ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

その女アレックス

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

細かいがしかしはっきりと頭に入る描写は素晴らしいし、グロテスクな描写が大変印象的に描かれている。発想のレベルである程度のリアリティを持ちつつ悪趣味なこのアイディアの感触はとても良いと思う。
全体の構成の気が利いているが、気が利いているからといってそれが作品全体のカタルシスに結びついているかというと微妙な気もする。最後の圧倒的に悪趣味な展開をもっと感情が寄り添う形で展開できただろうなあと思うと、これでいいのだろうかなあとは思う。まあ、それはそれで趣向ではあるがしかし余りにももったいないような。逆に言うと、それは主人公側への感情移入ができなかったということでもあるのかもしれない。