ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ビリオネア・ボーイズ・クラブ

 

とにかくケヴィン・スペイシーの説得力ですよねー。若者が演説シーンやったところで、ケヴィン・スペイシーの電話の説得力に全然勝てないんだもん。最初のうちはペーペーだから良いけど、メンターに様々教わって以降、例えば買収のシーンとかはもっときっちり説得力が見える描き方にしないと、まずいと思うんだけれどもなー。まーでもその説得力の持たせられない感じが、ボーイズ・クラブって感じではあるのかしら。でも最後の最後まで、主人公に納得できなかったというか……とってつけたように「このお金は返さなきゃ……」とか言われてもなー。

あとこういう映画って、普通もう少し「成功」の描写をきちんと描くものだと思うのだけれども、そんなに雑にそこをすませてしまうのもナンダカナー。これって収益を得ることが絶対できないビジネスモデルにしか見えないじゃないですか。成功してないのに転落を描かれても、それって借金でドラッグ漬けになってんのとあんま変わんねーよな見てる方としては。

あと「街が悪い」っていうのは理屈としてはわかるんだけれども、「お金があること」の魅力をもうちょっと魅力的に描けなかったものなのかしらね……セックスシーンで唐突に株のインサートがあったのは笑ってしまったけど、まあそういうところで欲望の描写がこなれていないって感じがめちゃくちゃする。

さらば愛しきアウトロー

 

さらば愛しきアウトロー (字幕版)

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  • ロバート・レッドフォード
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うーん、ロバート・レッドフォード。この映画ロバート・レッドフォードじゃなきゃ成立しないんじゃね? みたいな説得力がかなりある。人当たりの良さで犯罪行為に手を染めて愛する人間にも真実を告げずで、ひたすら方を犯してそれが笑顔でごまかせるという、客観的に見たらまあひでー話であるのに、それが「愛しき」というロバート・レッドフォードの役柄でなんとなく許されてしまっているみたいなのがまあ変な感じでもありすごい感じでもある。一方それを追いかける刑事側の執念が実った! とかそういう話であるかというとそうでもなくて、なんかひたすらふたりの「人間社会からちょっと外れたところで生活する男の姿」が描写されるので、うーんそういう人間に居場所がある世界があってもいいのだろうか……

と思いながら現実でもし黒人がアレをやったら射殺されているだろうから、うーんこういう牧歌的な世界を愛おしく思うのはキケンだなーとも思う。そこら辺含めてロバート・レッドフォードだから成立している話だよなー。いや、刑事の妻が黒人だったり、強盗で撃たれるのは黒人で……みたいな展開からも、やっぱりそこら辺は暗に示されているんだろうなーとか思ったりもするな今振り返って見ると。

科学者とジェンダー

https://www.netflix.com/title/81303549

いやーMITの学長の決断のエピソード、これもちろん感動的なシーンであることは間違いないのだけれども、そもそも感動的に思わなければならないっていうのが、なんかこー、辛いなーと言う気持ちもあるが、しかし科学というのは努力してデータで偏見や思い込みをひっくり返してきた営みであろうからな……あれはむしろ科学の正道でもあるのかな……

しかしここで取り上げられるセクハラ事情は学問に特有かというとそこら辺はきちんと検討の余地があるのだろうな。学問っていうとどうしても狭いコミュニティで人と接触機会が少なく……みたいな定型を連想してしまうが、それこそ偏見というものか。どんな職業にだってコミュニケーションが狭まる余地はあるわけだし……

しかしまあ「私はセクハラには理解がある」って顔でエピソードを得意げに話す友人に、異なる価値観がぶつけられるあのシーンが大きな山場だよな。「偏見が持ち出された時に受け流さずにきちんと反論を述べる」っていうのって、偏見の対処の初歩の初歩みたいな振る舞いだと思うんだけれども、そのレベルで同意がとれないっていうのはなかなかショッキングなシーンであるし、またそういう偏見を自分も持ってしまっているのだろうなあと強く思わされるシーンであった。

モリーズ・ゲーム

 

モリーズ・ゲーム(吹替版)

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  • ジェシカ・チャステイン
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いやいやオヤジ……おめーふざけんなよ……オヤジのカウンセリング一発で解決するならちゃんとやれよ……物語上仕方ないのかもしれないけれど、この構造だとオヤジが娘と和解すれば良かっただけの話になってるじゃねーか……それを怠ったせいで娘の人生めちゃくちゃになってるんですけど……笑顔で夕食とか取ってる場合じゃないでしょ……こんなの絶対おかしいよ……

