ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ザ・レポート

 

ザ・レポート

ザ・レポート

  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: Prime Video
 

『大統領の陰謀』的なアレ。「Amazon Studios」の配給で、まーこんなにガッツリ権力批判するのねーなるほどなーという感じ。Amazonってただの映像配給の組織じゃないから、Netflixとかと全然立ち位置違ってこういう反体制的なものができないんじゃないかみたいな思い込みがあったんだけど別にそんなことねーのかなー。共和党への批判、はもちろんオバマもバシバシ叩いている内容なのであった。

しかしなんつーか、起きた事実は確かにすげえショッキングで、これを映像化してわかりやすい形で広めるのには確かに意味があるのだけれども、それが映画とし面白いかというと「うーん」となってしまうなあ。あんまり葛藤がないというか、今更人道的な価値観よりも普遍的な政府の利益とか正当化するのって、作品としてないのは当然だよねって感じだし……葛藤らしい葛藤といえば、記者に記事をリークするかどうかってとこ? しかしそこに組織の両親を信頼できるかというドラマを面白がって読み取るのはちょっと難しかったような気がするなあ。マケインとかの前提知識があれば違ったりするのかしら。ベトナム戦争で捕虜になっていたのは確かに聞いたことがあったけれども、それで共和党にいながら捕虜に対する振る舞いは……みたいなアングルだったのね。

あと主人公に厳しい言葉を投げつけるキャラクターが基本的に女性というのもどうなんだ。後半上司が味方になってくれるのもあって、まああえて置いた展開なのかもしれないなーとは思ったけれども。

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey

 

うーん、狙いすぎというか、理屈ではわかるんだけれども、うーん全然よく見えないなー。コレだけ込み入った時系列だったらもっとブン回さなきゃダメじゃないですか? 編集のテンポが遅いというか、もう少しカット割り細かくスパンスパンと見せていってもらわないとしっくり来ないなー。もちろん主演ががんばってアクションしているのをきちんとワンカットで見せたいというのはアクション映画として正しい欲求なのだろうけれども、この作品って肉体そのものの動きよりももっと集中するべきところがあるのでないかなー。序盤のハーレイクインの失恋を饒舌な語りとともに混乱した時間軸で見せていくその構造自体は大変素敵だなーと思ったので、そこら辺で乗り切れなかったのはもったいないなーと思いました。ウンチを待つ話しの滑稽さとか、そこら辺の単品のアイディアは決して悪くないと思うんだけれどなー。このジャケットといい、だいぶ垢抜けていない感じだよねー。遊園地のシーンとかも、もっとかっこよく取れる感じがするんだけどなー。

なんつーか、MARVELだったらもっと小洒落た感じに仕上げられたよなーという感じが強く、そういう意味では大変もったいないなーと思う作品でありました。

ロケットマン

 

ロケットマン [AmazonDVDコレクション]

ロケットマン [AmazonDVDコレクション]

  • 発売日: 2020/07/22
  • メディア: DVD
 

そもそもエルトン・ジョンに全く思い入れがなかったものだからなー。自分のイメージだと「キングスマンに出てくる変な格好をしたおじさん」、ってのは言い過ぎか? もちろん有名曲は聴いたことがあるけれども……っていうか有名曲は大体前奏が始まった時点で「あ、この曲知ってる!」となるくらいなのがすごいよなー。結構有名な曲でも、イントロの部分では全然ピンとこなかったりするじゃないですか。

ほいで映画の内容だけれども、音楽! 金! ドラッグ! でも満たされないスーパースターのロンリーハート! に、ゲイの立ち位置をぶっこんで完成! という感じの展開で、うーん正直しんどいなー。家族の愛情を注がない感じもスーパー紋切り型というか、えーと、そんなに非人間的な振る舞いを映画として描いちゃいます? という感じ。必要なものはまあまあ揃っている感じもするのだけれども、うーん、何が足りないんだろうなあ……

ドラマとしては結構問題が序盤で分かりきった作りになっちゃってて、そこから展開がないのからしんどいのかもしれないけれども、うーんでもそういう事実を根っこにしてるからこれどうしようもないよなー。っつーか禁酒を達成したのはわかるんだけれどもドラッグ依存症のほうはちゃんと治療できたものなのだろーか。

イコライザー2

 

イコライザー2 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

イコライザー2 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/08/07
  • メディア: Blu-ray
 

たるいなー。もう少し脚本どうにかならなかったの? あれだけ地味に積み重ねた人質があんな楽ちんに助けられちゃったらだめでしょー。中盤のどんでん返しもうーん全然どうでも良いよって感じだし、雰囲気だけ雰囲気良い感じの映画になってしまっていやあしないだろうか。

まあ前作のことサッパリ忘れてるのが悪いのだけれども、そもそも主人公のことがそんなに好感抱けないのが結構問題。いやまあ確かに悪い人じゃないのだろうけれども、なんか中途半端なキャラになっちゃってませんかね。

あと能力が後半全く発揮されなかったのなんで? 前作もちょっと持て余し気味だったけれども、今作ではだいぶこう「バトルどうしたら良いかよくわかんないや」って感じになってるよねー。確かにハリケーン化でバンバンアクションする、というのはわからんでもないんだけれども、それデンゼル・ワシントンにとってメリットにしかなってないから、そんな状況にする必要そもそもある? って感じ。ホームセンターバトルみたいな面白アングルになってないよねー。

