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ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ビッグ・アイズ

映画

 

ビッグ・アイズ [Blu-ray]

ビッグ・アイズ [Blu-ray]

 

ティム・バートン監督の映画だったのか。イラストが強烈でどんな話か全く知らないのにいつも興味を惹かれてたけど、ようやく観ました。

事実に基づく話、というのはフィクションとして強い箇所弱い箇所があるのだろうけど、今作品は事実の方が面白すぎてフィクションである価値をどこら辺に見いだせばいいのかわからんなあ、とは思った。いやだって実際裁判とかあったわけでしょ? いやー、面白すぎるよそれ。もちろん出会いのスムーズさとか有名人へのステップのトントン拍子感とか映画として上手く描かれてるなーとは思うんだけど、そこらへんの映画的な手管が後半のヘンテコ裁判とカタルシスに有機的に結びついてるかというと、うーんよくわからない。気の利いた小品、って感じはするのだけれど……まあそれでいいのかしら。

あとは現代美術に関する知識がもう少しあった方が楽しめたのかなあ。現代美術のワケのわからなさを糾弾する、というようなありがちな態度からは充分距離が取ってあって、むしろ大変捻れた皮肉な描き方がされてるなーとは思うのだけれど、スーパーマーケットで缶詰が出た途端「あれ? ここはこういう意図?」とか中途半端に意識が持って行かれるのはどーもなあ。万博とかもあんまりイメージが湧かず、当時の予備知識が欲しかった。

ドローン・オブ・ウォー

映画

 

ドローンって今や別の意味になっちまいましたけど、時の流れは速いもんですね。にしてもタイトル、「GOOD KILL」のままのほうがいいよねえ。「GOOD」って「GOD」にもかかってるのかしら。そういやジャケットの赤いドローンも十字架を想起させる位置におりますね。

という風に感じたのも、ベッドルームやアクセサリーでやけにその存在を主張する十字架が印象深かったから……だけではなくて、「視線」に対しての意識を凄まじく感じたからなんだよなあ。

演説でも「神が見捨てた地」って明示してあるけど、だってドローンってもうあの地の神なわけですよ。上空3000メーターから突然落ちてくる理不尽な怒り。ベガスの捌くの空軍基地で、Xboxライクなコンピューターを弄りながら、彼らは神になってるわけで。

まあラストでかなりわざとらしく示されたけど、序盤から俯瞰で捉える主人公の自宅やらは周辺減光のあるカメラで示されていて、それはアメリカの空軍兵士である彼の日常が誰からかの視線で捉えられていることを示していて。

ベッドに眠りながら見えない虚空を見上げる主人公の視線が、大変胸に刺さるよなあ。

 

ヴィジット

映画

 

あ、嫌いじゃないですこの映画。

シャマランってなんなんですかね。色んな人がなんか過剰に思い入れ抱いてるっぽいですよね。変な吸引力があるんですかね。オレは『サイン』見て「犬がいきなり吠えたところが怖かった!」っていう感想が一番最初に出てきたくらい全然全く思い入れがないのですが。

でまあ『ヴィジット』なんですけど、あー、やっぱりこれそんなに肩肘張って観る映画じゃないよね。気の利いた小品って感じ。老人の日常が恐怖と隣り合わせであるというなんとも言えないリアリティがとてもよく描けているし、なんと言ってもメイントリックである「肉親と思っていた人間が他人」という展開の、日常の底が抜けていく感じが良い。そこが説得力をもって描写できてるから、もう他に特に望むことってないんじゃないでしょうか?

にしてもなー、トラウマ回収はどうしても笑っちゃうよなあ。ホラー映画なんだから、そんな律儀に伏線拾わなくてもいーじゃん、とか思ってしまう。すげー真面目。

あと個人的に気になってしょーがなかったのは手ぶれの少なさで、お前らよくそんなフレーミングバッチリ決められんなーというのが気になって気になってしょーがなかった。そこら辺たぶん結構労力をかけてあるはずで、その分見やすいけどPOVの武器になる映像の生っぽさはちょっと減じられてるのかなーという感じはした。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

映画

 

評判いいから期待してたんだけどさー、ビックリするほどノレなくて我ながら呆れた。周囲の人はみんなノリノリになってんだけどね。なんだろうね。『キック・アス』の時もこんな感じだったなあ。

 

いやまあオープニングは最高にイカしてると思うんですよ。もうこれ以上ないくらいベッタベタなカット割りで母の死をやっておいて、そこから未知との遭遇ですっ飛ばして突然のザ・イメージボード宇宙からヘッドホンで繋いでのダンシング。ダンスの撮り方も小洒落すぎてて最高に素晴らしい。

なんだけどねー、そっから先の展開が雑すぎませんか? あの星からの脱出劇もアイディアに乏しいし、街中での乱闘も要素が整理できてないし、大脱走に至っては警備がザル過ぎて全く心底どうでも良い。アクションの強度ではっきり興味を失ってしまいました。

で、そこにいわゆるはみだし者たちが心を入れ替えるっていうベタベターな展開が待ち受けているわけですが、オレはっきり言ってアレギャグで落とすのかと思ったよ。そのくらい彼らのバックグラウンドに興味が持てなかった。ギャンブルの席で酔っ払って身の上話したくらいで負け犬の彼らに感情移入しろっつーのは、はっきりストーリーの怠慢にしか思えない。

