ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション

eurekaseven.jp

うーんなんなんだこの映画は。謎。なんかとんでもないものを見たなーという感じがすげえ。

いやまああんなシーンでやくしまるえつこ流されたら笑うしかないんだけど、しかし本当にこれ単に悪ふざけで笑っちゃっていいのかっていうと、なんかオレの口角がピクピクと引き攣ってそれを拒否していて、2D3Dを行き来したり画角弄ったり過去作を再編集したり引用をブチ込んだり表現のジャンルさえ変えたりととにかく大変過剰に自由な演出が、とにかく愚直にお話の骨しかないみたいな大変ストレートなストーリーの中で、なんかよくわからないけど謎の感慨を掻き立ててくるんです。謎。本当に謎。プリンと醤油を混ぜたらウニになって、おいしいとかおいしくないとか以前になんでウニになるのこれすごくない!? ってところに感動してしまってオレどうしたら良いかわからないみたいな感じ。なんなんだろうこれホントに。途中に繰り返される2D空中戦の超絶作画がもう全くどうでも良い世界の出来事でつるっつるに上滑りしていたのが、ロジックがあるのかないのかよくわからないただ映画の強固な構造だけに支えられた冒頭繰り返しのラストで3Dで突然ドカンと感動っぽい何かを呼び起こしてしまう感じとか、うーん、ホントなんかよくわからんけどすごいことが起こっているとしか言えない。

そしてよくこんなキャラクターの芝居が大事な作品でストーリーにとってもっとも重要なシーンを3Dで描いたよなあ。それが全然ちゃんと機能してるんだもんなあ。いやあ、すごいよなあ。怪作って感じ。

やくざの墓場 くちなしの花

 

やくざの墓場 くちなしの花
 

梶芽衣子ダイジェストのエンディングに爆笑する。まあしょうがないよね深作欣二だってそりゃやられるわこの色気。『女囚さそり』の2作目もだいぶコスチューム力があったけど、こっちは和服&喪服制覇でしょ? しかもペー中毒、といわれてペーってなんか実は俺知らなくて調べたらヘロインっすか。もうね、九龍城の本でもあったけど、アヘン・ヘロインよくないね。よくない。チャン・ツィイーもやられてたし。ダメ・ゼッタイ。でももっと見たい。しょうがないね。

渡哲也は相変わらず背中が丸くていいなーと思う。梅宮辰夫と見たことがないくらい激しい殴り合いをしていてビックリしたよ。あれだけ徹底的にやられたら、その後お祭りパツキンガール乱交大会で仲良くなってもしょうがないなーと思えるね。

ストーリーはそういう「転換点」をいかに説得力を持って描けるかというのが難しくて、普通は絶対こんなん前後関係繋がってないじゃん、というのが映像の力とかで納得させられると最高に楽しいんだけど、この映画ではやっぱあの鳥取砂丘がヤバいよなあ。あんな波飛沫の中でラブシーンやられたらもう一発で「うんこのふたりのこの状況ならくっついてもしょうがないわ」とか思わされてしまう。色々ついていけないところも多い作品ではあるけど、あの名シーンがあればオッケーです、という感じでした。

九龍城探訪 魔窟で暮らす人々 - City of Darkness

 

九龍城探訪 魔窟で暮らす人々 - City of Darkness

九龍城探訪 魔窟で暮らす人々 - City of Darkness

  • 作者: 吉田一郎,グレッグ・ジラード,イアン・ランボット,尾原美保
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2004/02/21
  • メディア: 大型本
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いやーこういう本がサクッとkidnleで手に入るのはいいなあ。まあ物理本でサクッと資料として開ける感じも便利なんだろうけれど、これは全部が美しいビジュアルというよりも市井の暮らしを描いたものであり、インタビューが大量に収録されていることもあって、まあ電子本でも全然問題ないなあとなるのだった。っていうか読むのはタブレットどころかPCモニタだったりするし、テレビモニタに映した方がサイズ的にはでかいしね。

