パート1の映画の成り立ちは、『ボクらを作った映画たち』の中のバック・トゥ・ザ・フューチャー回が傑作で、この映画ともだいぶ内容が被っているのでそっちを見た方が良いと思う。このドキュメンタリーの中でもそういう言及があるけれど、1に比べると、2と3はやっぱりちょっと格が落ちるところがあるので、神格化された1についてよーく知りたいだけだったら、多分向こうの方が良い。
ただこっちのドキュメンタリーは、映画が与えた波及効果、ファンダムの反応を書いているのが印象的。特にデロリアン周りの言及は厚くて、バック・トゥ・ザ・フューチャーにとってもっとも大事だったのは、やはりこんな特殊な車をタイムマシンにする、というところだったのだなあと思う。
と同時に、特に続編もなくグッズ展開も限られるであろうこの映画のファンダムが、今になってもこれだけ愛され続けているのは、ちょっと異常なことだなあとも思う。スターウォーズやらスタートレックやら、SF系の作品のファンダムが厚いのはわかるけど、向こうはきちんと続編が出ているわけで。単品でこれほどファンに愛され続けているのは、映画が本当に歴史を越えて愛される傑作だったんだなあ、と感じました。
まあ実際、オールタイムベスト級の傑作だよね……そういう意味で、「主人公が成長しないという意味で、脚本としては異端」という評価はなかなか興味深かったな。