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ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

嗤う分身

 

嗤う分身 [Blu-ray]
 

最初は「あーこれ絶対嫌いな奴だ」と思ってアクビ堪えながら観てたんだけど、いやー、良い意味で裏切られました。オレこういう世界観の衣装って気取りすぎてて好きじゃないし、物語が牽引してくれないとあまり興味が持てないのよね……と思っていたところにやってくる分身。Doubleが現れた途端に物語が急激に加速して、分身でしか表現できない展開がバンバン飛んで来るので大変痺れた。最初は「なんだかなー」と思っていた日本歌謡演出も、レストランに花片待ってキスシーンで「ふええええええ……」降参してしまいましたよ。いやー、素晴らしい。

しかしこれを単なる解離性障害とか言ってしまうのは俺にはどーも納得がいかんなあ。もちろんそうやって説明すれば映像的な整合性の取れ無さも理性的な解釈ができるのかもしれないけれども、しかしなんでそこまで理性的に物語を解釈しなければならないのか、むしろそんな安易な解釈に落とし込まずに、わけのわからないものをわけのわからないもののまま受け取る姿勢でも、この映画では楽しめるんじゃないの? なんて思いました。

男たちの挽歌

 

男たちの挽歌(字幕版)
 

一応随分前に見てはいたんだけど、どうも記憶が曖昧なのでもう一度。

序盤からまあテンポが良く、前のめりな音楽もあって微笑ましい。ジョン・ウーの外連味を求める演出に映像的なハッタリが追いついてない感じ。まあその軽さがあるからこそ、後半のあのテイストも生きるんだろうけど。

様々なすれ違いを含んで徐々に重たくなっていく物語で、やはりラストの銃撃戦の描き方が大変によろしく感動する。冷静に考えればなんであそこで弟が味方になるのか説得力足りてねーよなーとかも思うんだけど、それまでの物語の積み重ねがあの行動を正当化している感じが逆に大変良い。それまでも何回か銃撃戦はあったけれども、この戦いに乗ってる物語的意味は段違いだし、それを待っていたかのように巻き起こる爆発・炎上に「あー演出ってこういうもんだよなあ」と心震えるのでした。

あとは音楽ですね音楽。ドラマとして重要な箇所にはメインテーマを出し惜しみしない。最初はイマイチピンとこなかったそれも、アレだけガンガン回されると、最後には「ううっ、なんて名曲なんだ……!」となってしまいます。

テディーズ・アワー 戦時下海外放送の真実

 

【文庫】 テディーズ・アワー 戦時下海外放送の真実 (文芸社文庫)

【文庫】 テディーズ・アワー 戦時下海外放送の真実 (文芸社文庫)

 

何が一番ビックリしたかってそりゃラストで作者が息子であることがわかるところだよ。なるほどなー息子だからこそできる描写なんだなーと最後の最後で納得させられてしまった感じ。

終始感心させられるのはカナダに移住した日系人の心情で、当時カナダで日本からの移住者がどのように扱われていたか、また日本に戻ってきた日系人がどのように扱われたか、そこらへんの事情が武士道やら英語やらの具体例を挙げて述べられていて、大変説得力がある。こういう出自の二重性を巡る問題は、漠然とした想像では届かないところがあるんだなー、なんて思うのは『不夜城』に衝撃を受けたばっかりだからかもしれないけれど。

あと効いているのがテディと対になってる万城の存在。テディが一種成人めいているというか、いわゆる光の主人公で危なっかしいのと対置されて、汚れ役で現実的で人間らしい欲望を持つ万城が、大変効果的に機能している。弁舌がたつこともあって、彼の説得にテディが丸め込まれていく辺りが、この作品のリアリティを支えてるよなあ、と思う。

にしても完全なノンフィクションではないのね。どこら辺が創作に依らなければならない部分だったんだろーなー。

貞子vs伽椰子

 

白石監督のPOV以外の作品を観るのは初めてで、正直不安だったんだけどまあ不安は的中したよねー。POV視点だから許容されていた部分のアラがどうしても目についてしまってどーもねえ。序盤は一応ホラーとしての体裁を整えた方が良いパートなので、どうもこうフラットな感じの画面作りやテンポの良すぎる編集にはションボリしてしまう。もうすこしじっくりと映画を作り込んでも良いと思うんだけど、貞子でもそういう現場じゃなかったのかしらねえ。

なんて思う一方で、最後まで見終わっての感想は結局「白石監督は本当に信頼できるなあ」ってことで、結局大満足な作品ではあるのだった。この監督らしい鋭いアイディアと以下にもな飛躍に加えて、「vs」の名にふさわしい両者の対決をしっかり押さえてあるわけで、まあそれらの利点に比べれば足りないところなんて些細なものだよね。CGのクオリティ上げたところで、この作品が面白くなるわけじゃないもん。こういう「vs」なお祭り企画で、それぞれの必須要件をきちんと満たした上で、「そこまでやっちゃうのかー!」というラストを成立させてしまっている以上、監督を褒め称えるしかありませんよコレはマジで。

