ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ヴィルンガ

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あーはいはいアフリカね、コンゴね。旧宗主国が資源を求めて色々汚い手を使ってるのね。そこで世界遺産で見るようなレンジャーが密猟者を取り締まってるのね。はいかわいいマウンテンゴリラさんね。いやー大自然綺麗だなー、なんて暢気な感じで見ていたのだよ。最初のウチは。

でもね、途中で反政府勢力が制圧しつつ近づいてくるわけですよ。自治体とか全く機能しない状態になるわけですよ。みんなあぶねーぞって必死に逃げてくわけですよ。そこで、そこで、でも、レンジャーは、ゴリラを守るために、そこにとどまるの。ヘリとか戦車とかでドンパチしながら、命を賭けて、ゴリラを守るの。

え? え? マジで? なんで? なんで?

いやまあさすがにそこまで来ると、鈍い私にもだんだん全体の構図が見えてきて、グローバリズムで資本主義が圧倒的な力で発展途上国を塗り潰していくギリギリのところに、ジャーナリズムやら文化的価値やらがせめぎ合って、なんとかこう、その土地の人々の文化というか精神というかを守ろうという話であって……いやーちょっと壮絶すぎる。レンジャーたちは全てを呑み込む欲望に対して、ヒューマニズム、でさえないな、その向こう側にある人間でないものへの慈しみみたいなものをベースに、命を賭けて戦ってるのであった。いやはや、すげーものをみたわ……

パンの文化史

 

パンの文化史 (講談社学術文庫)

パンの文化史 (講談社学術文庫)

  • 作者:舟田 詠子
  • 発売日: 2013/12/11
  • メディア: 文庫
 

『焼きたて!!ジャぱん』が面白かったので……って我ながら単純である。

文化史、とタイトルにあるように、パンを取り巻く文化の歴史が様々な観点から述べられていくのだけれども、いやあ文化史面白いですね。めちゃくちゃ面白い。わりと序盤の方で、遊牧民がパンを焼くために持ち運ぶ鍋の話が出るんですけど、なぜこの形でなければならないのかというのが文化的背景からものすごーく納得のいく形で説明してあって、最高に興奮しました。単においしいおいしくないじゃなくて、どうしてそのような形になったかというのも、やっぱり食の情報としては重要よね。

火を使って窯をおこしてパンを焼く、というのが当たり前だけどめっちゃ大変だというのも改めて意識させられました。そうだよなー現代の火の管理がイージーすぎるんだよなあ。まとめて焼いて年に2回とか、自分の知ってるパンの概念と全く違ってビックリしますねえ。あとなぜパンの焼き方は姑に習うのか、の謎解きの鮮やかなことったら! 言われてみりゃ納得なんだけど、ね。

最終的にパンを分かち合うことの意味、みたいな壮大なスケールの話になっちゃったけど、まあしかしそれもわからんでもないよなー。ドミニオンで「パン屋」ってカードがあった意味がわかんなかったんだけど、あんなにキリスト教圏の人々の文化を根幹から支えていたならまあ納得せざるを得ないです。いやはや、興味深い本でした。

レゴ® ムービー2

 

レゴ® ムービー2  ブルーレイ&DVDセット (2枚組) [Blu-ray]
 

えーなにこれ? めっちゃおもしろいんだけど……すげー……

マーベルはほんとよくやってんなーそれに比べてDCは……みたいなことをいつも言っているけど、うん、このレベルの演出だったら対抗できるよね全然。メタな作品であることを生かしてリアリティのレベルを自在に操って、何でもアリになりそうな前庭の中でしっかりオモシロストーリーを成立させてるの、うん、ちょっとすごすぎるわ。こんな表現がありえるのだなー。ひたすら感心するしかございません。

途中の洗脳されてるされてない云々のバランス感覚は抜群だし、時間旅行種明かしまでの鮮やかな転換も素晴らしいし、うーん、この話をこんなに洒脱に語ることって可能なんだなあ……今もちょっと信じられない。っていうかあの収納されてからの逆転を歌で繋ぐところ上手すぎでしょ。最初はわりとザックリしてるなーと思ってたテーマが、今の社会に必要とされる普遍的な問題に結びついて提示されて、しかも作品の屋台骨を支えるあの歌の改変でしょ? いやー、参りました。

で、あのエンディング最高過ぎるでしょ。今まで見たエンディングの中でも指折りですよ。洗脳ソングとか含めて、こんな劇中歌が良い作品もなかなかないよなーと思いました。

東京リボーン 第4集 巨大インフラ 百年残す闘い

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まあ今東京をテーマにとると、持続可能性に焦点が当たるのはごく当たり前のことだと思うんだけど、それにしてもなんつーか全然リボーンじゃねぇな……金田がバイクで変なモノローグを口にする度に、AKIRAをバックグラウンドに敷いたことの歪みみたいなのが吹き出してくる感じ。あのキャラ別に首都高の恩恵とか受けてる側の立ち位置じゃないんじゃないですかね……まあどうでもいいけど。

