ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

セサミ・ストリートへ愛を込めて エルモに命を吹き込んだ人形師

www.netflix.com

いやーそうだよなーオレにとっては当たり前で深く考えもしなかったものにも技術があって歴史があって語られるべき物語があるんだよなーというのを思い知らされた感じ。そもそもあんまりセサミストリートがよくわかってなくて、知り合いがエルモ推しだったのもへーそうですかって感じで聞いていたし世界中で大人気だったことすら知らなかったんだけど、はーなるほどそういうことがあったのかーといちいち感心させられるだけの力がありました。

やっぱりひとつのことに熱中することで世界がひらけることはあるってのは素晴らしいことだし、またそれを導く師弟関係があるのは大事なんだなーと思います。自分が受けた恩を次の世代に繋いでいくシーンは、まあベタだけどやっぱり感動してしまいますよねー。そこでちゃんとレジェンドの名前が継承されている辺りのくだりも泣けますよねー。

そして貧困と流動性のなさがそのチャンスを奪いかねないということも明らかに示されていて、あー今の時代はネットがあって良かったなーと本気で思います。修学旅行がなかったら逢いにいくきっかけがなかったんだろうしなー。

私が愛した大統領

 

私が愛した大統領(字幕版)

私が愛した大統領(字幕版)

  • 発売日: 2014/06/07
  • メディア: Prime Video
 

ビル・マーレイが大統領って大丈夫か。第2次世界大戦を本当に戦い抜けるのか。パラダイス・アーミーみたいになるんじゃないのか。正気かおいアメリカ。

とか思ったけれどもまあなんというかこういう映画がやってくるとは思わなかったなー。多少はフランクリン・ルーズベルト周りの話も見ていたから、まあ障害を持っていて広報的にはあまりそれを見せなくて……みたいな話は知っていたけれども、不倫というかハーレムというかそういう人物像をたっぷり描く映画だとは全く思わなくてビックリだぜ。ぶっちゃけそっちのドラマはあんまり良くわかんないというか、ああいう立場で公然と不倫をして……みたいなのが想像できないのであんまりおもしろくもなかったのだった。内面とか読みとれんのはおれがあんまり細やかさがないからとかなんだろうなー。

っていうかあんな田舎に国賓を迎えたりするのはアメリカ的にアリだったんだなー。エリザベス女王と一緒に来たのは吃音のあの国王さんね。イギリスとの関わりってチャーチルとあーだこーだやるのかと思っていたからそこら辺はちょっと残念ではある。

まーしかしお互いに障害を持った国の指導者が向き合うシーンはなー。色々考えさせられるなー。選挙で自ら大統領になった男と、生まれついて国の代表となる運命をせおわされた男の対比がなー、なんともなー。

ウィンター・オン・ファイヤー: ウクライナ、自由への闘い

www.netflix.com

私不勉強でウクライナのことなんてろくに知らなく、だからこういう事件があったことも当時は全く追いかけていなかったのだけれども、いやーすごいなー。これがデモの力、これが市民運動……って感じ。

まあとにかく全編映像の力・説得力に満ちあふれているのだけれども、とにかくウクライナの冬でデモが行われているという画がやばい。ズルい。降りしきる雪とバリケードと燃えさかるタイヤ、そして周囲を取り囲む教会に中央に立つ塔……いやはや、こんなの映画でも用意できないですよマジで。

そして印象深いのはやはり「広場」が舞台になっていること。市民が集まる場所としてデザインされてんだなーヨーロッパの広場は、というのが大変よくわかる。日本でも新宿西口の広場が学生運動でどーのこうの言ってたのは、まあこういうことなんだよねーという感じ。

あとは宗教が社会の中で果たす役割も大変興味深い。緊急で作られた診療所も破壊される中で、宗教施設がその役割を果たすんだなー。レイヤーが異なることでちゃんと特殊な機能が果たせていて、うーん宗教というのはバッファとして優秀に機能するのだなーと思う。

しかしまあ直接的な内容に関してはひたすらえげつない話だよなー。交渉しては裏切られ、交渉しては裏切られ、どころかどんどんエスカレートし……というのは見ていて大変つらかった。マシンガンとか持ち出された時はもうホント唖然とするしかない。

いやあ、デモで平和的に現行の制度に則って問題を解決しろとか、まあ当然それが無理なこともありますよねーって感じ。こんなんやられたらどーしょーもないじゃん。

パッチ・アダムス

 

パッチ・アダムス [Blu-ray]

パッチ・アダムス [Blu-ray]

  • 発売日: 2016/08/24
  • メディア: Blu-ray
 

うーん、このロビン・ウィリアムズ炸裂って感じ。この役柄はこのキャストじゃないと無理だよなー。結構ストーリーが「え? そこ省略しちゃうの?」ってところが省略されてて、でも一応ちゃんとお話が繋がっているのはロビン・ウィリアムズのキャラクター性にだいぶ寄っかかってるよねー。具体的には病院で信頼を勝ち得るくだりとか、成績が良いくだりとか。一番おいしくて難易度高いそこをヌルッとパスしちゃうのはちょっとズルいなーと思う。

