ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ロッキー5

 

ロッキー5 [Blu-ray]

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  • シルベスター・スタローン
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うっすら覚えてはいたけれども今改めて見ると破綻してんなー。

前作までのモンタージュ祭りはなりを潜めて、わりと初期の人間ドラマに回帰しているんだけれども、それが成功しているとは思えないよね。前回までが主に恋愛関係の暗喩で物語が構築されていたのに対して、今回は父子の関係で物語が構築されている。まあそんなにわかりやすくキリストバックに戦わなくても良いとは思うけど。例えばトラウマの解消パートでミッキーを父としておいているのも象徴的。それまでは愛情の対象としてのパートナーだったのが、今回は克服する対象としての生涯としての描かれかたになっていて、なるほどそういう読み替えを行う作品なのね、という感じ。

なんだけれども、この物語の二重性としてロッキーは負けられないわけで、父が子を否定するような物語になっちゃってるんだよなあ。トミー・ガンは明らかに父親を追い求める迷える子であって、その他に肉親の子供がいると言えども、擬似家族の子を殴って「お前はうちの子じゃない」みたいな結末って、正直クソだなーとしか思えない。息子に自我がある人間のように描くなら、もう少し彼を成熟して分別のある責任の主体として描かなきゃダメだったんじゃないだろうか? 「ロッキーのロボット」とマスコミがたたくときに、「ちがう、お前は独立した人間だ」みたいな教えを行わないで、放置して殴って終わり、というのは良くないと思う。

それにしても、ここまでがんばって引退させてリングから遠ざけたのに、ファイナルでまたリングに上げたのか……みたいな気持ちはある。ファイナル自体は悪くない映画だと思うけど。

ボクらを作った映画たち シーズン3

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シーズン3のデキが悪い。「ハロウィン」を見る方法がなくてこっちの視聴が後回しになってしまった、というのもあるんだけれども、まあそもそもシーズン3が面白くない。なんかスタッフが大きく変わったんだろうか?

面白くないと感じた理由がなんだかよくわからんのだが、うーんなんだろうなあ。見ていて映画へのリスペクトの足りなさ、みたいなのはちょっと感じるところがある。第一シーズン・第二シーズンは編集もキレキレだし、引用がバッチリ決まってるし、何よりきちんとプロジェクトごとの構成がされている感じがあったんだけれども、第三シーズンではテンプレに当てはめた工業製品になってしまった感じが結構ある。ホラー映画が映画史の中でどのような役割を果たしたのかとか、エイリアン2とフェミニズムの関わりとか、もうちょっとそういう俯瞰した視点の話が飛び込んでくれると思ってたんだよなー。ティムバートンとかはイマイチ自分よくわかってないので、そこら辺がこないのに食い足りなさを感じたというのは、たぶん、ある。やっぱり「ジュラシック・パーク」の回のエピソードって、CGがどのような経緯でスピルバーグに認められ、映画の流れが変わったか……というのが一番面白ポイントなわけで。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とかも、とにかく元の映画に依った編集のイジりが最高だったしなあ……

いや、単純にシーズン3の映画にそんなに思い入れがなかったのが原因だったのかも知れないけれども、全体的に当たり障りのないいい話にまとめがちで、もう少しこう、デフォルメと語りの比重を増やしても良かったんじゃないかなあ、と思います。

園子温という生きもの

 

 

Twitterの監督の発言と、それに対しての「インタビューでバッチリ女性への加害の証拠が描かれていたじゃん」みたいなツイートを見て、興味を持って見始めたんだけれども、いやー、あのインタビューほんとキッツいわー。だってあれ「プライベートと仕事を絡めて精神的な圧力を受けていた」ことの何よりの証拠じゃん。あんなにはっきり、パワハラの証拠を映像に残しておいて、しかもそれを全く問題と思っていないというか、むしろ「演技を引き出すための美談」みたいな一エピソードとして編集されていることに、心底恐ろしさを感じたよ。それって要するにこの映画を撮った監督が、コレだけ世の中で園子温の女性関係・パワハラが言われているにもかかわらず、あのインタビュー自体がそれに関連付けられるものとして認識できないような環境があるということだよね。これは、誰がどうとかではなくて、明らかにそれを許す状況があるという構造的な問題なので、指摘を受けて一度この監督もしっかり見つめ直してもらいたいなーとは思った。

大島新って「香川1区」の監督だよね。前の「なぜ君は総理大臣になれないのか」は大変面白く見たんだけれども、ああいう視点を持って選挙を撮ろうとしている人間でも、こういう認識に陥る構造に気付けない、というのは大変恐ろしいと思う。いやほんとに、悪意は全くないんだと思う、というか、そこに悪意があることにすら気付けないのがこの問題の核心だと思うので……

