うーんこりゃ素晴らしい内容だなあ。
まず何よりメインのアイディアが秀逸。魔王城という何が出てもおかしくない場所を上手く――というかストーリーのために好き勝手使って、ギリギリ有り得るあたりで話を作って行くのが本当に上手いよなー。「週一で死ぬ」みたいなバランス感覚もとても良いと思います。
で、そういう異常な状況を「まあええやろ」で通してしまう姫のキャラ性も大変よろしい。「プリンセス」という外付けの情報だけじゃなくて、内側のスペックもストーリーの展開につれてどんどん開示されていくのが本当にいいよなー。仕事面での有能さがブラックな実家の日常と一緒にほの見えるのも良いんだけれども、本気脱走界の意匠でスペックがアップしているというのにはホント笑ってしまった。まさか姫衣装でキャップがかかっているとは思わないじゃん……
アニメシリーズの工夫かもどうかはわからないけれども、その姫の内面なんかをテコに、最終話でキッチリ人間と魔族の関係を描いているのもなかなか気が利いていたなあ。それまでの回でのビミョーに浮いてた伏線もバッチリ回収されてたし。舌が短いエピソードとか、一体何なの? と思ってたら、まさかそこで回収するんやね。さっきゅんの影武者設定とかもまあ普通に使ってて、いやーちゃんとしてるなーと。
全体的に原作への愛を感じる内容で、一気に完走してしまいましたわ。