バンクシーのドキュメンタリーは色々出ているけれども、これはどの事象と言うよりはむしろバンクシーの人となりを最初から追いかけつつ、ストリートアートってのが現代アートの世界でどのような変遷を経て受け入れられるようになったか、という全体の見取り図を示している感じで、入門にはちょうどいいんじゃないでしょうか。
まあその分、バンクシーの面白味みたいなところは掴むの難しそう、とも思うけどね。ストリートアートが器物破損の犯罪行為であることの妙味とか、本当に上手く伝わるのだろうか? という気はする。あとまあ、アートと資本主義のびみょーな関係とか、バンクシーが翻弄されつつも挑発しているその関係とか、伝わるかな……伝わってくれると良いよね。この映画の内容だと、どんどんとシルクスクリーンが高くなって、自由に創作活動ができるようになりました! って側面がちょっと強すぎる感じもしなくもない。いや、そこがアーティストとしての転機であることを示してあるのはすごいポイントなんだろうけど。
あと映像としてターフ・ウォーの辺りとかが見られて良かった。LAの展示は何度も見たけれども、その前身があるのはあんまり認知していなかったので。
ブリストルの美術館に良い影響を与えた、というのも大変良い情報だったなー。バンクシーが公益を念頭に置いて活動しているのがよくわかる。