ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

刑事ジョン・ブック 目撃者

 

刑事ジョン・ブック 目撃者 [Blu-ray]

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 映画の本を読んでると結構この作品からの引用があって気にはなっていたんだけど、「いやこのタイトルでそんな見るところあるの? ハリソン・フォードでしょ?」とか妙な先入観で見るのが後手後手になってしまっていたよ! このタイトルなんか雰囲気違わないっすか!?

 

いや、内容本当に素晴らしいんですよ。葬儀の緊張感から始まって、喪服の人が大量に集まる家の中を長回しで見せるカットがいいし、そこから文明への旅路、グランド・セントラル・ステーションと特に何かあるわけでもないながら少年視点の異文化接触への期待感でじっくり引きつけてから、殺人現場でグイッとストーリーを引き寄せる。脚本上刑事同士の駆け引きは最低限まで省略して、極力素早くアーミッシュとの異文化交流に持っていき、じっくりと人間同士のドラマを描く。いやあ、良い仕事。クライマックスの対決は、ちょっと相手のボスが間抜けに見えてしまうけれど、その後にやってくる鐘の結末が感動的で、もうそれが描けたら細かいことはどうでもよく思えますね。

 

個人的に感心したのは映像で、水のしたたる肌の美しさったらちょっと溜息が出てしまうし、早朝の牛の乳搾りのライティングも強く印象に残る。

特に素晴らしいのはあの抱き合うまでのシーンで、ビー玉のオモチャをもらったシーンから窓越しのショットで距離感を出し、義父との会話の切り返しで「フレームの中の女性」をしっかりやる。90度の正対から斜めのアングルで動きを付けて、アップのカットはでも背中越しで表情を見せず、ただ脱いだ帽子が彼女の決意を物語る……で、そこから抱き合うために駆け寄るふたり!

いやあ、言葉じゃなくて演出で見せるのは重要だなあ、と思い知らされる映画でした。あの映像でなければヒロインの魅力は半減くらいしたかもしれないなあ。