眉唾ですよ眉唾。こういう悲劇をダシにして感動を呼び込む構造が見え見えの創作はですね、眉に唾つけてかからなきゃなりません。人間親しい人が死ぬとつらいの当たり前だから。こんなに良い笑顔の難病少年が死ねばそんなん悲しいに決まってるんです。感動するに決まってるんです。タイトルにも手紙とかあるわけだからそんなん子供の手紙が感動的じゃないわけがない。だからオレは眉に唾をつけて観る。別に生理的反応で泣きたくて映画観ているわけじゃないですから。
ってなことを考えながら眉に唾をダラダラつけまくって観た結果、うん、いい話でございますね。少年はとりあえずさておいて、その周囲の人間関係を注視するわけですけれども、まあとにかくほのめかしというかあまりに語らないことが多い作品で、それがまあ良い塩梅に想像力を掻き立てる感じがあり大変よろしい。元プロレスラーでピンク衣装な彼女のバックグラウンドも謎過ぎるけれどクリスマス一発で彼女の抱える困難が仄めかされて良い感じだし、難病少年と両親との和解も直接的には描かれないまましかし色々想像してしまうつくりはたまんねーなーと思うし、あと老人医師とかバックグラウンドとか空白が多すぎるけれどもラストのアングルビシバシ決まりまくってる葬儀シーンでのやり取りホントに痺れるもん。なんかこう、大変良い塩梅で感動作品との距離をとっているのではないのでしょうか。
あとまあしかし少年が死を目の前にして信仰を手に入れて、その映像がファンタジックに表現されてしまうのは、うーんいくら難病モノの眉唾ムーブをしている私としましても、ちょっと良いなあと思ってしまいます。あれたぶんキリスト教の教えが身近な人間が観たらガードできない類の表現になっているんだろうなあ、と思いました。しかし逆にこういう映画を観る度に自分の信仰のなさを思い知らされるようで、ちょっと寂しいよね。