中島らもが年老いたオスは生きる意味がなくて、仕方ないから商店街で殺し合いをやる、って短編小説を書いてたけど、この小説はまさにソレ。人間のペニスをどうやってコレクションするか、っていう話は高尚にも知的好奇心の満足だなんだとデコレーションされているが、その内面にあるのは年老いたオスが自分のペニスを誇示して役立たずの男性器に何らかの価値を持たせようとする苦闘に見える。とにかく出てくるのが変な人間ばかりでゲラゲラ笑ってしまうが、それも人並み外れて自らの男性性にしがみつくための必死さと考えると、なんだかこう老いに対してしみじみと考え込んでしまうのだった……なんて意地の悪い見方かしらん。
まあしかし女性の老いに関しては外見一発だし例えばそれは子どもを産めるかどうかとかいうので深刻なテーマになり得るのが、男性の老いがこうなかなか語りづらいのはエンタメにおける重要な非対称性だよなあ。「珍コレクション」なんて副題、どう考えてもシリアスな話にできないじゃないですか。ラストの全てを成し遂げた館長の画なんか、音楽とも合わさってもう爆笑せざるを得ないシーンでありました。
いやーしかしコレ、どこまで狙ってギャグにしてるんだろう……正気で作ってはいないと思うんだけどなあ……