ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ジョー・ブラックをよろしく

 

 

いやーさすがにたるいでしょう。3時間もかけてやるようなないようじゃないよコレ。ラストの仕掛けはとても気が利いていたけれども、その仕掛けは他の要素と結構独立していてカタルシスが微妙。富豪の老人が異邦人を迎えることで家族を顧みる話、というちょっといい話系のフォーマットであるのはわかるんだけど、別にジョーがやってきたことで見方が変わった……という感じもしない。いやまあ間接的には彼の出現が元凶にはなっているわけだけど。とても素敵なケーキ食うエピソードとか、もうちょっと直接的に関与してもいいんじゃないでしょうか。

というか、ひとつひとつのシーンの尺が長いんだよなあ。純粋無垢なブラッド・ピットの顔ってそんなに間が持つものなのかしら。いかにもな成金趣味の部屋をボーッと見ていてもあんまり楽しくないし、あの濡れ場も長すぎてどうにも。適切に切れば余裕で2時間に収められる話ではないのだろうか。

ちょっと良かったのはジャマイカ人の人で、あそことだけ違った角度からの会話が入るという形式はとても良い。あと義理の息子の立場とかドラマとかもちょっとハッとさせられた。

にしてもなー、この邦題とジャケットはどうにかならないのだろうか……

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離

 

うーん全編にわたって町を歩いて会話するだけの話なのにあんまり退屈しないのはすげえなあ。ふたりもそんなに特別な人間じゃないし会話だって特に刺激的じゃないのについつい興味深く追っかけてしまうのは、えーとなんだろうやっぱり脚本が良いのだろうか。個別のエピソードはやっぱり良くて、電車の中でのケンカの導入はとても良いし、音楽の下りの恥ずかしい感じとか最高だし、架空電話の下りとかとても気が利いているし、ミルクセーキの即興詩の感じとかもとてもステキだし、ワインをツケで買うシーンもグッときちゃう。そういう個別のちょっとだけ気の利いたエピソードの精度が抜群に良いよなあ。

構成としても船上でサンライズの別れを宣言してからの微妙な緊張感は大変溜まらず、ラストで再会を約束する普通なら「えーっ」てなりそうな芝居がはっきり良い感じに成立しちゃうんだから、いやー、なんかすごいよなあこの映画。変にリアリズムを気取るわけでもなく、むしろふたりの会話は形式的に描かれてる気もするんだけど、それがかえって良いのだろうなあ。

ディープ・ウェブ

Deep Web | Netflix

Netflixにて視聴。もう少し早く観るべきだったなあ。

ディープ・ウェブやらシルクロードやらのニュースはもちろんちょこちょこ耳に入ってはいたけど、そのバックグラウンドにアメリカのハッカー文化的な流れがあるのは全然知らなかった。いやもちろんちょっと想像力を働かせれば繋がったことなんだろうけど、そもそもそこら辺の精神性に対しての理解度が全然足りてないなあ。

面白いのがこのドキュメンタリーの切り口で、ドラッグを大量に売りさばく窓口となったシルクロードに一定の理解を示している、というかむしろそれを裁いた政府に大きな不審感を提示しているのだった。最近アメコミの見方をめぐっても気づかされたけど、アメリカの文化にはしっかりと政府への警戒心が植え込まれているんだなあ、というのを思い知らされた感じ。あの合衆国大統領の演説は、政府への信頼が欠けているからこそ必要とされるものなのかもしれないなあ。

いやー、Netflixみたいなネット配信の動画サービスで、こういう予算規模の少ないドキュメンタリーを使って、こういう内容の映画が配信されているの、すげー面白いわ。

老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路

 

老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路 (講談社現代新書)

老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路 (講談社現代新書)

 

改めて考えてみると、コンクリートの建築が町を覆ったのはつい最近で、将来的に老朽化してゆくその町をどうやって持続させていくか、そのノウハウがあんまりないってのはまあ当然だろうなあと思う。先んじてインフラにガタがきたのがアメリカ、ってのがなるほどなーって感じ。ただ、アメリカって地図で見ると新天地をゼロから切り拓いた文化だから、地図を見ると強く都市計画を感じるわけで、そこら辺の意識は日本よりもずっと高かったりするんではなかろうか。サンフランシスコの凄まじい坂を見る度に、いやーそこまでしないでも、と思うもんなあ。

で日本はと言うと、『シン・ゴジラ』でも言ってたけど、スクラップアンドビルドで成り立ってきた国なワケで、例えばひとつの象徴の伊勢神宮だって「式年遷宮」で建て替えをするわけだ。江戸東京は大火やら地震やら空襲やらでスクラップを余儀なくされ、しかしだからこそその度に新陳代謝できた。まーその中にオリンピックも含めるべきなんだろうね。地震がなく紀元前の街並みさえ今に残っているヨーロッパ諸国とは、そもそも都市計画の意識の根っこが大きく異なるのは当然で、するとそんな長期的展望を持たないアメーバ状の都市計画になってしまうのかなあ。

