ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

グランド・ブダペスト・ホテル

 

グランド・ブダペスト・ホテル (字幕版)

グランド・ブダペスト・ホテル (字幕版)

  • 発売日: 2014/09/10
  • メディア: Prime Video
 

ウェス・アンダーソンですねーウェス・アンダーソン。ザ・ウェス・アンダーソンって感じ。

まずもって入り口が大変良いよなあ。この作品、ホテルが主役なのかなーと思っていたが相ではなく、むしろそのホテルで歳を重ねたコンシェルジュが主役で、そこに歴史的な年輪が積み重なっているのを楽しむ作品だよなー。あのビミョーに汚い浴室で声をかけられるシーンの色気がほんと堪らん。湿気とカビの感じが、ホテルに積もった時間をしっかり伝えてくれている感じ。

ホテル・お屋敷・汽車・牢獄と、まあ垂直アングルが生える場所が多用されるのは当然ではあり、そこに個性派俳優がガンガン顔を並べて、うーんこれは折り詰め弁当だよなーって感じがすごくありますね。

内容的には第二次世界大戦を敷いてるとは思うんだけど、これだけやってユダヤ人っぽいあれやこれやを置かないで、トルコ人との交流に収めるんだなー。ハンガリーあたりのトルコ人の立ち位置がイマイチよくわかっておらんのだった。

脱走劇はどーしたって『穴』を思い出しますね。あんなに都市から隔絶された場所から脱出したと思ったのに、出口は四方を壁に囲まれた立地で思わず笑ってしまう。そこからの斜めアングルでの脱出はやっぱり面白く見えますねー。

あと途中の電話の連鎖パート卑怯。アレだけの人生を生きているとああいう奥の手もあるよなーとかホテルのネットワークがあるんだなーとかそういうのが一気に想起できてしまって、うーん真骨頂だなーと思いました。

トゥルーライズ

 

トゥルーライズ [DVD]

トゥルーライズ [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2012/10/12
  • メディア: DVD
 

わはははははは、こんなアクションコメディある? 実際似合わないエージェントを演じるシュワルツェネッガー感が、ジェームズ・キャメロンの大作感と合わさって、いやーとんでもない映画になってますね。なんだろーなこの底抜けなハッピー感。映画としては良くないとは思うけど、私嫌いになれません。

そもそもジェームズ・キャメロンが夫婦の恋愛を、CIAごときのスケールで描けるはずがないんですね! 鏡越しの尋問シーンなんて、アレ人間スケールで見たらかなり倫理的にヤバい展開じゃないですか。もっと突飛でSFで宇宙でコミュニケーションを断絶する存在こそが、キャメロンにはふさわしい! 差し挟まれるコメディーも、勘違いだのなんだのをちゃんと抑えているのはわかるんだけれども、なんかこうクセがあるんだよなー。やっぱカナダ人だからなのかなー(偏見)。

しかしなー、絶対こんなに時間かける内容の話じゃないよなー。もちろんアレだけ尺があるとテロリストの強さが立つのはわかるけど、でもあの馬に乗ってのチェイスシーンの贅肉モリモリ感は笑わざるをえない。ゆっくり上るエレベーターの尺の長いこと長いこと。いやー、今更こういう発見をしているのもナンダカナーとは思うけど、やっぱ面白いなージェームズ・キャメロン。

ジュマンジ

 

ジュマンジ (字幕版)

ジュマンジ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

とりあえずこっちの方も見ておくかー今ならサブスクサービスで見られるしなーと思って再生を始めたのだけれども、やっぱりリメイク版とは全然面白いところが違って、逆になんで「ジュマンジ」のタイトルで作り直したのアレを? と思う。ロビン・ウィリアムズが吸い込まれていたジャングルの世界を舞台にした、というくらいの着眼点なのかしらねえ。そこ言われてみれば確かになるほど、って感じではある、の、かしら……?

冒頭からいきなり年月を重ねまくりつつ「ジュマンジ」というゲームがいかにヤバいかの説得力を積み重ねていて、うんうんこれこれこれが欲しかったのよ、と思う。由来のわからないボードゲームとか、勝手に動き出す駒とか、そういう細部に説得力があるからこそ、この不条理なゲームが巻き起こすパニックに説得力が生まれるんだよなあ。全てを異世界の出来事にしちゃって、サイコロを振るときの祈りみたいなのを掻き消したリメイクは、やっぱり根本から趣味が合わないぜ!

