あれー? ヘルボーイ観たのって結構最近じゃなかったっけ? 過去を振り返っても感想が書かれてなくてちょっとビビる。視聴履歴にも残ってないし、うーん、どこで観たんだっけ?
さて、アカデミー賞で今話題のギレルモ・デル・トロでありますが、オレ実はあんまりこの監督のこと好きじゃないんだよねー。最近の映画はだいぶ観てる監督なんだけど、「イマジネーションがすげーのはわかったけど映画とか脚本とか演出とかそんなによくなくない?」って感想になりがちだよなー。もちろん表現にとってある種の歪さが武器になるのはわかるんだけど、その歪さが映画の中で上手く生きてるかどうかの方をむしろ問題としてしまうのである。ピータ・ジャクソンはぱっと見だいぶ似た感じの監督だとは思うんだけど、あの監督の過剰さの方がメチャクチャ映画っぽさに貢献しているような気が正直する。
ということでこの映画なんだけど、うーん、これってもっとお姫様どうにかできなかったんですかね? もちろんディテールが大事なのはわかるしそこに注力して効果は生まれてるしわくわくもするのだけれども、しかしその支柱となるストーリーがあまりにもお座なりじゃありゃしませんか。主人公とヒロイン側のストーリーはまあキッチリ描いているけれども、それと対比されるお姫様の悲哀を描くには悪役側のロジックが全然足りないというか。オレが見落としてるだけ? でもあのラストの決着ってかなり楽に思いつける方法で、姫様ってそもそも世界の破滅を避ける方法としていつでも準備しておける結論なワケじゃないですか。その結論を胸に秘めつつも、愛に目覚めてしまうあたりで主人公側とクッキリ対比できる悲劇を描けるわけじゃないですか。しかも精神感応でパートナーとその複雑な機微を共有できる、というかしてしまうわけですよ。それはキッチリ組織と個人の感情の間で揺れ動く主人公カップルの対になってて、当然もっともっと深く掘って良いはずなんですよ。こんなメチャクチャおいしい恋愛ストーリーの可能性があるのに、なんであんなざっくり雰囲気で終わらせちゃうかなあ?
うーん、オレはやっぱこの監督、好きになれないわ。