ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

サウンド・オブ・007

 

うーん、さすがに面白いな。シリーズ全作見た甲斐があった感じだぜ。

なんと言ってもハンス・ジマーだよなあ。最近の大作感のある映画で外したことねーもんなー。ほんと才能も技術もすげーよなー。ダニエル・クレイグの007なんかは、まさにうってつけって感じだよなあ。っていうか、すごいすごいと言われていたハンス・ジマーの作曲の凄さが、具体的に映画のシーンに合わせて解説されていたりもするので、音楽の素人の自分なんかにとっては、それだけでも十分価値があるですよ。

いや、マジで劇伴の意図が演出とともに示されるのは大変貴重な経験で、ダニエル・クレイグが初めてボンドになるシーンの解説とか、ホントにありがたいですよ。ボーッと見てたら意識できずに終わっちゃうもんなー。いや、さすがにそうでもない?

でもやっぱり、007といえばOPの楽曲で、素人が見てても「コレは印象に残るな……」と思った楽曲がバッチリ取り上げられてるのがよいですね。っていうか、やっぱ主題歌は「ゴールドフィンガー」と「スカイフォール」だよなーと思ったら、ちゃんとそこがまず取り上げられるもんなー。でもスカイフォールはあのOPが流れなかったのがストレス過ぎて、終わった後つい本編を再生してしまいました。あと、OPの映像がどのようなコンセプトで撮られているか、みたいなのももうちょっと知りたかったかな。毎回凝ってるから、そこが触れられなかったのはちょっと以外でした。

ヘル・レイザー

 

ヘル・レイザー(字幕版)

ヘル・レイザー(字幕版)

  • アシュレイ・ローレンス
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わははは、へんなホラー。

こういうのって普通、ビジュアルで一番目立ってるピンの人が活躍すんのかな――って思ってたけど、全然そういう話じゃなかったよ。それじゃあ、あの人体模型宜しく復活しようとしているキャラクターの惨劇が見られるのかな――と思ったらそういうこともなくて、まさかその復活のために不倫相手が男を連れ込んでスプラッタする話とか、いやーチャレンジングすぎてすごいよねコレ。しかも義理の兄弟に対する不倫が動機になってるわけでしょう? さらにその愛情は回想形式でしか示されなくて、どこが魅力的だったかとか全然伝わらない、全部こっちに委ねっぱなし……というストーリーの展開は、いやーちょっと挑戦的すぎでしょ。いやまあ、そもそもまともな人間じゃないという設定っぽいので、あえてそういう描き方にしてるんだろうけれど、いずれにしてもすごい話の作りをしてるよなあ。

でもって見所はやっぱり特殊メイクとホラーなんだろうけれども、その点に関してはオレあんまりよくわかんねーなーって感じ。このビジュアルって、インパクトはあるけれどそんなに怖いものなのかしら? 謎のドッキリビックリクリーチャーもいかにもなクリーチャーって感じで、大画面で見たら怖かったりするのかなあ。最近は虫の描写なんかも全く何も感じなくなってきて、うーんやっぱりホラーはよくわかんねーなーと思いました。

ヴィクトリア女王 最期の秘密

 

ジュディ・デンチはいいよね……この大変な役柄を、とても上手く演じていると思う。このポジションで人間くさい魅力ってのは、まあなかなか出せるものではないよなあ。

一見微笑ましい異文化交流のストーリーに見えて、しかし全く一筋縄ではいかないのがいかにもイギリスの映画って感じ。純粋無垢なインド人……ではなくて、立身出世ももちろん願っているし、イスラムのびみょーな立場については方便も使う。そしてヴィクトリア女王の方は、全く聖人君子ではないし、自分の支配する大英帝国に対する理解も中途半端だから、コロッと騙されてしまう。そういう危うい関係は視聴者にとっては見え見えで、しかしそんな中でもやはり他には代えがたい心の交流があった……というのを描くんだから、うーんやっぱりイギリスーって感じ。

だって、あんなに魅力的でコメディリリーフとして活躍してくれた同僚を、さっくり残酷に殺しちゃうんだもんなー。いやはや、「同胞を売れ」と迫るシーンがはらむ皮肉の迫力ったらないですわね。そういや数学の映画でもインド人死んでたな。インド人にとって、イギリスの環境はそんなに厳しいものだったのだろうか。

にしてもイギリス国王というイングランド国教会の首長がイスラムの教えを学ぶとか、まあどー考えてもヤバ過ぎるよね。これ一歩間違ったらラスプーチンでインド独立の歴史も全く変わったものになってたのかもしれんなあ。いやあ、立憲君主制というのはなかなか難しい制度でございますね。

黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人

 

うーん……題材は超面白いんだけれども、内容がどうも上手く素材を活かせてる感じがしないなあ。調査の内容とかは丁寧だし、色々興味深いエピソードもたくさんあるんだけれども、それが上手いことストーリーとして構成されていない感じがすごくする。例えば野茂英雄が引きのエピソードとして入っているけれども、それってホントにこの内容を伝えるのに適切なものだったのだろうか?

