ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

LA発オリジナルズ ~チカーノ・パワー~

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最近チカーノの話を多く見ていて、そもそもなんでNetflixにこんなにチカーノ特集あるの? と疑問だったのだけれども、あーこれもしかしてあれかトランプに対するカウンターだったりするのかしら。LAのスラム街にアトリエを構えてホームレスと触れ合う辺りのパートであーそうかーもしかしたらと思ったんだけれども、そこら辺の肌感は堂なのかしらねえ……

話的にはなんか肝心なところが抜けている感じがしている。ふたりの関係性が軸になる話のはずなのに、2人の出会いと別れという超大事なパートがヌルっスルっとスキップされている感じでそれでいいのか。2人のパーソナルな部分に感情移入できないまま、音楽業界に起こったタトゥーの大きな変化みたいな現象部分にばかりフォーカスがあたってしまっている感じ。「最初から2人は意気投合した」みたいなことを言われるよりも、そこに対立のドラマがあった方がそりゃあ人間面白くお話を追いかけられるよねーという感じがした。

まーしかしチカーノ的な文化っていつの間にか日常見かけるものの意匠にも滑り込んだりしていて、あーなるほどこういうバックグラウンドがあって日本も影響受けていたのね、というのがちょこちょこわかって楽しい。というか90年代あたりを振り返るときにみんな日本にツアーできて影響を残しているのがあーそうなのかーってビックリしつつ、うーん今は中国とかにそういうことが起こってるんだろうなーと思う。

ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち

 

ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち [Blu-ray]

ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち [Blu-ray]

  • 発売日: 2018/12/05
  • メディア: Blu-ray
 

最近は虚構と現実と過去を行き来しつつ混乱なく話を作るだけでもまあ感心してしまう今日この頃なのだった。いやもちろんこれは視聴者側のリテラシーを信頼しているからこそできる話でもあるのだろーけど。

しかしまあこういった立ち位置の女性を描く上で、ヒロインの立ち位置が美術のキュレーターなんだなーなるほどなーと思う。良いことなのか何なのかはわからないけれども、ロマンティストの小説家志望の男に対置される現実的で経済的に成功したという立場としてアートが置かれるのかーそこが既に共通理解なのかーと思う。

小説の筋書きはシンプルで、いやー大体先の展開はわかるから早く進めよーと思ってしまいがちなところを、それを読む人物がなんかよくわからないけれども思うところがあるらしいぞ! という感じでこんなにもズブズブ注目できるのかーというのが良い。感情移入して何かを読み取っているらしいヒロインの何かを探るミステリで、それが過去回想によって少しずつ明らかにされるという構造だから、この三層を横断する複雑な話が問題なく受け取れるんだろうなー。

遊星からの物体X ファーストコンタクト

 

遊星からの物体X ファーストコンタクト Blu-ray

遊星からの物体X ファーストコンタクト Blu-ray

  • 発売日: 2016/03/16
  • メディア: Blu-ray
 

さすがにカーペンター版の内容を覚えていないのだけれども、基本的にはそう悪くない関連作ではなかろーかと感じた。特にクリーチャーの造形はうおおおグロいのう……って感じで、ここら辺は技術の進歩というかCGの利点がバリバリ生きていて大変よろしい。いや、カーペンター版のクリーチャーのグロさも素晴らしかったですけれどもね。やっぱり3Dだと動きそのものやメタモルフォーゼに不気味さを感じさせることができて、そこは利点だなーと思いました。

一方ストーリーについてはうーんもうちょいジリジリやって欲しいなーと思わなくもない。っていうか後半の異星人の船のアクションパート、アレ必要なんかなー? クリーチャーの見つかり方にも全体的に工夫がないし、もう少し人間対人間の駆け引きを上手いことやってくれたら良かったのになーと思いました。せっかくね、「歯を見せてくれ」みたいなので緊張感高めたのは良かったのにね、その後なし崩し的に乱闘が始まってしまって、人間同士の駆け引きが食い足りなーい! という感じ。

あとどーでもいいけど火炎放射器がクリーチャーに強いのって伝統的な物だったのかー。認識を新たにしました。

アメリカで最も嫌われた女性

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うーんよーわからーん。憲法修正第一条を巡る運動の中心が、しかしある種凡俗な人間によって支えられていた、という図式はまーわからんでもないんだけどこんなに長くダラダラ引っ張る話なのかしらー。まあ事実に基づく内容だから、リアルタイムで見ていた人には事実をなぞるだけでわりとショッキングな出来事なのかもしれないけれども、中で描かれている母と子の確執みたいなのはわりとふつーというか、あーはいはいそうなりますよねーで終わってしまう感じ。サスペンスとしてやるならやるでもうちょっときちんとドラマにしてもらいたかった。

ま、でも信仰と個人と国の関わりみたいなところは確かに面白かったか。断酒会で神に祈りを捧げるくだりもうーん残酷ー! って唸った。あと母親が口座を隠してパフォーマンスをして集めた1ドル札に「IN GOD WE TRUST」なんて書かれているのはまあだいぶ味わいと思うんだけれども、そこら辺にも触れられたセリフのやり取りがあったのかしら? 英語が聞き取れないのでニュアンスが掴めずに終わってしまったぜ……

