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ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

その10文字を、僕は忘れない

ラノベ 書籍

 

その10文字を、僕は忘れない (ダッシュエックス文庫)

その10文字を、僕は忘れない (ダッシュエックス文庫)

 

「うおーこれまんま美少女に欠点負わせてその解決が恋愛関係に直結するヤツだよなああんまり感心できないよなあ」と思ったけどそこまでは織り込み済みといわんばかりにそれが恋愛感情なのかどうか、みたいな話になっていくのだった。

いやまあそういう問題意識はわかるけど、なぜそういうテーマが浮き出てくるかというと、前半の恋愛パートの比重が「欠点とその解消」という物語装置のメカニズムに多くを負いすぎているからでしょう。欠点の解消はきっかけに過ぎず、それを支点にヒロインそのものの長所が伝わらなきゃいけないんだけど、この話ははっきりそこに失敗してるよなあ。そもそも文字を書くヒロインの挙動が全然良く思えないもん。

後半の主人公の苦悩が生まれてしまうのも、結局前半でヒロインそのものの魅力を描くことができず、物語装置のみで恋愛を成就させてしまったが故の問題定義であって、裏を返せば物語装置に依らずヒロイン単体を魅力的に描けていれば、「これは本当に恋愛感情なのだろうか?」という疑問自体生まれるはずがないでしょう。

ましてエンディングは本当に納得がいかなくて、ふたりの間が離れることを「ヒロイン側に植え付けられたトラウマ」に求めてしまうのは、はっきり問題の先延ばしというか、彼女に新たな物語装置としての弱みを付与してるだけじゃん。ふたりの間に生まれた距離も問題の放棄にしか過ぎない。

構造的にいえば、「10文字しかしゃべれない」というヒロインが物語的装置を解消し、つまりは普通にしゃべれるようになってから、それでも彼女と上手く恋人関係を構築し続けられるか、という日常が描かれるべきでしょう。

失語症、といういかにもそれっぽいドラマティックな恋愛をなんとか乗り越えて、さあやっと日常的なサムシングでヒロインの魅力を描くのかなあと思ったら、才能と恋愛に引き裂かれる男女の話という大上段からの物語が襲ってきて、読んでいてつらいなあ、と思いました。