ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所

 

大統領選以降のアメリカを探るシリーズ。色々見たり読んだりしたけれども、これが一番今の状況をうまく説明できる気がする。

まず一番驚いたのが「ゲーティッドコミュニティ」のカジュアルさ。どことなく話では聞いたことがあって、「へーアメリカって富裕層がそこまでやるのかやべーな……」とか漠然と思っていたんだけれども、この本によるとゲーティッドコミュニティはかなりたくさんあるらしい。家もそんなに高すぎはしないらしい。マジか。でも市民の自治の意識が日本なんかのあり方とは全く別レベルで高いのは、アメリカという国家の成り立ちを考えればなるほど納得できるよなあ。

最後にまとめられているように、9のコミュニティはそれぞれ様々な意味で象徴的であり、いやこんなに多様性があるのは確かに面白いなあ。普段ハリウッド映画からは見えてこない衰退していく地方の状況もきちんと押さえてあって、そうそうこういうのが読みたかったんだよって言う感じ。

あとは政治だなあ。どの地域にも経済の問題が密接に絡むというのはまあ納得だけれども、ことある毎に共和党民主党への言及が挟まって、あー二大政党制ってこんなにも地域に根ざしてるんだなあと改めて納得。

しかし文章がとても気持ち良くて、それぞれの章の冒頭と末尾、筆者がコミュニティにやってきて出て行くパートの随筆が大変良い。

 

イエスマン "YES"は人生のパスワード

 

このジャケットが良くないんじゃないかなあ。なんか想像していたのよりもずっと洒脱で愉快な作品で、今までなんとなく避けていたのを後悔するデキだった。

いやね、最初に「イエス」と言い始めるきっかけのエピソードが迫力不足なのは大変残念だし、それ以降のストーリーもまあ大体のところが想像できるし、エピソードそれぞれの切れ味はそんなにあるわけじゃないし、とまあ大満足とは言えない部分もたくさんある。

あるんだけど、はいごめんなさい、ちょっとヒロインが悪魔的にかわいすぎて私負けましたわ。なんなのあのコ。登場のバイクのエピソードは「素敵だけどやり過ぎだけど素敵ですね」って感じだし、再会のバンドの歌がもう本当に素晴らしすぎて延々リピードしたいくらいだし、ってか旅行の時の赤線の入ったあの衣装が最高にかわいい。やばい。あのヒロインが動いているのを見るだけで、この映画を再生した甲斐がありました。大満足。

マッケンナの黄金

 

なんか色々飛ばしてんなーこの映画。冒頭いきなり歌詞入りの曲をたっぷり聴かされるところから「尋常じゃない作品だ!」とは思ったけど、なんつーかとにかくクドい。そこそこカメラが面白いんだけど、「ホラ見ろこんなにたっぷりとこの迫力ある映像を見せてやるぜ!」ってやられると食傷気味になるよね。あんだけ迫力たっぷりに筏下りの滝をカット割りした後、川へと飛び込むと意外に緩い流れの引きの画になっちゃうのは、さすがに詐欺過ぎでしょ。吊り橋とか、囮脱出とか、何かあるのかと思わせて全く意味のないシーンは連続し、挙げ句人を増やしてから騎兵隊突入で一気に頭数を減らすというアクロバティックな脚本! いやはや、なんなんですかねコレ。ラストシーンで崖上りしたのも全くその必然性がわからんし、上で殴り合った後なんとなく降りてしまうあの展開には爆笑した。立て付けから言うともっと面白く見れてもいいはずなんだけどなー、残念だなあ。

しかし、西部劇でこういうテイストの作品があるのはちょっと発見というか、黄金巡って大冒険してラストで崖まで崩しちゃおうなんて「インディージョーンズかよ!」みたいな作品があるのはちょっと面白かった。

好敵手 世紀のテレビ討論

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討論番組のイメージって「朝まで生テレビ」なんだけれども、それってもう気付いた時にはフォーマットとして確立されているものだったし、どういうきっかけでそういった形式の番組が生まれたかなんて想像したこともなかった。いやまあなんとなく田原総一朗がジャーナリストとして破天荒でなにがしかを打ち立てた人なんだろうなあ、というイメージはあるんだけど、そもそも何と戦っていたかとかを想像したことはないワケで。

アメリカの選挙番組を一変させたふたりの討論、というのはなるほどそういう歴史の転機がキッチリあるからこそ今の討論番組が成立してるのかあ、と漠然と想像させてくれるだけの説得力がある。というか説得力がありすぎて笑ってしまう。こんな劇的な討論が行われていいのかしら。