やはり興味深いのは中根中という人物の人となりなんだけれども、周囲の人物や状況を説明するだけで、その内面というか思考というか、そういうのがイマイチ想像しづらい。子供時代のキリスト教のエピソードはまあ良いんだけれども、それから先アメリカでイスラム教徒の一員としてどういう意志をもって活動していたか、その像がメチャクチャぼやけちゃってるんだよなあ。それは下手に話を作らない、作者なりの誠実さなのかもしれないけれども、当時のアメリカの日系人の状況ってちょっと想像がしづらい所があるので、やはり多少は味付けしてあって良かったと思うんだよなあ。

あとまあ中根中以外の人物について寄り道しすぎかな……というのも思う。まあ、それだけ期待値が高かったということなんだろうし、そうやって実在の人間に過剰な期待を抱くのが危険――というのもわかった上で、でも、やっぱりそういう見せ方をしてもらいたかった。

宇宙からみた地球

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想像以上に色々見所があって良かった。単純に自然の素晴らしさを紹介していく……という番組ではなくて、宇宙からの視点という包括的なガイドラインがあることで、ものの見え方って全然変わるもんなんだなー。最後にはお決まりの「地球を守ろう」みたいな展開になっていくわけだけれども、この構成でそれをやられたらそりゃまあ確かに層だわね……という納得感がある。

色々見所はあるけれども、印象に残るのは中国のヤバさだなー。少林寺拳法を習った人間が一堂に集まって修行の成果を披露する……というのを空撮でやったり、一面が菜の花畑で黄色く染まってそこに養蜂業者がやってきたり、そういう人の営みが関与するエピソードがまあ面白い。一方で、地下水くみ上げての農業・工業は見ていてしんどいなーと思う。持続可能性ってやっぱり大事だよねえ。ってかさ、インコに米を上げるエピソード、美談として語っているけれども、本当にやっちゃって良いのかしら? そりゃまあ見た目は目立つ良いことやってるっぽく見えるけどさー。

一番印象に残ったのは、マルミミゾウが集まる塩場かなー。ゾウは頭が良くて道を覚えている……という話は聞いたことがあるけど、そうかー塩を補給するために集まるのかー。ってか改めて考えると、普通の動物ってどういう所から塩を補給してるんだろ…?

禁断の惑星

 

禁断の惑星 (字幕版)

禁断の惑星 (字幕版)

  • ウォルター・ピジョン
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あーコレが「イドの怪物」ってやつなの? でもなんかイドの怪物が出てくるのあんな中途半端なところで良いのかしら? そりゃまあ迫力があったけれどもあんな中盤で雑に姿が出て、ラストではそんなに……という感じなのはちょっと笑ってしまった。

という過去のロボット、色んなところの「ロボットの歴史」みたいなので見かけたことがあるけれども、なるほどこういう立ち位置だったのね。いやはや、なかなかどうして愛嬌があって良いキャラクターですね。人間を傷つけようとすると電子頭脳がオーバーヒートしてしまうあたりとか大変可愛らしくて良いですね。

映画としてはまあ牧歌的で、「2001年宇宙の旅」以前……という感じですね。まあ逆に、こういうのがSFの代表だったわけだろうし、そんな中であの映像を撮ろうと考えたキューブリックはやっぱ頭がおかしいよなー。

まあしかし牧歌的な中にも、科学の進歩が危険を招きかねない……という視点が入っているのは、なるほどなーと思いました。まあ冷戦で核競争まっただ中の時代だろうしなあ。

しかし56年の映画だけれども、微妙に東洋趣味が入っているのはいったいなんなんだろうな。もう少し後ならまあわかるんだけれども、この時代にそういうニュアンスを取り入れるムーブメントってあったのかしら?

アンソニーのハッピー・モーテル

 

ウェス・アンダーソンなのに! ウェス・アンダーソンっぽくない!

なんかてっきりウェス・アンダーソンのあの特徴的なシンメトリーの構図って、デビューから使われてたんだろうなーと思っていたから、映画を見てひっくり返ったよ。なんかこれ普通の映像じゃん! すごく普通の映画っぽいじゃん! いやしかし、キャラクターはミョーな人間がミョーなことをするウェス・アンダーソンっぽさに溢れているので、だからこそ彼の映画にとってあの構図がなぜ必要なのか……というのがわかるようになっていてメチャクチャ興味深いですね。非現実的なアングル・静的な画面の中で人間が行動すると、戯画化がさらに強調されるもんなんだなー、あの際だった色覚のセンスも、そういう非現実感に寄与してるんだなー、みたいなことを今更ながらに思い知らされました。ってか、そういう風に考えると小津安二郎の編集と結構似通ったところがあったりするのかしら?

単体の映画としては、いい話だけどもこうもう少しパンチが欲しいよね……という感じもしたので、逆に脳内であの様式で撮られたこの作品を想像しちゃったりもしますね。特に告白の二重通訳シーンだったり、エレベーターだったり……

それにしても、まさかあの「好きだと伝えてくれ」がゲイ勘違いで空転しているとは思わなかった。あの脱臼感は本当に笑ってしまいました。