あと黒人のゲイが出てきたり、そもそも活動の開始が60年代だったり、あーなるほどそういうバックグラウンドでこういう人物造形で描くのねーというのはなかなか面白い。

聖なる酔っぱらいの伝説

 

聖なる酔っぱらいの伝説   Blu-ray (2枚組)

聖なる酔っぱらいの伝説 Blu-ray (2枚組)

  • 発売日: 2014/08/23
  • メディア: Blu-ray
 

うーんだめだーおれはどーもこういう雰囲気の話は苦手だー。

最初の「お金を貸す」ところの動機付けがもう最高にイカしてて、あーそうかーそういう建前をつけることでものの見事にお金を渡すことができるんだなーすごいなーと思ったけれども、それってそんなに一生懸命返さないとならないものなの? という感じ。もちろん長期的な視点がないから酒浸りの酔っ払いでその日暮らししてるんだろうけど、多分この時貸したお金は生活を再建する礎で長期的な貸し付けになる物だとばかり思ってたから、行き当たりばったりでお金が出し入れされる全体の構造そのものがなんかこー全然しっくり来ないのだった。

まー死に場所をもとめてる話ではあるのだろーけど、それが救いでアルノ屋もシレンけど、オレとしてはなんともまー乗り切れないというか、宗教絡めてああいう着地点に落ち着くところがうーんいまいちよーわからんなー。

あとまーガンガンセックスしてるのがおフランス! という感じ。ホームレスでも黄金が入ったら酒を飲んで女をだいて死ぬ! いや、なんだかなあ……渋いおじさんの顔面だから許されるけど、また随分なファンタジーでありますよねー、とちょっと距離をとってしまうのでした。

 

クーデター

 

クーデター(字幕版)

クーデター(字幕版)

  • 発売日: 2016/01/20
  • メディア: Prime Video
 

ピアース・ブロスナンが良い役だなーと思ったら呆気なく死んで「え!?」となる。なんか無理やり感動的なラストにしようとしているけどさすがに無理が……

「アメリカが悪いんだ」って格好には一応しているけれども、そこからあの子供だって容赦せず殺すアジア人の狂気を描くところには全く容赦がなく、いやーそういうエクスキューズをしたらああいう風に他人種を扱って良いのはちょっとさすがにドン引きですねー。そりゃまあアジア人があんなに残虐に女子供まで殺すんだったらCIAだってがんばって中枢コントロールしちゃいますよねー。いやー、なんだかなー。

しかしまあ確かにそういう「不条理な恐怖」が襲ってくる辺りの描写は巧みで、ホテルから脱出するまでの辺りは大変良いなーと思います。まあ良いからこそ色々引っかかっちゃうんですがね……群衆の中を逆に進むところの緊張感とか、そういうアクションはまずまず悪くないんじゃないかなあと思いました。

だからまあシナリオだよなー。家族の脱出劇なんだけれども、そこにあまり家族であることの工夫とかも見受けられないし。OPのクーデターシーンが全くなにも関連しないとか、ラストでわりとどうでも良い生まれたときのエピソードを語るとか、まあそういう雰囲気でやっちゃってるんじゃねーかなーというシナリオではあります。

 

めまい

 

めまい (字幕版)

めまい (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

な……なんやこれ……たぶん見るの3回目とかだけど、なんでこんなに面白いの? ヒッチコックは天才か? いやあすげえ……すごすぎる……

ヒッチコックの映画で「恋愛」みたいな感情って結構お飾りというか、そんな細やかな心理のドラマやってた記憶ってそんなにないんだけど、この映画はそこをテーマに、しかもクッソ変態的に拡張して成立させてるのすごいよね……いやはや……余りに尖っててびっくりしたよ……いやあすごすぎでしょ……普通こんな主人公の動機でストーリーが成立するとか思わないでしょ……後半とかただひたすら主人公の変態性がストーリーを引っ張ってるのヤバすぎでしょ……ウソを軸に鏡映しになったみたいにお互いの感情の行き違いがあるの最高でしょ……いやあ、マジで最高……

そして何より感心したのがあの有名なぐるーっと回るホテルのショットで、いやーストーリー上最も重大なシーンに最も印象的なカットが使われてるのマジすげーなーと思った。いやまあ当たり前なのかもしれないけれども、歴代の映画の名シーンと呼ばれるシーンであそこまで作品的にも重要な箇所で使われてるカットってあります? それまで蓄積して蓄積して蓄積してアレだもんなー。そしてキスのタイミングで背景がアレでしょ。もー設計がすごすぎる。いやーぶったまげましたよ。

あと特筆すべきはラストの切れ味。シスターがゴーン! と鐘を突いてスパッと終わる! もう笑っちゃうくらい完璧なラストになってる。何なのあれ? すごすぎるんですけど。

あとはやっぱり知識が増えると映画の見方も豊かになるなって感じ。サンフランシスコで港湾かーとか、あーあの杉は猿の惑星にも出てたやつだよなーとか、あと気合いの入ったヒロイン出てくるファーストカットの横顔停止、アレって古い人物画の構図をやってたのね……なるほどなー。