ただ、そもそもアメリカ大統領選がどういう手続きかとか詳しくは知らなず、当時の社会情勢もなんとなく想像するだけで、討論がどれだけ刺激的な内容だったかは拙い知識から予想するしかなく、うーんだいぶニュアンスを見落としてそうで残念ではある。

 

しかしなあ、『俺たちニュースキャスター』でもアンカーマンという存在がクローズアップされてたけど、この時代のニュースって今の自分たちが想像するニュースと全然違うんだろうなあ。久米宏がいかに偉大だったかとか、なんとなく「すごいことをした人だ」って称える感じは伝わるけど、具体的に何がスゴイのかってわからんもんなあ。

ブレイブ ストーリー

 

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序盤のデキが「え? 全然悪くないじゃん!」だったんだけど、異世界に行った途端に失速してガッカリ。現実世界の描き方最高に良かったじゃんかー! あの短い尺できちんと少年の見た世界の空気感を音響と間で表現してるの、ちょっと驚異的だと思ったのにさー! 異世界に行った途端、なんであんなに全体的にショボくなっちゃうのよ?

というのはまあたぶん単純に脚本の不備で、いやオレも原作読んだのだいぶ前だから詳しいところは覚えてないけどさー、宮部みゆきのあんな長い小説を二時間足らずに収めんのやっぱ普通のやり方じゃ無理ゲーだよね。まとまるわけがないストーリーをまとめることに全力を注ぎすぎて、少年視点から描くべき異世界の描き方がもう最高にお座なりというか、「あーはいはいいかにもなファンタジー世界ね」という感想以上のモノが出てこない内容になっていて、うーんこれはちょっとツラいよなあ。主人公の主体的行動も終始本当に少なくて勇気の所以も全く見受けられず好感もなく、ってかこんな普通の少年がファンタジー世界に行って活躍する話を描いてメチャクチャ面白かった原作の宮部みゆきってなんだよこれバケモノか。いやバケモノですねわかってましたけど。

まあでも見所はそこそこあって、冒頭をはじめ音楽はとても良かったし、あと猫のケモさが最高にエロケモで最高で最高だった。しかしなんと行ってもアレか、主役の声の松たか子か。いやはや、ホントにうまいなーこの人。

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ

 

実は映画館で観ていた映画シリーズ。再生始まっていきなりグルグルレコードで思い出した。しかしなー、思い返すとパク・チャヌク『渇き』とジム・ジャームッシュ『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』と岩井俊二『ヴァンパイア』と、オレ映画館でこういういかにもな映画監督のヴァンパイア映画観てて、いやまあそもそもヴァンパイア映画がこんなにあることにも驚きだけど、それを押さえてる自分もビックリで、しかもどれもあんまり映画館で観た印象がない。みんな個性派な監督だと思うんだけどなー。

でもこの映画が印象に残んなかったのは見返すとまあ頷けるかなとも思う。ストーリーが極薄味なのはこの監督には良くあることだけど、気の利いた会話っていうよりも世界観をたっぷり味わわせることに重点を置いてる感じで、その意味では言語化する物が少ないよねえ。冒頭の陶酔感のあるグルグルカメラもそうだけど、血を飲み込んだときの役者の頭の角度とシンクロするあの見上げカット、すげえ印象に残るよなあ。

でもってアレを見た後からなのかなんなのか、ティルダ・スウィントンが美しくてどーもね。こんな綺麗な感じで歳を取っていく女性の姿を見せられると、あーうん参りましたってなりますはい。

あとこの監督の映画だと良くあることだけど音楽がいいなー。ラストの歌手もそうだけど、主人公がつくったっていう音楽、アレだけ聞いてても全然飽きないわ自分。

マチェーテ・キルズ

 

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この映画について今更なにか語るべきことがあるだろうか? いやない。

冒頭の芸の荒さばかりが目立つやる気のない予告編に現れているように、全てが「まあこんなもんだよね」のオンパレードで、そのいかにも場当たり的な決着を迎えるに当たってこの感情をどこに持っていけば良いのか全然わからなくて参る。いやまあ最初から観なくてもいいってことなんだろうけど。「3Dメガネを利用下さい」のどうでもよさが全編続く感じ。でもまあ嫌いじゃないもんなあ、そういうのも。

しかしまあダニー・トレホ、この時70近いじーさんでよくやるなあ。いやまあ映画としてはマチェーテのアクションのシーンのたびに「おじいちゃんがんばれ!」って感じではっきりいってどーなのよって感じもするんだけど。「マチェーテ、嘘つかない」みたいな例の言動でもう全然満足させちゃうのはずるいよなあ。でもヘリで大声上げさせるのは良くないと思った。