色んなエンターテインメントのインスパイア元になっているだろう九龍城だけど、実際問題随分前に破壊されちゃっているし、映画なんかの映像で残っている作品も少ないしで、あんまりイメージが湧かないのよね。でまあ1回なんかでイメージを持っておきたいなあと読み始めたのだけど、いやー面白い面白い。意外に安全だったとか工場がクソたくさんあったとか衛生概念がヤバい中で食品作ってたとか歯医者がたくさんあったとか屋上で競走用の鳩が飼育されたとか、もうぼーっと思い出しただけで色々あって楽しすぎる。ここまで面白エピソードに埋め尽くされていると、阿片窟やらポルノ劇場やら娼館やらの記述がないのがだいぶ悔しい。時代的に証言を集めるのが難しいのはわかるけどね。

まーしかし、治外法権という状況でどんな人が集まってくるのかとかはかなりイメージが持てたし、知っている人ばかりで中は意外と安全だったとかはなるほどなあって感じ。あとは立ち退きの金の話がガンガン出て来るのがちょー面白い。香港はやっぱ住宅高いからなあ……

日本百年

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映画の情報があまりなくて困惑している。最初にロゴも入んなかったし一体どういう由来の作品なのかさっぱりわからん。普通のドキュメンタリーって感じじゃないよね。

1974年の作品だけれども当然100年前に動画は存在しておらず、70年ちょっとの歴史を振り返る感じ。東京オリンピックが終わって大阪万博やって学生運動が下火になってオイルショックがあってみたいなタイミングでいったい日本の歴史をどのように振り返るのか、大変興味がありました。

でまあ、全体を通してみると戦後の描写が少ないというか、まあ辛うじて朝鮮戦争辺りの状況には触れられていたものの、そこから先は「お前これおぼえてるだろ? 説明しなくてもわかるよな」的な短い写真でバンバンバンと説明されちゃうので今見るとだいぶ食い足りない。オイルショックは多少触れられていたけど東京オリンピックとか全然触れられてないのはすげー意外だった。まあ近い時代の出来事を俯瞰して優先順位つけるのが難しいのはわかるけどね。高速道路には触れないけれども、とりあえず未来に向けて公害の問題提起しておけばオッケー的な感じ。

前半はワリと興味深くて、明治から富国強兵へと突き進んでいった日本の歴史を映像でザッとなぞり直すのはまあなかなか楽しい。古い映像は見てるだけでもまあ楽しい。白瀬矗の南極探検が実は欧米列強に立ち並ぶため、みたいな説明がされていて、あーなるほど探検というのは先進国のステイタスだったのだなあと大変納得するなどする。日露戦争辺りも意外とちゃんと状況が説明したって感心。

でもなー、第二次世界大戦はだいぶボンヤリしてるよなー。クッソ長いわりにダラダラ苦しかったみたいな感情論が流れていく感じ。一応映画制作側としてプロパガンダの責任を自己批判してはいるものの、それ以上の責任を明確にするのは、あー、確かに日本の国としては難しいところなんだろうなあ。戦争の決着の付け方含めて、なるほどドイツとは違う過去の向き合い方になるか、とだいぶ納得したのでした。

ゼイリブ

 

ゼイリブ 通常版 [Blu-ray]

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カーペンターが最高なのは知っていたけれども最高だった。いや最高。本当に最高。

もう何がなくともあの殴り合いシーンだよね。たぶんストーリー上ほとんど全くどうでも良いシーンで、でもその無意味なシーンをこれ以上ないくらいにじっくりじっくり描いてる。だってサングラスをつけろ嫌だで大のオトナ(しかもマッチョ)がもう殺し合い寸前の殴り合いしちゃうんだよ。もう全く意味不明……なんだけど、ただ「サングラスをつける」だけのことで世界の見え方が全く違って人生は変わってしまうことはままあるし、またそんな世界の劇的な変化をちょっとした意地で拒絶しながら生きていくことは普通にあるわけで。あの殴り合いを過剰なくらいに描くことで、創り手が感じているだろうそのすれ違いへの悲しみが、これ以上ないくらい画面のコッチ側まで伝わって来ちゃう感じがしてですね、なんだこの映画は、最高過ぎるぞカーペンターとなった。