 

あとめんどくさいことを言うと、ヒロインとダンスをしなかったのが本当に悔しくてさあ。アメリカ映画におけるダンスの重要性は今更言うまでもないわけだけど、この主人公がコレだけ象徴的なダンスを踊るのは母親のテープのおかげでしょ? ってことは息子は宇宙を跨ぎ種族を超えたダンスによって生まれたわけで、じゃあ種族を超えて愛を育む主人公がダンスを踊らないとかまあ全くあり得ないわけですよ。っていうかこのストーリー全体が、主人公のダンスを求めちゃってるワケですよ。

まあ続き物だからここで踊らすわけにはいかないって判断なんだろうけどさー、んじゃーその代わりにもうちょっと説得力のある構造的な落ちが欲しかったよねえ。擬似家族の物語として落とすにしては、物語の構造が雑に思えてしかたありませんでした。

トッツィー

映画

 

素晴らしいコメディ。いやあ、これ本当に素晴らしいね。

まず根本のアイディアがシンプルにして強烈なんだけど、「自分を偽ること」というテーマがちゃんとストーリーの中で機能しているのが良い。しかも役者であることを生かして作中作が凄まじくよくハマっていて、物語の決着の付け方ももうこれ以外ないってくらいビシッと決まっている。いやーもうこの企画自体が本当に素晴らしいですね。

でまあ、それを演じるキャストも抜群に良くて、なんといってもダスティン・ホフマンがすごいよなあ。女性を演じる売れない役者を演じるダスティン・ホフマン(前年にアカデミー主演男優賞)。

まわりのキャストも大変よろしくて、ジョージ・ゲインズも印象に残るけど、一番美味しいところをかっさらっていったのはビル・マーレイだなあ。ギャグ担当のダスティン・ホフマンを醒めた目で見ているビル・マーレイという構図だけでもう大爆笑でしょう。たまらん。

あとは時代的な背景もあって、あちらこちらにウーマン・リブの思想が見えるんだけれども、そこら辺は当時どうやって受け止められたんだろうか。個人的にはコメディであることも合わせて、大変クレバーで適切な距離感で描かれているように思うけど。田舎に戻ったときの父親との会話とか、たぶんニュアンス汲み取れてなかったのかなーと今振り返ると思います。そうだよなーあの田舎の描かれ方があるからこそ、ラストの自立が効いてくるんだよなあたぶん。

チェイサー

映画

 

ナ・ホンジン監督の映画をもうちょっと見てみようかってことで『チェイサー』なんだけど、なんなのこの韓国人の中年のおっさん俳優の充実。ソン・ガンホとかチェ・ミンシクとかキム・ユンソクとか。もう誰が誰でなんの映画に出てるのかよーわからんよオレ。

気の利いた脚本……のように見えて、こんなガバガバな話はないのではないだろーか。っていうか当てずっぽうに山とか探す前に、まずは周囲に聞き込みしろよ! 足で稼げよ! 顔写真手にあの商店でおばちゃんに話を聞けば一発じゃねーか! どんだけ無能なんだよ! ってのにさえ目をつむってしまえば、概ね満足な映画なんだけどさー、やっぱ目をつむれないよねコレ。犯人の家を特定できないもどかしさが話の筋で生きているだけに、そこに対してのツッコミが終始脳裏を過ぎってしまうんだよなあ。結構印象的に上手く語られているはずの回り道に「いやまあそれはいいからさっさと彼女を助けちまおうぜ!」となってしまう感じ。

しかしなあ、この映画でもおっさんが走るシーンがホント印象に残るよなあ。山がちな迷路のような地形もはっきり生きていて、肉体の動きそのものの魅力を再確認させられる映画でした。

哀しき獣

映画

 

哀しき獣 ディレクターズ・エディション [DVD]

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まあとにかく過激な暴力描写で、韓国映画! って感じの韓国映画。ってオレの韓国映画観がこんなんでいいのかって問題はあるけど。

無駄に凝っているストーリーは結構な勢いで視聴者を置いていき、しばしば彼らはなぜ憎み合うのかなぜ走るのかなぜ暴力を振るうのかわかんなくなるけれども、そんな疑問も集団に追いかけられて走る彼らの姿の前には雲散霧消するのだった。まあ素晴らしく美しいラストシーンが象徴するように、大いなる徒労の話ではあるよね。個々の衝動の前に物語が意味を失ってポーンと大海原に放り投げられる感じ。

あー、海の絵でもそうなんだけれども、映像がいちいちかっこよくて見入ってしまう。序盤の朝鮮族が暮らす街のなんとも言えない雰囲気も大変良く撮れているけれども、フレームを使ったり鏡を使ったり、要所要所でハッとするカットが紛れ込んでいますね。 

あとは拳銃を使わないアクション、っていうのが映画のトーンを大きく決定づけていて、一応発砲されるシーンもあるにはあるけれども、「殴る」「叩く」「刺す」にこだわった一連の暴力に頭がクラクラ。銃撃戦では絶対に出ない味が、端々にほとばしっている感じ。『オールド・ボーイ』での横移動長回しのあの説得力を思い出すなあ。