という疑問が浮かぶこともなく「うーんおもしろいね」って感じで見られるのでさすがだなーと思う。というか情報量の出し入れがスゴイよねー。弁護士の納得ポイントが後半まで明言はされないつくりも、きちんと機能していてうーんすごいなーと思う。あの協議のシーンで、モリーが守り続けてきた信念がバーン! と叩き付けられて、そこで弁護士との信頼が「なるほど」ってなる感じ。だからこそその後のオヤジとの和解の二段構えが「えー?」ってなるわけだけれどもさ……

しかし「プレイヤーX」の存在感スゴイよなー。オレからするとスコット・ピルグリムの印象がめっちゃ強いんだけど、まあこの人にこういう振る舞いされたらそりゃー納得するしかねーよって感じはする。

愛は霧のかなたに

 

愛は霧のかなたに [DVD]

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  • シガニー・ウィーバー
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うーんなんか「このゴリラはリアル?」「このゴリラはSFX?」ってのが気になって気になって映画に集中できなくてしゃーない。そういう見方は良くないのはわかるんだがしかししかししかし。

ジェーン・グドールのドキュメンタリーが面白かったんで、なんか似たようなのないのかなーと思ったら見つかったのがゴリラ。っていうかこの時代似たような女性動物学者がアフリカにドーンと行ったのか。っていうかリーキー博士ってジェーン・グドールの恩師でもあるのか。なるほどなー。と思ったら案の定ナショジオからやってきたカメラマンと恋に落ちて「ゴリラと私どっちを取るの!?」みたいな展開になって笑った。それジェーン・グドールでもみた。まあ向こうは離婚するやつだったけど……

まーなんつーかゴリラすごい自然スゴイでオッケーなヤツなんだけれども、お話としてはこれどーしようもねーよなーって思ったらどーしよーもねーオチが待っていてうーんって感じだった。そりゃまあこんなんひとりの女性に背負えるような問題じゃないのはわかってるよ。わかってるけどさー。現在先進国の経済的な暴力に、対抗できているのは自然を守るという文化的な価値観なんだから、彼女がやったレンジャー活動みたいなのはもうちょっと肯定的に描けても良いはずだよねえ。なんか最後にはヒステリックな女性が自暴自棄になって……みたいなニュアンスが余りにも濃くて、そんな描き方せんでもいいんじゃないの……? とは思った。そんなセックスまであそこでブチ込まなくてもさあ……

ジョン・ウィック : パラベラム

 

3作目。この名前の付け方だとシリーズのどこかわかんないからパート3って入れてもらって大変助かる。

相変わらずのジョン・ウィックだけれども、自分のアクションに対する見方の雑さが軽減されたのか、なかなか見所がわかってきて面白い。アクションの趣向とかは相変わらず「さすがだなー」って感じで、無限ナイフ投げパートとかとても良い感じだし、犬と共に空間を生かしたアクションの見せ方とか、あと防弾スーツを着た相手に対してどうやって一対多の戦闘をやるかとか、すげーわかりやすいレベルで趣向があって良いと思いました。「リロードの効率化」とかこのくらいきっちりアクションに対する意味づけをやってくれると、造詣の浅いオレでも「へーなるほどなー」って愉快に見ることができます。

まあ逆にストーリーがどーでもいいのはまあどーでもいいよねー。それでいいんだべつにって割り切りが大変良い。まあ医者にやったことをラストで自分がやられる、みたいなくらいの意味づけがあってギリギリ良かったなーとは思いました。あ、でもこれ2作目の記憶がもう少し濃かったらもっと面白ポイントが見えたりしたのかしら……

バタード・バスタード・ベースボール

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うへぇ。おもしろい……そもそもカート・ラッセルが野球選手していたこと自体初耳で、その時点で「えーまじで?」という感じなんだけれども、それが独立リーグの球団とかちょっと色々面白すぎでしょ……っていうかこの内容、どう考えても映画化決定! なやつだよね。いやもちろんこのドキュメンタリーは映画なワケだけれども……弱者がチームになってそれまでの常識を破っていく、地元からの支援も得ていく、ってアングルはもう最強じゃないですか。なんで映画にならないのだろう。

全編通して「はい面白いですね」というしかない内容なんだけれども、大リーグみたいな巨大機構に対しての裁判で、この金額が認められるって展開が一番サプライズでした。現代の裁判ってこういうの資金力が劣ると絶対勝てないみたいな印象があるから、裁判でこういう勝ち方をされると「ホントに!?」って思われる。

しかしどうしてもリーグを制覇できない、なぜならシーズン終盤でメジャーから有能な選手がやってくるから、というのは、なんというかとてもドラマとしてできすぎで……うーんやっぱりこれ映画にするしかないんじゃないですかね? こんなんすぐ脚本書けちゃうでしょ? カート・ラッセルもちゃんと出してさあ……