作品的には時間のズレを生かして色々工夫をしているとは思うんだけれども、肝心の筋が行き当たりばったりというか、ゲームを強要する立場のはずのボードゲームが何度も持ち去られゲームを拒否する、という構造がいまいちピンとこなくて散漫な感じはする。アレだけ「ドンドンドン」って音鳴らして自己主張しておきながら、その筋はないんじゃないかなあ……

ってか『ザスーラ』の監督ってジョン・ファヴローなんですね……あー、そりゃああの作品の印象が一番強く残るわけだわ。

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け


 JJおつかれ……本当におつかれ……

まあふつーに映画としては良くないよね。全然良くない。ラストとか「この人たちが戦うのが基本的にどーでもいいなー」「気持ちが乗らないと全然興味が持てないなー」なんて思いながら見ていた。

もちろんJJはよーやったなーと思う。8で後先考えずただ面白半分に破壊されたスターウォーズのストーリーに、まあちゃんとしたエンターテインメントのオチをつけるとしたら、こういう決着しかなかったよなーとは本気で思う。血縁はガンガン出すし死者はどんどん再登場する。ふつーに考えたら8が台無しになるようなことばっかりだけど、でもまあそういうひっくり返しをしなければお話として収まらないと言われれば全くその通りだし、これがスター・ウォーズの世界にとって懐古主義な後退かと言われれば、オレは「8がめちゃくちゃに壊したんだからいっぺん7に戻さなきゃダメなの当然じゃん」って感じ。レイア姫まで持って来てジェダイを再度殺したのには、私拍手喝采ですよマジで。

なのはわかるんだけど、まーそれはそれとして、ちゃんと面白い映画になっているかというとやっぱ面白くはねーよなー。そういうロールバックが必要なロジックばっかりが立って目の前で起こっていることに全然没入できない。っつーかそもそもアレだよね、この三部作って血縁とかではなく、ふつーに「女性の主人公」「黒人のサブ主人公」がメインを張るのに意味がある構造だったはずなのに、8で「血縁」みたいな今更クッソどうでも良いテーマを持って来たのが、本当にクソオブクソだよなー。9でもちゃんと「白人と女性と黒人」が抱き合うラストにはなってるけど、あれってほんとせめてもの抵抗というか……本当は荒波に女性が乗り出して、それを白人男性は馬鹿にするけど、黒人でフォースに目覚めかけたフィンだけがその正しさを知っている……みたいな構図をガンガン押していくべき話だったでしょどう考えても。ってかマジで8でのフィンの扱いだよ。なんなんだよあれ。

あの8で唯一「これは良かった」という演出をストーリーの一番真ん中に置いちゃうのはさすが。カイロ・レンくんの人間らしさを出す愛され演出もこの構成には抜群にマッチしていた。けど、そういうのもいいとこ探しになっちゃうよなーってデキ。

まーその、なんだ、JJ、まじでお疲れ……

ジュマンジ / ウェルカム・トゥ・ジャングル

 

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル 4K ULTRA HD & ブルーレイセット [4K ULTRA HD + Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: Blu-ray
 

新年早々なかなかひどい映画を見てしまったなー。

無印の『ジュマンジ』をちゃんとは見てないんだけど、派生の『ザスーラ』は見ていて、それと比べるともう全く入り込めなくてなー。だって、ボードゲームによって主人公のいる世界そのものが影響を受けてしまうことがあのボードゲームの一番の面白さでしょ? 「えー自分たちの住む家がこんなことになっちゃったよ!」っていうとんでもなさと、それを呼び起こすボードゲームっていう有無を言わせぬ求心力があるから成立するやつでさー。「コンピューターゲームの世界に入り込む」「死んでも復活できる」「NPCが存在する」みたいな「いかにもうまく設定を取り込みました」風の仕組みがが、オリジナルの面白さを完璧に殺していることに気付けないんじゃ、この映画もう根本から全くダメだよね。

