにお互いの立場を確認し会うシーンとか最高にイカしてるんですよ。ばかな息子が飲み屋で一言ちょっかいかけて、それを主人公が無視ししたものだから、お互いの行動がエスカレートしていって、戦いたくもない保安官のオヤジまでが戦いに引っ張り出される。保安官は相手が軍人だからってめちゃくちゃビビってできれば戦いたくないと思ってるし、一方の主人公だって犬を殺されそうになると簡単に命乞いしちゃうくらいの人間臭さを持っている。そんなふたりが西部劇のフォーマット上で流さなくていい血を流してしまう不条理決闘がめちゃくちゃ見たかったのに! 見たかったのに!

なんなのあの終盤の展開。せめて息子はオヤジをわざと撃ち殺したとかにしないとさー、ラストで全然ドキドキしないよー。完璧な消化試合じゃん。しかもなんで最後のとどめまでヒロインに刺させてるの? そういうスカしかたが映画のテーマだったってこと? じゃああんな外連味たっぷりのオープニングにしないでくれよーホントにさー。

続・空とぶギロチン~戦慄のダブル・ギロチン~

 

続・空とぶギロチン~戦慄のダブル・ギロチン~ [DVD]

続・空とぶギロチン~戦慄のダブル・ギロチン~ [DVD]

 

前作とだいぶテイストが違う感じがするけど主役も変わってるじゃん。そしてこのひとあれかティ・ロンって『男たちの挽歌』の人か。言われてみれば確かに顔が同じですなー。

前の作品で「で、雍正帝はどうなったの?」というのが大変気になっていたのですが、続編でここまでしっかり真ん中に据えてもらえるとは思いませんでした。っていうかこれ完璧に雍正帝の映画ですよね。言い寄ってきた部下を突然ダブル・ギロチンの餌食にするのには爆笑せざるを得ない。っつーかアレだけの暗殺者に取り囲まれてもクンフーであしらってしまえるあの力は一体どこから……? 言うだけヤボとは思うんですけど、でもアレだけ修行パートをした空飛ぶギロチンをあんなサクッと皇帝カスタムで使われてしまうと突っ込まざるを得ないというか。

しかし最終決戦がもう映画史上こんなにわちゃわちゃした作品ありました? ってくらいわちゃわちゃとしており、いやーこれどうやってまとめるの? と思ったら最後の無理やりスローモーションでどりゃーうぉーぶしゅー!! という力業で落としにかかって、爆笑止まらないままえーこれはいったいどうなるんだー!! と思ったところで画面に現れる力強い劇終の文字!! いやまあ史実をねじ曲げるわけにはいかないってことでああいうオチもしょーがないのかもしれないけどさー、うーむ……やっぱり『イングロリアス・バスターズ』はふりきって良かったということなのだろーか。

ワイルドガン

 

ワイルドガン(字幕版)

ワイルドガン(字幕版)

 

え? まじで? 最後のそこ、スカして終わるの? 嘘でしょ!? いやまあ、ふたりの間に因縁の積み重ねが足りなかったから、まあそれもナシではないかなーとか思っちゃったけど、その代わりにあんなザコを虐殺してカタルシスでもないでしょうに……親父さんが死ななかったりと全体的につくりがヌルくて、まあどっちかというとテレビとかそういうスケールの話ですよね。監督もテレビの人みたいだし。いやー、主人公に対する悪者の絡み方がそこそこ気持ち悪く描けていたので、かなり拍子抜けしてしまいました。

作品としてはもちろんドナルド・サザーランドとキーファー・サザーランドの、しかもまんま親子役での共演というのが見所なんでございましょう。確かに色々面倒くさい親子関係で、プラスアルファで読み込んでしまう余白はありますね。ふたりで開墾とかされちゃうと、ストーリーとか抜きにして「良いシーンだなー」とか思っちゃいますもんねー。

あとはアレだ、中盤のストーリーの転がし方を色恋沙汰が担うのはちょっと面白かった。全体的にオーソドックスで油断しがちなストーリー展開の中で、神に誓って愛していないと言えないシーンが急に挟まるのは、なんだかギョッとさせられますね。

セービング・バンクシー

www.netflix.com

あー、作品内で「オークションで作品が壊される噂が流れてる」とかいう言及があるけれど、アレが例の風船持った女の子のアレか! すげータイミングでバンクシーのドキュメンタリー撮ってもんだなあ。

日本でバンクシーの名前が遅れてやってきたことがわかる内容だけれども、いやーめちゃくちゃ面白いなあ。ホント「あのヘイト本YONDA?」が法律に違反しているとか程度の低い言い合いしてる場合じゃない。

バンクシーの本を読むと大抵グラフィティとアートの対立みたいなことが言及されてて、正直な所いまいちピンとこないなーって思ってたんだけど、この作品を見て納得。まあ言われてみれば、法律を犯してすぐに消されること前提の落書きをすることと、作品で金銭をやり取りすることの間には、もうめちゃくちゃデカい溝があるわよねー。

っていうかバンクシーって自分の作品に署名しないのかー。グラフィティって基本自分の名前を描くところから始まったものだから、当然自分の作品だと証明するものだと思ってたけど、そこは法律ときちんと距離をとるのね。クレバーさに驚き。サンフランシスコでの用意周到な落書きの手口もいくつか紹介されていて、大変面白かったです。

しかし、アートを切り取って美術館に飾ることが、作品の質を大きく変えてしまうってのは、改めていわれるとなるほど納得だよなー。街の中で塗り潰されるのがグラフィティ本来のあり方というのもわかるけど、100年後に振り返るために注釈付きでホルマリンに漬けておくのが有意義、というのも確かにその通り。現代のアートには文脈が大事なんだなーと思わされました。

イコライザー

 

イコライザー (字幕版)

イコライザー (字幕版)

 

デンゼル・ワシントンも年取ったなーとその歩き方を見て思う。見慣れていないからか、黒人の外見からは老いを読み取りづらいのだけれども、所作ではっきりとそれを感じるのだなあ。一方、アクションはカットを細かく割ってキレキレにしなきゃならないわけで、ストーリー的にはもう少し置いて引退する爺さん感が伝わっても良いのかなあと思う。

しかしまあ、デンゼル・ワシントンのキャラクターを中心に据えた作品で、序盤の「この爺さんは何者だ?」という謎の求心力がものすごくて、だからあらすじで「CIAを引退した」とかいきなり書いてあるのは本当に良くないんじゃないか。まあ種明かししてもそんなビックリするわけでもないからやっちゃっていいものなのかなあ。キャラ的にはひとりで敵組織ひとつぶっ潰せるスーパーヒーローなんだけど、そこら辺に説得力持たせようとしているわけでもないものなあ。アレだけ周囲に迷惑かけておいて、結局あそこでの読書生活に戻るとか、ちょっとヌルいオチであるような感じはする。

まーしかしそういう野暮なことを言わせないだけの映像の説得力は確かにある。ホームセンターでの面白バトルは当然ながらめちゃくちゃ印象に残りますね。謎の刺青舐めカメラはディゾルブ合わさってめちゃくちゃカッコいい。ホームセンターにハンマー返却の省略で一件落着する辺りとか見せられると、うーんちゃんと演出していて良いなあと溜息ついてしまいますね。