うーんいいですね。やはり最後の大ネタというか、隠しておいた証拠を用いてのドタバタシーンがとても良い。カーチェイスのシーンなんて今まで散々色々取られているワケだけれども、そこにカメラを撮る人間を入れ込んで追跡劇させるとアレだけ手に汗握るものになるのかーって感心しました。それまでの上司部下の関係も、1度条件を呑む辺りの意外性はとても良いし、あとアレだけ色々あった後だから都合良く片が付きすぎるのもまあ良いかって感じになる。なにより「自分は悪いことをしていません」って言い訳がきちんと用意してあるあの塩梅が素晴らしい。
にしても主人公が本性を現していくシーンの説得力がすごくいいよなあ。中でも中盤の女ディレクターを追い込んでいくあたりが屈指で、インターネットの情報を駆使しつつ、えーあの年増に性的関係を強要しちゃうんですかマジですか熟女趣味なんですか? という困惑が妙なリアリティを生んじゃうのが超面白い。
こういう作品って主人公の狂気が伝染して最終的にしっぺ返しをくらう形を期待しちゃったりするものだけれども、あまりにも主人公の生き方というか牙の剥き方が一貫していて、むしろ彼に共感してしまうものだから大変困る。見方を変えれば社会のはみだし者がようやく自分の居場所を見つけて成功していく物語になってるもんなあ。