もちろんストーリー展開もひどくて、ゲームだからというなんでもあり設定を言い訳に、思いついたことをガンガン入れるクソ展開。しかもそれぞれのエピソード、そこまで絵的に面白くなくね? 思いつきで石を落としたと思ったら、突然サイがグルグル回り出してビックリしたよ。動物博士を連れてるんだったら巨大蟻でグルグルとかそういう感じにしとけば良いのにねえ……あと空から落下するコントラ方式をラストで使うんだったら、それまでそのやり方で失敗するようなパートもあって良くて、ヘリでバラバラにさせるとかしちゃってもよかったんじゃねーの? ってか、いちいち落下の下敷きになるギャグとかで面白く感じる人いるのかね?

すばらしき映画音楽たち

 

すばらしき映画音楽たち [Blu-ray]

すばらしき映画音楽たち [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2017/11/22
  • メディア: Blu-ray
 

ハンス・ジマーがね、作曲依頼された後に「逃げ出したくなる」って言ってるんですよ。あのハンス・ジマーがですよ? 「こいつどこから声出てんだ」ってくらいの低いボイスでですね「ジョン・ウィリアムズに頼んでくれ!」とか泣き言漏らしてるんですよ。もうね、笑うしかない。おまえがそんなこと言ってどーすんだと。おまえほどの作曲家でもそんなプレッシャー受けるんかと。まあそんなハンス・ジマーの魅力満載のインタビューが全編通して大量にあるだけでもめちゃくちゃ楽しい作品であります。

映画音楽の通史の合間合間に色んな音楽エピソードとか実際の制作現場の様子とかが挟まれるというオーソドックスな構成で、まあ見ているだけでも楽しい楽しい。俺もさすがに映画をそこそこ触れてきたので、この映画で出てくる映画は9割くらいは見ているってのもあるんだけれど、それにしたってメジャーな音楽のオンパレードで大変心が躍ります。『キングコング』って音楽的にもすごかったんだなーとか、流れにあんまり関係なく突然差し込まれるモリコーネってやっぱ説得力あるよなーとか、バーナード・ハーマンは存在感あるよなーとか、あーそうか『2001年宇宙の旅』じゃなくて『猿の惑星』なのかーとか、あとジョン・ウィリアムズはバケモノだよなーとか、まあ俺みたいな素人でも面白い面白い。

でもこういうドキュメンタリーを見ていて楽しいのは、やっぱり心から映画音楽に撃ち込んで楽しんで尊敬している現場の人間の表情が見えるからだよねー。ハンス・ジマーがジョン・ウィリアムズをたたえるだけでもう嬉しくなりますよそんなん。

エイリアン3

 

エイリアン3 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

エイリアン3 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2018/03/16
  • メディア: Blu-ray
 

そしてデヴィッド・フィンチャーなのか……いやー本当に豪華面々が撮ったんだなー。

映画の内容は、「あ、デヴィッド・フィンチャーだからしょうがないか」となってしまうところがたくさんあって、いやしかし前作のエンタメオバケなキャメロンとどうしたって比べちゃうよなーという感じ。いきなりの設定から前作・前々作が男性/女性を中心のテーマに置いてあるのをかなり意識しているとは思うんだけど、しかしこの作品でそれがうまく生きているかっつーとよくわからんなー。序盤にリプリーが秘密を明かさなくて、それに呼応するように医者の方も秘密を隠す、みたいなやり取りは確かにデヴィッド・フィンチャーっぽいなーとは思うものの、しかし映画としては全然うまく行ってないのではなかろーか。

アクションもあまり良いデキとは言えず、見所のはずの迷路ダッシュは何やってるか正直サッパリわかんなかったよね。例によってなかなかくたばらないエイリアン君の手前で感動音楽が流れ出すところは爆笑だったけど、その後の放水フィニッシュホールドはさすがに説得力がだいぶ足りない。

そもそもキャラに対してなかなか感情移入できない、というかそもそもキャラの見わけがあんまりできていない。挙げ句リプリーも行動原理が全然良くわかんないし、最後にはバシャーンってやっちゃうわけでしょ?

男女の寓話でやるんだったら、もうちょっとそこをきっちりやって欲しかったよなあ。宗教の関わりもあんまりよくわかんなかったし……うーむー。