あれ? どうしょうもないB級ホラーかと思ってたら、なんかコレやけに緊張感があって面白いぞ! って確かめたらクローネンバーグってアレか、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の監督か。あの映画もストーリーが巧みだったけど、それ以前に画面に謎の緊張感あったもんなあ。
超能力者のホラーってたくさんあるけれど、この映画の異能の見せ方はちょっと普通と違うよね。SFXはもちろん良くできているんだけどその使い方は抑制されていて、突然度肝を抜く頭がパーン! とか血管浮き出る気持ち悪い効果とか、ちょっと気の利いたものを超効果的なポイントで投入していく感じ。普通のところでは基本的に役者の芝居と音楽だけで見せるというある意味省エネスタイルなんだけれども、これが成立してしまうのは本当に演出の妙だよなあ。
あとこの時代のハッキング描写が面白い。デジタルに対しての理解がない時代にどうやって超能力電脳戦を見せるかは、かなり頭を悩ませるところだったと思うんだけど、基板をマクロレンズでたっぷり見せてクリアするとは思わなかった。その結果、過剰な影響が物理的に出るのも大変説得力がありました。