ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

THE WAVE ウェイヴ

 

THE WAVE ウェイヴ [DVD]

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最近どっかの記事で名前を見た独裁主義の実験の映画。

現実に行われた実験を下敷きにしていて、なるほどそれを現代風にアップデートして描いているんだなあ、というのはものすごくよくわかるのだけれども、残念ながらちょっと説得力が薄いよね。「ああ自分たちはナチスと同じことをしていたんだ!」というラストの驚きがいまいち薄いというか、むしろ全体を客観的に眺められる演出に終始しているというか。特に「規律を与えられたこと」によってなぜこれだけ集団での行動にのめり込んでいったのかの描写が薄い。第三帝国なアーリア人種至上主義みたいな思想を根っこにしなくても、規律そのものが独裁主義を生み出し得る、ということなのかもしれないけれども、行動の裏にある思想が読み取れないと共感しづらい。パンクとの対立も描きたいのはわかるんだけれども、相手を明確な悪にしてしまうことは、集団行動での恐ろしさの表現を甘くしてしまうんじゃないのかなあ。とにかくこの映画、見てるの人間の「感情」を扇動することはしていなくて、それってこういう題材を扱う作品としてかなり困難なやり方だなあ、と思いました。

それにしてもドイツはすごいなあ。歴史認識に対する授業内でのやりとりがサクッと差し込まれたり、ものすげーナチュラルにトルコ人のアイデンティティが差し込まれてたり、ああドイツにではこういう題材が繰り返し反省と思考実験行われてるんだなあ。