オレ唯一役者で「この人は好き」っていえるのは長瀬智也なんだけれども、思いのほか面白くて大変ビックリした。いやまあ名前は聞いていたし大体どんなことをテーマにしていたのかも知ってたけど、まさかこんなにちゃんと社会派の映画やってるとはなあ……ってかこれ池井戸潤の原作だったのか。いやー、日本のエンタメでもきちんとこういう反権力のドラマが抑えた筆致でできるんだね。納得。
とはいえコレ、普通「ジャーナリズムの力で」みたいな感じで問題が解消されると思うんだけれども、それが財閥の圧力で腰砕けになってしまって、結局中小企業の祈りが奇跡のように警察の動きで実る……という結末がいかにも日本っぽいよなあとは思う。あ、いや一応内部のリークも複線として欠かせない内容にはなっているけれども。というか、企業内のリークがコンプライアンスの問題として肯定的に描かれるだけでちょっとビックリしてしまうよね。いや、驚いた。
あとまあ重要なのはこの物語が何のてらいもなく「ひとりの人間が命を奪われた」というところを原動力として駆動する作りになっているところだよなー。葬儀の帰りに、理不尽な怒りを町工場の社長が打つけられるシーンは、つくりが上手すぎて拍手してしまった。いやー、やっぱり池井戸潤うまいわ……