とかそこら辺のことを考えながらこの本を読むと、「日本にゴジラ攻め込むしか方法はないんじゃね?」とは正直思う。だって戦後の日本の歴史をボーッと眺めてて、「我々はどうやって老いて行くか」みたいな長期を見据えた問題が真剣に考えられてるように思えないもん。失われた十年? 二十年? それって失われたわけじゃなく、社会が成熟しきってオイへの準備段階に入っただけじゃないのかしら。問題先送りでこんな状況になっている住宅事情の問題は、まあそんな日本の象徴だよね。

既得権益イノベーションを阻害するのは世界史を振り返れば良くある現象で、局所的な利益を強制的に引きはがす力が働かなければ、国は老いて崩れるいかないんだろーなー、と暗澹たる気持ちになる本でありました。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス

marvel.disney.co.jp

前作は自分的にイマイチだったんだけど、今作は楽しめた。っつーかまああの役割にカート・ラッセル引っ張り出しちゃった時点でかなりガード下がっちゃうもんなーしょうがないよなー。

振り返るに前作で乗り切れなかったのは個別のエピソードの雑さで、アクションの面白味がうまいこと引き出せてなかったんだと思うけど、今回はそこら辺がすげえ上手くいっていたと思う。ワープ後の不時着でわざわざワイヤーを切らせかけるあたりのサービス精神と、それがバッチリキャラ付けになっているあたりとか、あー今回はオッケーです全然オッケーです、という感じ。脱出劇もちびグルートの立ち位置とあの赤い矢の有無を言わせないかっこよさでちゃんと成立させてるし、厳しかったのは簡単にコアに乗り込めちゃった辺りくらいじゃなかろーか。

トーリーはシンプルだけど強烈な家族についての物語で、ここまで徹底してテーマを描かれるとは思ってなかったよ。全部が全部生みの親と育ての親のあれやこれやにかかってて、ここまで誠実に書かれると参ります。グルートの教育が真ん中に来なかったのがちょっと意外なくらいに家族の物語でビビる。

が、音楽とダンスについてはどうにかならなかったのだろーか。前作のダンスシーンがで気に入っているのは音楽が宇宙に響き愛を紡ぐ物語であることを予感させたからで、そこら辺が結構雑に処理されているのが大変気になる。前作であんなに焦らしたのに、そんなテキトーに主人公&ヒロインのダンスが行われていいのだろーか? ウォークマンが破壊された事で恋愛とそれを結びつけた音楽への信頼が失われるはずで、その回復は葬儀の音楽とはまた別のベクトルで行わなければならない気がするんだよなー。母親の恋愛が裏切られたことへの衝撃は、まだ別テーマとしてあるはずなので。

心中天網島

 

心中天網島 [東宝DVD名作セレクション]
 

最初あまりにも実験的な導入で眠くならないか心配したんだけど、いやあいやあいやあ、話が始まるやいなや面白すぎて眠気が吹っ飛んだ。すげえ面白い。なんだこれ。岩下志麻が二役やってその役柄が超すげえ、のは前提としてある。人形浄瑠璃の芝居をどうやってやるんだろう、と思ったらああそうか演出も合わせてここまで極端にやっちゃって良いんだあ。もう画面から情念が滲む滲む。セリフも昔のアレなんで単語単語は聞き逃しちゃってる気がするんだけれど、それもまあどうでもいいやってくらい言葉そのものが気持ちいい。

でもやっぱりそもそもすごいのは原作近松門左衛門なんだと思う。いやーシンプルだけれどもこんなにグッとくるシナリオが襲いかかってくるなんて全然想像もしていなかった。拘束のしかたやらコタツの使い方やら、あとはもちろん火の用心の扉の開け方や、ああいう演出が最高に気が利いてたけど、アレも原作から引っ張ってきたのかなあ。そういえば『女殺油地獄』の映画も、クライマックスに油シーンを持ってくる辺りとか、もうすげえ演出だよなあ。人形浄瑠璃とか日本史の教科書でしか知らないし全然興味なかったけど、俄然本物を見に行かなきゃなあって感じになるのだった。

ファンタスティック Mr.FOX

 

オレこれ絶対観たはずなんだけど、この内容で観たこと自体忘れるとかありえるか? 当時のオレどんだけ朦朧とした意識でこの映画観たんだよ……と我ながら呆れる。ブログ更新が滞ってた時期が長くて、そういうタイミングって観たらそのままポーンと投げ捨てて内容を反芻する機会がなかったりして、だから『チェンジリング』とかそういう傑作も見たこと自体すっかり忘れてしまっていたりするのだけれども、いやしかしこの映画を忘れるとかありえるかねー。ウェス・アンダーソンの愛おしい部分がこれ以上ないくらい出てる作品じゃないですか。いやあ……

まーとにかくウェス・アンダーソンクレイアニメってだけで笑ってしまう。いかにも形式的な例のカメラアングルでキャラクターが動くわけだけど、まあ記号的に誇張されたキャラクターの表情ってバッチリマッチするよね。もちろんその分、アップに耐える表情の作り込みは大変苦労するんだろうけど。実写だと表現の難しいミラクルなアクションシーンやスペクタクルシーンも、真横からのカメラでおかしみと共に表現できちゃって、いやー、この独特の世界観がこんなにもバッチリ表現できるんだなあ。こんなに印象的な映画なのに、なんで観た記憶がないのか本当に謎。

あとどうでも良いけどこのサムネはやめてあげて下さいホントに。