ラストの再会のパートも「えーなにそれ要る?」って感じだし、うーん、やっぱりもうちょい脚本どーにかならんかったのかしらねぇ……

RBG 最強の85才

 

RBG 最強の85才(字幕版)

RBG 最強の85才(字幕版)

  • 発売日: 2019/12/03
  • メディア: Prime Video
 

来そうだなーと思ったらNetflixに来ていたので。

なんか以前から薄々思っていたけれども、あーそうかーアメリカでは若年層にある程度政治がブームになってきてるのかー。まあSNSで情報が浸透しやすくなって、という状況は普通に考えたら国民の政治参加に対してプラスに働くよなーどう考えても。もちろんその状況が今のようなフェイクニュースの蔓延を招いてもいるのだろうけど。

まーしかし、最高裁がきちんと政治と対峙して国民に共有される状況ってのは、まあ民主主義って感じでございますね。もちろん今のアメリカの民主主義が全部素晴らしいってワケでは当然なく、だからこその歪みに喘ぎ軋んでいるのが今の状況ではあるのだろうけど、少なくともその喘ぎ軋みさえも隠蔽されていない本邦とはまあ雲泥って感じだよなー。まあそもそも裁判に対する日本の関心が低すぎる、という感じもする。

しかし昨日『それでもドキュメンタリーは嘘をつく』を読んでしまったので、ドキュメンタリーに対する見方はなんか一層注意深くなった気がするなー。っていうかこういういわゆるリベラルな政治的主張を色濃く滲ませたドキュメンタリーのエンディングが意識高い歌なのマジでなんなん? 内容的にはかなり感心するのだけれども、あれ聞く度にクッソ萎えるのだけど、まあああいうのに鼓舞されちゃう支持層が多くなってるってことなんだろうなー。

それでもドキュメンタリーは嘘をつく

 

それでもドキュメンタリーは嘘をつく (角川文庫)

それでもドキュメンタリーは嘘をつく (角川文庫)

  • 作者:森 達也
  • 発売日: 2008/09/21
  • メディア: 文庫
 

最近ネットでパワハラ問題があったときに、それを擁護する文言が出てたよねー。森監督は「FAKE」しか見てないので抑えるべきところ抑えとかんとなーとは思うんだけれども、それはともかく本の名前自体は一応知っていた。最近フィクションとノンフィクションについて考えることも多かったので、いつか読まなければなーとは思っていた。

本はまあ面白い。基本的に書いてあることは、ドキュメンタリーとかフィクションとかを見て個人的に考えていることと繋がっていて、あーそうだよねーそもそも作品をつくることってこういう作用から逃れ得ないよねーという納得感がめちゃくちゃ強い。でもまあそれってただの感覚的なものでしかなくて、それらの印象が歴史的にどのような経緯を辿ってどうやって認識されている、みたいな文脈がきちんと提示されてオーなるほどーと頭の中が整理された感じはある。

最近めちゃくちゃ面白かった「監視資本主義」みたいなドキュメンタリーも、でも作品としては稚拙みたいなのをネットで見て、まあ確かにそうだよなーと納得していたのだけれども、そこら辺が綺麗に言語化されただけでもありがたい。「ニーナ・シモン 魂の歌」みたいなドキュメンタリーのほうが全然面白かったもんなー。もっとも森監督がドキュメンタリーに求めるものってもっと別の魅力なのかもしれないけれども。

神様になった日

 

神様になった日 1(完全生産限定版) [Blu-ray]

神様になった日 1(完全生産限定版) [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/12/23
  • メディア: Blu-ray
 

珍しくアニメをリアルタイムで完走。

「原点回帰」を掲げたらしいがしかしなー、アップデートせずにアニメへの最適化をせずにそのまま原点に回帰してしまったような感じだなあ。

前半の単話でもあったのだけれども、泣かせに行くエピソードの滑っている感がかなりすごいんだよなー。これはやっぱりシナリオの問題だよなー。30分の番組で泣かせるようなつくりにできていない感じがすごくする。もしガチでやるなら、映像作品なんだし、もっと散文的に情緒にふって雰囲気出してくべきだと思うんだけれども、基本的にノベルゲーム的な無個性主人公視点をベースに、みたいな脚本になっているような、気が、する。後半の主人公の努力をゲームに据えちゃうのも、うーん情緒がないなあという感じ。

しかし最後に奇跡が起こらなかった立て付けはだいぶしんどかったなー。あれって絶対「フィクションによって現実が救われる話」の立て付けのはずであって、現実では脳の手術で別人格に分断されてしまったひなが、フィクション内の編集(逆撮り)によって「手術前→手術後→手術前」というふうに繋がって、同一人物であることが担保されるべきつくりだと思うんだよなー。フィクション内で奇跡を起こさず、あとでオーディオコメンタリーとして手術前のひなが救済をもたらすこの構成は、「フィクションが奇跡を起こすための手段である」という手法をメタ視点では否定してしまっていて、あー、つまりは作り手自身も奇跡を起こすことが信じ切れなくなっているのだなー、という感じが半端ない。ゆえにしんどい。