にしてもさあ、構成で言うと『フロム・ダスク・ティル・ドーン』とかを思い出さなくもないけれど、どっちかっつーと同じ監督の『カルト』だよなあコレ。中盤以降でガツンとギアチェンジしていく展開は、vsのアイディア含めて『カルト』よりも良かったけれども、霊能力者のインパクトは大きく劣るよなあ。ネオさんの力はPOVだからこそ説得力が出たのだろうけれども、決して良作とは思えなかった『カルト』が観たくて観たくてたまらなくなる内容でした。

ゾンゲリア

 

ゾンゲリア [Blu-ray]

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いやー、すごいタイトルだよねえコレ。「ゾン」はわかるし「リア」もまあわかるけど「ゲ」ってどこからやってきたの? 原題「DEAD & BURIED」ってこれ印象思いっきしかけ離れてるじゃんよー。

でまあ、強烈なタイトルですげースプラッタめいたものを想像して見始めたら、意外に上品な内容でビックリする。ってかむしろボディ・スナッチャー。ゾンビものって「ゾンビよりもむしろ人間の方が怖いよね」って結論に行くのが常道だけど、まさか田舎の人間関係をブチ込んで「ゾンビ=人間って怖いよね」見たいな話にするとは思わなかった。暗闇でフラッシュたかれるのは正直映像的にしんどいけれども、まあみんながカメラで被害者を撮ることで生まれる暴力的な視線がバッチリ効いていて、それはそれでなかなか良い表現になっているなあと思った。

とはいえ映画として面白いかと言われるとあんまり……というのが正直な所で、もうちょい作品に引っ張り込まれるような展開が欲しかったよなあ。突然記録映像まみれになるパートは、葬儀屋の性格も相まってなかなか素敵なシーンになっているけれども、その他は案外予定調和な感じ。ラストのオチも、まあそうだよねーってところに落ち着いて、もう半捻り欲しい内容でありました。

バグダッド・カフェ

 

バグダッド・カフェ 完全版 [DVD]

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いやー良かったやっと観られたー! 絶対押さえとかなきゃいけないのはわかってたんだけどどーも観る機会がなかったんだよね。いわゆるミニシアター系のアレ。

ボンヤリ見てるとなんかよくわからないドイツの異邦人がなんだかギスギスしているはぐれ者の集団の中にポーンと放り込まれ、なんだかよくわからないうちに彼女の徳が皆の空気を変える話、みたいな感じになりそうなんだけどそれがギリギリのところで踏みとどまっているのが面白い。最後の方で脈絡もなく刺青のおねーさんがいなくなってしまう辺りとか、あともちろんラストの対処の仕方とか、ザ・ハッピーエンド! っぽい流れでもビミョーに外してあるよねコレ。

そもそもサイレントで表現される気取りすぎたオープニングで、あのドイツのおばちゃんはそれはもう「えーっ」って感じで描かれているわけで、それが掃除ひとつで聖人の階段を駆け上がるのはなんかこーおかしいよねやっぱり。脱いでく辺りの描き方でもそう思ったんだけれども、彼女には彼女なりの内面がきちんとあって、それが言語的障壁とあのデカい肉襦袢の中に閉じ込められてて、類型的な物語として語られることを必死に拒んでるんじゃないのかなあ、なんて思いました。

しかしねー、マジックが文字通りストーリー上のマジックとして機能するのはまあわかるんだけど、この映画でむしろ大事なのはたぶん「掃除」なんだよなあ。掃除がはぐれ者集団の怠惰な日常に潤いをもたらす。あー、なんて偉大なんだろう、掃除。

女囚701号 さそり

 

女囚701号 さそり [DVD]

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ああ……監督変わったのか……ああ……そういうことか……

いやあ別に長谷部監督が良い監督かどうかというとちょっとそれはわからんなあという気がするんですよ。話のつくりとか結構行き当たりばったりだし謎演出も生きてるかよーわからんし。わからんのだけど、でもこの映画を観ると、このシリーズはやっぱり長谷部監督が作った物なんだなあ、って思います。はい。

いやまあそこそこ研究している感じもして、恨みの対象を創り出すところからはじめて復讐譚にしている所とか、謎演出が度々カットインされたりとか、あと2作目で大変素晴らしかったあの黒づくめを復活させていたりとか、要素要素は「うんうんそれそれ」ってのが揃っているんです。ちゃんと囚人にも戻るしさそりっぽく見えてもおかしくない作品だと思うんです。

でもなー、なんか違うんだよなー。画もむしろ理にかなってて好感持てそうなもんなんだけどなー。最初のウェディングパートでの殺陣でも、全然梶芽衣子がさそりっぽく見えないもんなあ。確かに前作ではやり過ぎだったかもしれないけど、でも、根本的にさそりへの畏怖みたいなのが足りてないようなきもなんとなくする。