あとどうしても書かなきゃいけないのがラストカットで、このストーリーって最高に投げっぱなしというか、たぶんあの装置を壊したところで世の中ハッピーエンドなんてあり得ないわけじゃないですか。むしろあの後人類の勝ち筋ってホントにあるの? って感じで、主人公は無鉄砲な行動原理でレジスタンスの目さえも潰してしまっている、可能性は多いにあるわけです冷静に考えれば。でまあ、そういう「このお話ってそれでいいんだっけ?」という疑問を、目先のバカバカしいエピソードで完璧に無効化する。カーペンターにロメロを巻き添えにした挙げ句、誰でも思いつくようなセックス中のジョークでエンドロールをボン! あー、この感じはなんか最近どっかで観たなーと思ったらアレだ、『デッドプール2』の落とし方だ! そうだよね、この話って別にお話の整合性とか求める映画じゃないよね、って感じ。

いやー、すごいなー、カーペンター最高だなー。

100歳の少年と12通の手紙

 

眉唾ですよ眉唾。こういう悲劇をダシにして感動を呼び込む構造が見え見えの創作はですね、眉に唾つけてかからなきゃなりません。人間親しい人が死ぬとつらいの当たり前だから。こんなに良い笑顔の難病少年が死ねばそんなん悲しいに決まってるんです。感動するに決まってるんです。タイトルにも手紙とかあるわけだからそんなん子供の手紙が感動的じゃないわけがない。だからオレは眉に唾をつけて観る。別に生理的反応で泣きたくて映画観ているわけじゃないですから。

ってなことを考えながら眉に唾をダラダラつけまくって観た結果、うん、いい話でございますね。少年はとりあえずさておいて、その周囲の人間関係を注視するわけですけれども、まあとにかくほのめかしというかあまりに語らないことが多い作品で、それがまあ良い塩梅に想像力を掻き立てる感じがあり大変よろしい。元プロレスラーでピンク衣装な彼女のバックグラウンドも謎過ぎるけれどクリスマス一発で彼女の抱える困難が仄めかされて良い感じだし、難病少年と両親との和解も直接的には描かれないまましかし色々想像してしまうつくりはたまんねーなーと思うし、あと老人医師とかバックグラウンドとか空白が多すぎるけれどもラストのアングルビシバシ決まりまくってる葬儀シーンでのやり取りホントに痺れるもん。なんかこう、大変良い塩梅で感動作品との距離をとっているのではないのでしょうか。

あとまあしかし少年が死を目の前にして信仰を手に入れて、その映像がファンタジックに表現されてしまうのは、うーんいくら難病モノの眉唾ムーブをしている私としましても、ちょっと良いなあと思ってしまいます。あれたぶんキリスト教の教えが身近な人間が観たらガードできない類の表現になっているんだろうなあ、と思いました。しかし逆にこういう映画を観る度に自分の信仰のなさを思い知らされるようで、ちょっと寂しいよね。

ポリス・ストーリー2 九龍の眼

 

『ポリス・ストーリー』の続編なわけだけれども、冒頭であの心躍る音楽が流れて前作のおいしいシーンダイジェスト流されちまったら、もうそれだけで満足しかねませんね。そのくらい前作の見せ場がすごかった。

本作品はジャッキーのアクションが相変わらずキレキレで、公園の遊具を使った細かなアクションなど、小さい箇所でのアイディアをみるとこっちもなかなかやるなあ、むしろ前作よりもイイかもなあ、という感じがする。ただ見せ場がラストの工場大爆破というのは少し安直と言えば安直で、前作のバスに傘で飛びつく的な「当たり前のものを組み合わせて劇的なシーンを生み出す」みたいなアイディアはもう一声、という感じがします。

あとどう考えてもストーリーはヨレヨレ。冒頭で出てきた親分が尻切れで死にかけているのは何事? と思ったけど、あー、やっぱり大きな脚本変更があったのね……いかにも香港映画という感じ。でもジャッキーの肉体美が眩しい拷問シーンの問答無用の吸引力は素晴らしいし、その後の爆弾身につけ疾走シーンはそのザルなストーリーにもかかわらずめちゃくちゃテンションが高くて、まあお話なんて整ってりゃイイってもんじゃないんだよなーと思わされます。