ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

風よ。龍に届いているか

 

風よ。龍に届いているか (幻想迷宮ノベル)

風よ。龍に届いているか (幻想迷宮ノベル)

 

 
序盤の突然登攀始める展開が面白くて、なんでWiz小説読むのに山岳小説読んでんだよ!? いやこれどうなのよ? とか思いつつもぐいぐい読んでしまう。ビックリ読書体験である。
だがしかし、全体として見た時はどうだろうなー。ボディ・スナッチャーな乗っ取りサスペンスはそう来たか! って感じだしキャラクターやら意外性のある展開やら前世を絡めた関係性はまあ悪くないんだけど、どうもいまいち乗り切れない感じもしたんだよなあ。前作が、ウィザードリィをノベライズするときの要件をメチャクチャ高レベルでクリアしている上に、あの分量にめちゃくちゃ濃い内容を詰め込んで、しかもストーリーの大仕掛けもきちんとしていて……どうもそれと比較してしまうのが悪いのはわかってるんだけどなあ。

いきなり物語が始まる群像劇の中で、乗っ取りサスペンスに対する罪悪感みたいなのに共感するのが難しかった、というのはあるかもしれない。前作くらいの濃さならともかく、さすがに文字媒体だとキャラづけには限界があるよなあ。

あとはアレかなー、前作でかなりキーとなっていた善悪の色分けがだいぶ意味を失っているのも、ストーリーの緊張感を奪っている気がするなあ。