ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ヒックとドラゴン

 

これトリコじゃん! 『人喰いの大鷲トリコ』をスケールアップさせつつ誠実に物語を追い求めた作品だよ! あのゲームに足りなかった要素が全てここにある! というとたぶん大嘘で、むしろトリコはむしろ要素を削ぎ落とした部分に作品としての面白味を見いださせようとしたのはわかる。わかるけど、ここまでウェルメイドなストーリーで短い尺でドラゴンにも感情移入出来るような作品を創られてしまうと、あー、やっぱり物語って強力だなあと思わされる。

いやまあとにかくちゃんとできている。オチコボレが異世界からの他者と出会うことで変化して、その変化が自分をオチコボレと見做していたコミュニティまで変えてしまうという、圧倒的に正しい物語の骨子。と、それをきちんと成立させる演出。はい、もうそれだけで好きです最高です。あの短いモンタージュシーンで仲間たちの性格を手際よく説明して印象づける辺りとか、まさに職人芸といった感じ。

何より素晴らしいのは相棒のドラゴンの描写で、彼の持つ強力な特殊能力を冒頭できちんと示しつつ、しかしコミュニケーションをとり愛情を抱きやすいスケールで物語を薦めたのが本当に素晴らしい。サイズがあの2倍だったら、冒頭の親密度上げるエピソードの説得力がだいぶ違っていたよねえ。エサから自作尻尾でお互いを理解していくあたりのアイディアも素晴らしく、いやー、トリコもそこら辺をもう少しハッとする感じでできなかったのかなー、なんて悔しく思ったり思わなかったり。