しかしまーまさかこんな地味な話になるとは思わなかったなー。保守点検のために足場をつくって……ってめっちゃいい話だけど、この立て付けでやる話じゃないでしょ。どっちかっつーとプロジェクトXでしょ。あー、そういう意味では煽るナレーションも悪くないのかなー。でもなあ、都市をテーマにドキュメンタリーを描くとき、誰か個人の活躍へと焦点を当てすぎるのはホントよくないと思うんだよなー。現場の職人のがんばりばっかりが強調されて、その向こうのグランドデザインを描いている人間中心に据えられないのはマジでどーかと思う。

首都高日本橋を地下に変更するところとかさー、景観との兼ね合いでふつーにもっと色々観点があったところじゃん。そっちの方をどーして惚れないのかなあ。ベイエリアで団地のコミュニティとタワーマンションを描いてたときは、そういう視点ガンガン飛び出すと思ったんだけどなー。回が進む度に、うーんその視点で良いの? って疑問が湧き上がってくるシリーズでありますはい。

ショート・サーキット

 

ショート・サーキット(字幕版)

ショート・サーキット(字幕版)

  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: Prime Video
 

作品中でも出てくるしこのジャケットもだいぶトラボルタ感あるよねーと思ったら監督がジョン・バダムって同じなのね……なるほど納得。

「ロボット版E.T」とか説明があったりしたけれど、ナンバー5との接触に緊張感がないのがどーもなー。コメディなんだしいーっちゃいいのかもしれないけど、戦闘兵器としてつくられたものが壊れて日常に紛れ込んで――って展開なんだから、そりゃあむしろあの軍人たちのリアクションの方が当たり前だし理にかなってるよなー。あのストーカー男を撃退するのにも適度に出力を調整できちゃってるし、そこを不安に思わせたりしないのは、まあ映画の指針としてはアリなんだろうけれども、だいぶもったいないなあと感じてしまう。動きの巧みさでナンバー5イイネ、と思っちゃうけれども、きちんとシナリオを織り込んでやれば、もうちょっと上手いことやれたのでは……と正直思いました。

ヒトラー暗殺計画: 強運に恵まれた悪魔

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ヒトラー暗殺計画というとトム・クルーズが眼帯をしている絵が思い浮かぶけれども、それ以前にもちょこちょこ暗殺の計画はあったということで、そこら辺を追ったドキュメンタリー。映画ではないのかな?

色々暗殺計画があったというのはへーなるほどーって感じだけど、あーロンメルの名前が出て来るとは思わなかったよ。ちょこちょこ名前は出て来るけど、アフリカのあれやこれや含めてちゃんとどういう人かは理解してないので、ロンメルについては知っておかんとなー。ナチスの中でも結構特殊な位置っぽいよなー。

しかしこれだけ強運に守られると、カミカゼ的に天が味方をしてくれている、って思っちゃうのもわからなくはない。なるほどなー、カリスマっていうのはこういうものかーって感じ。

しかしドキュメンタリーとして新味があったかというとそんなこともなく、うーんもうちょっと違った角度から見たりとかしたかったなーというのが正直なところ。

逃走迷路

 

逃走迷路 [Blu-ray]

逃走迷路 [Blu-ray]

  • 発売日: 2013/05/10
  • メディア: Blu-ray
 

うーん、これは中盤以降の展開が完璧に迷路だよなー。時代背景とかサボタージュとかのバックグラウンドがよくわかんねーというのはあるけれど、それを抜きにしてもニューヨークパートの怠さはちょっと看過できないのではないだろうか。序盤がヒッチコックのサスペンスとして悪くないので、だいぶしんどいなーと思うのだった。特にヒロインと行動を共にすることになる当たりのパートの辛さはヒッチコックらしからぬ感じ。

しかしこれなんかヒッチコック作品の中でもずいぶん政治的主張が強いように感じるのは気のせいかしら? 『北北西に進路を取れ』は最後にザ・アメリカな感じの場所でやったけど、テーマとかそんなに強かったっけ? この作品は自由の女神で「人々の良心を信じる」って、いかにもベタベタにクソ真面目にやっていてちょっとビックリしてしまった。サスペンスでガンガン引っ張るだけでいーじゃんヒッチコックなんだし! って正直思ってしまう。

いやー、しかしなんだろうなああのパーティーパートの微妙さは。あそこだけものすごく緊張感が緩い感じがする。社会情勢への不安が下敷きになると、あのくらいの緩さでも切実に感じられたとかそういうことなのかなあ……わからん。