9/11 その時、司令本部で何がおきていたのか

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911から20周年を契機に色んなドキュメンタリーを見たけれども、ブッシュ大統領とその周辺を追いかけたものはそんなに見ていなかったので大変面白かった。エアフォースワンのドキュメンタリーは見たけれども、まさか当日テレビの状況が安定しないとかそういうことがあるとはね……当時は「テレビが一番早い情報」だったんだろうけれども、現在はスマホでSNSが一番早い情報伝達の手段であるはずで、その時に一斉にフェイクが巻かれたりしたら中枢も中々大混乱だよなあというのは、今のウクライナ情勢を見ていて思いますね。

そうそう、ウクライナ情勢を思い起こすと言えば、ブッシュ大統領がひたすらワシントンに戻ろうとしたというエピソードが印象深いですね。ゼレンスキーもキーウに残って人々の精神的な支柱になることを望んだわけだけれども、ブッシュ大統領もまた大統領として、ナショナリズムのプライオリティが高いことを体感的に認識していたということなのだろうなあ。

ライスの話はなるほどと印象に残る強烈さを持っているけれども、チェイニーの話はあんまり印象に残ってないというのもなかなか面白いなあ。あとパウエルが一瞬、アリバイ作りみたいに出てくるのもなかなか興味深い。っていうかパウエル、事件の瞬間は国外にいたのね……国連への演説に繋がる流れを、パウエル視点でみたいなあ、とは強く思った。

ハラ

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いやあ……これはなかなか難しい問題だなあ。

自分なかなかイスラム教の人との関わりが薄く、女性の社会進出の問題をアフガニスタンのドキュメンタリーとかで見たりはするけれども、現実的なアメリカ社会で信仰がどのように実践されているのか、というのはあまりイメージできなかったので、あーなるほどそこら辺には軋轢起こるよね、と思うなどした。体育の着替えのディテールとか、こういう形で見ないと中々イメージが難しいよなあ。っていうか、あー、やっぱりここでもスケートボードはアメリカ的な文化の象徴として使われるんだなあ……

それにしても、脚本としてあのお見合い含みの顔合わせのシーンでたまらず外に駆け出すというシーン、あれがフツーにドラマの展開として機能するのはまあ細やかにすごい。そしてそれが繰り返されたときに母親がちゃんと迎えに来る展開も大変良い。本当に繊細な作品だなーと。教師へのアプローチの展開、アレ中々できないでしょ。ビックリしたよ。先生かわいそう。

それにしても母子関係の距離感が真似できないなあと思う。男性との横の関係性が問題の話しかなーと思ったら、一番大事なのは縦の話しで、それは文化の継承の話でもあるという……「人形の家」との重ね合わせを鮮やかに表現したラストシーンとかも合わせて、うーんとてもきちんとした映画だよなあ、と思わされました。

ザ・バンカー

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「事実に着想を得た」というのって結構なかなか難しいなあ……どこからどこまでがフィクションとして大きく脚色されているかで、この話の受け取り方ってだいぶ違うと思うんだよなあ。まああらゆる「事実を元にした」というフィクションにつきものの問題だとは思うんだけれども、今回はより一層それを強く感じました。

サミュエル・L・ジャクソンの大物感が半端なく、そこが適切に演出されていたからまあそれで全部オッケー! となってしまうような作品であった。最後の最後にダメ押しでメガネのエピソードが触れられる当たりとか、気の利いたセリフがよくできてるなーと感心する。

結構難しい題材を扱っているはずなのに、それが上手いこと視聴者に伝わる感じになっているのも良いなあ。テキサスで銀行の罠にはまって捕まる当たりとか、普通もうちょっとワケわかんなくなりそうだけれども、土地のいやらしさを含めてほんと上手い感じに処理されていると思います。

最後に法の抜け道がサラッとハッピーエンドに直結しているのはどうなんだ? とは思ったけれども。自己犠牲の精神が必須……という話じゃないなのはわかるけど、「慈善事業」としての意味づけが、ヌルッとあそこでアウトローな資産形成の話になってしまうのは、なかなか難しい問題だなあとは思いました。

闘痔の旅

 

Netflixでシリーズが来てたのでとりあえず見た。気分が乗らないときに楽しく見れるのは本当に良い。

この頃大泉さんはまだ素人で初々しく肌の艶もあってなんか笑ってしまう。西城秀樹とのトーク(ウソ)の意気込みもあるけれども、「アドリブに弱い」を自称していて、あーこの頃はかなり揉まれていたんだなーと感じる。藤村さんのツッコミに「前に出すぎ」とか言ってるところも今見ると今更過ぎて大爆笑。

内容的には愉快な珍道中の初期という感じだけれども、まだ移動中の会話とかが少なくて慣れていない感じが微笑ましい。この時代にリサーチしてああいうマニアックな温泉を探し出してたのはすごいなーとは思うけど。ラストの「閉山」は、アイルランド編でも似たようなことやってたことを思うと、全然変わんねーなーと苦笑するしかないですね。