ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

落下の解剖学

 

落下の解剖学 [Blu-ray]

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  • ザンドラ・ヒュラー
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真相を明らかにして溜飲を下げる系の法廷劇じゃないのはわかるんだけれども、うーん、なんか全体の作意として主人公の動機がなさ過ぎてどうもなあ。あそこで他殺を行って証拠も隠蔽しないというのは作家の行動としてあり得ないと思ってしまう。そういう動機が他人の推察っていうか野次馬根性によって覆い隠されるってのがテーマなのかもしれんけど、カメラが主人公につきすぎているので、全く野次馬の方に共感できなかった。たぶん映画としてはそうやって「いかにもこういうことがありそうな話だよね」って思わせなきゃいけないないようだよなあ。それとも普通の人はこれで心象が揺れ動いたりするんだろうか。

っていうかあの精神科医の断定口調があまりにも被害者寄りだったのがしんどいよな。あんなに敵意を向けて断定するようなキャラクター、演出が過ぎて作意がだだ漏れでしょ。ある意味で決定的な証拠として出されたあの録音とかも、創作を行う夫婦だったらあのくらいあって当然でしょ? としか思えなかった。むしろ2人の心理劇としての興味の方が先に立って、その先の事故がどうだとか全くどうでもよくなっちゃったよ。

あー、でも最後に「これ主人公がやっぱり殺したことにしないと、どんでん返し系のミステリとしては面白くないよなー」とか思ってた自分がいないわけじゃない。でもまあそれはリアリティレベルをどこに置くかの問題で、現実にだって多かれ少なかれそういう暗の心の働きってありつつも、それを切り分けているわけでなあ。そういう意味で、やっぱり現実の野次馬根性の批判になっている映画ではあろうけど……