ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

オリンピック秘史: 120年の覇権と利権

 

オリンピック秘史: 120年の覇権と利権

オリンピック秘史: 120年の覇権と利権

 

オリンピックは最近あーだこーだゆわれとりますが、まあ日本において前回1964の東京オリンピックというのは戦後を語る上で絶対外せない重要な通過点なワケであります。第二次世界大戦を経て平和国家としてアピールしつつも新幹線と首都高が完成してその後の経済発展の礎を築いた、みたいな安直な見方をしてしまうわけであります。ところが翻って2020の東京オリンピックって何? こんな実際のところどーしょーもないイベントなんですかオリンピックって?

という疑問から読み始めたんですが、いやあ、オリンピックのどーしょーもないところをガンガン列挙する内容で超面白い。もちろん近年の記述が実体験によりだいぶ厚いのを見てもわかるように、作者はたぶん一貫して批判的な視点からこの本を書いているわけで、そこら辺さっ引いて見なきゃならんのだろうけど、それを加味してもこの本はめちゃくちゃエキサイティン!

オリンピックにまつわる神話を剥ぎ取ろうとして、とにかく「オリンピックがいかに政治的であったか」という話を終始繰り返すのがまず印象に残る。近年の北京での夏冬オリンピック連発も、国家体制から考えて政治的な思慮から自由であるわけがない。ってかこの120年っていかに白人男性至上主義的な価値観がひっくり返されてきたかな歴史って側面があるわけで、まあこれだけでかいイベントでそう言った歴史の流れと無関係であるわけがないよね(まあ逆に言えばそういった歴史的な偏見は当時当たり前だったのだから、この本はオリンピックだからといってそういった差別的な出来事を強調しすぎって感じもする)。

オリンピックは予算増えて当たり前、ってこともはっきり書かれていて良かった。初めの頃からオリンピックは開催費用との戦いで、まあ水増しで予算が増えちゃうのは織り込み済み、みたいな記述が当然のようにあって、2020のあーだこーだを見ていた身としてはデスヨネーって感じ。なんだけど、ロスオリンピックが転機となって国が負担をして企業が甘い汁を吸うみたいな構造になってるとの指摘は大変納得感があります。ってかアトランタオリンピックってコカコーラのおかげかよ! じゃあ2020もトヨタ力なんだろうなーというのは想像に難くない。

あとはなー、オリンピックが過去何回も住民運動で立候補の危険とか返上されていたってのが明記されていてうわーとなる。日本じゃどれだけ不支持が集まっても、きちんとした運動に結びついて建設的に解決への動きがまとまるとかあり得ないよね。

いやあ、ほんと色んな意味で面白いなあ2020のオリンピック。