一方人間ドラマとして一番重要なヒロインの死については本当にそれでいーの? という感じはする。蝶々の話は確かに印象に残ったけど、自殺前に蝶々見つけて思い止まって……って展開はさすがに都合が良すぎやしないだろーか。いやああいう奇跡でクリアさせるしかない障害なのはわかるけど、わかるけどさー。立ち直った後の行動にも、彼女の思い出みたいなのが結構薄いのは、うーん本当にそれでいいのかしら? という感じがするよなー。

これもまた事実を元にした物語……という話ではあるのだけれども、あまりにもロビン・ウィリアムズがロビン・ウィリアムズっぽすぎて全然地続き感がないのも困りものである。まーそのくらいのリアリティをあえて採用したのだろうけど……

華氏119

 

華氏119 [Blu-ray]

華氏119 [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/03/03
  • メディア: Blu-ray
 

Netflixに来たのでようやく見られたんだけれども、いやーようやくちょっとずつ挿入される映像の意味がちょくちょくわかるようになってきたなーって感じ。ブッシュゴアのフロリダのアレとかあーそうそうこないだ見たよってなるよね。

全体的には、あー、アメリカという国のダイナミズムを思い知らされた感じ。今BLMでガンガン盛り上がっているのが放送されて、日本人が自分の国の価値観であーだこーだ意見を言ってたりするけれども、まーなんつーか民主主義に対する理解がぜんぜんちげーよなー。そもそも日本にマイケル・ムーアがいないもんなー。

いやもちろん冒頭からメディアが面白半分にトランプを取り上げたっちゅー拝金主義が、ふさわしくない人物を大統領にしてしまったという鋭い指摘があって、うおーそうかーいきなり核心を突くなーと感心させられたんだけれども、フリントの信じられない事件を経由しつつ、オバマへの失望をしっかり語りつつ、ナチスのプロパガンダになぞらえるのはちょっと直接的すぎて作意がヤバいよなーと思いつつ、最後にはしかし民主主義の希望みたいなのを語るのはホントにすげーなー。こんなにも率直に民主主義についての作品が投げ込まれるとは思わなかったので本当にびっくりした。いやあすごい。すごい。

マイケル・ムーアが今のアメリカをどう見ているのか、いやあ、すげえ気になるなー。

 

辞書になった男 ケンボー先生と山田先生

 

なんかバカみたいに重要なことを繰り返して冗長なのは著者がテレビ出身だからなのかなー。もう少し構成とかスッキリさせて読ませて欲しいとは正直思う。同じ記述が繰り返されすぎでうんざりする。

がまあ、それをさっ引いても面白すぎる内容で、国語辞書に書かれていた言葉の何気ない解説の裏にはこういう意味があったのだ、というミステリ的な立て付けはもう素晴らしすぎる。「時点」のエピソードひとつでこれもう映画になるヤツじゃん! って感じ。こんなの良く見つけ出すもんだなー。

ふたりの辞書編纂者の生き様を対比させる構成は美しすぎるし、それがある一点で破綻したという事実もおいしすぎるし、またそれを周囲の人間の聞き取りから探っていくという構成も満点。度々挟まる言葉の解説はちょっと作りすぎ? と思わせたりもするけれども、まあそういうふたりの関係を反映したものであってほしいと思わせている時点でまあ勝ちだよね。勝ち。素晴らしい。

とかいうもののやっぱり根本にあるのは普段全然知る機会のない辞書作りに関わる人間の生活への興味で、見坊先生の生活を書いてるだけでもふつーに面白いもんなあ。辞書関係の本をもうちょっと読もうかと思っちゃいましたよホントに。

バグダッド・スキャンダル

 

バグダッド・スキャンダル [Blu-ray]

バグダッド・スキャンダル [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/05/08
  • メディア: Blu-ray
 

バグダッドでの国連のスキャンダルを追った映画、ではあるんだけれども、まあ事実が面白すぎるのでなかなか映画という形で何を見せるかが難しいよなーと思わされる。スピルバーグの『ペンタゴン・ペーパーズ』はやっぱりすごく気が利いていたんだなー。

この映画はやはり父親的な役割を果たすベン・キングズレーとの関係が焦点だと思うんだけれども、うーん、実はあんまり主人公側に感情移入できないとは正直思う。ベン・キングズレーへの信頼が揺るいだりするのを楽しむべきつくりだとは思うんだけれども、もう少し泥臭い共感できるところから入らないと、「まあ国連くらいでかくてそういう利権があれば、こういう行動とっちゃうのかもねー。っつうか賄賂はどう使ったの?」みたいに客観的に映画を終えてしまうよなあ。バグダッドに到着してからの異国情緒に触れるシーンとか市民の生活に共感する当たり前のパートが「まあ知ってるでしょ」って感じで割合吹っ飛ばされている感じがしたんだけれども、そこが結構致命的なんじゃないかなーと思いました。

あとどーでもいいけど車に乗り込むシーンで画面がヒキになると人間無意識のうちに身構えてしまうのね。あーこれエンジンかかったとき爆発するアングルだわ、というの。爆発しなくても結構そういう緊迫させるアングルが演出として使われているような気がするなーと思いました。