ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ゼンタイ

 

ゼンタイ [DVD]

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っていうかさ、作品の白眉であるはずのあのすれ違いシーンの手前の号泣のところのピンがズレてね? ズレてるよね? いや、全体的に低予算でそこら辺を割りきった作品なのはわかるけどさ、あそこでズレてていいの? マズくない? なんか意図あんの? っていうかあんな絶対に外せないシーンでピンが合ってないとか信じられないので自分の目がおかしいかそれとも何か意図があるのだと信じたい信じたい信じたい。

緩い繋がりを持った連作短編、みたいな映画ではっきり言って映画としてみたら肩透かしかなあ、と思うんだけどそれは映画っぽい映画を期待させる説明文が悪かったのか。基本固定カメラで役者同士の会話を延々見せられるだけの内容で、うーんこれはどうも期待していたものとは違うなー、と思いながらも会話自体はちゃんと面白いというか明確な対立軸があって面白いのでなんとなーく観てしまう。のだけれどもやっぱりオチとかには「えーそれでいいの?」って全然納得いかないところがあって、唯一きちんと映画を締めるはずのラストの不思議演出も押しつけがましい音楽と顔のアップで「クッサー!」となってしまいうーんどうなんだこれは。低予算と期間が短くてもその予算感にあった映画の演出というのはあるんじゃないのか。

屍蘭

 

屍蘭 新装版: 新宿鮫3 (光文社文庫)

屍蘭 新装版: 新宿鮫3 (光文社文庫)

 

お! お! だんだん面白くなってきた!

1巻の時に「これは警察組織に興味がないと面白くないかなあ」なんて思って敬遠してたんだけど、考えてみりゃ自分も警察には興味ないけど組織には興味あるんだった。というか多かれ少なかれ人間は全て組織に属しているわけで、そうするとまあ割と普遍的なテーマであるよなこれ。

ということで本作品、前巻と打って変わって一風変わった殺人者がメインになって、犯罪の構図もかなり特殊で興味深いんだけど、そっちの方にはそこまで深入りしないのがいいよなあ。主人公は犯罪そのものの謎を究明するよりも、むしろ敵が防衛策として仕掛けた罠にどう対処するかが本筋になって、おーなるほどこういうアングルもあるのか、とても楽しくなる。前巻まで「ちょっと上滑りしているかなあ」とも感じていた主人公の正義感と警察官への理想が、組織をテーマにすることで一気に鮮やかに見えてくる感じ。実際主人公の置かれている微妙な立場らしいものって、警察組織の論理がわからんとイマイチぴんとこない所が多かった。まあこの巻でもそれがはっきりわかったわけじゃないけれども、主人公が職を奪われるというある意味遠回しな策略が、主人公が殺される危機よりもよほど厳しく迫ってくるのがとても良い。

いやー、これは続き読まねば。

エルム街の悪夢

 

エルム街の悪夢(1984) (字幕版)

エルム街の悪夢(1984) (字幕版)

 

夢って当たり前だけどリアリティがないというか、いってしまえば何でもありなわけで、何でもありなところに恐怖を感じるのって難しいよね。現実に根ざしたある程度のルールがあって、その中で自分ならどう行動するだろうとかつい考えてしまうリアリティがあるからこそ感情移入出来るわけであって、「あー無理何されても無理だわ」とか思ったら主人公に共感する丁寧な造りって難しい。その結果どうなるかというとショッキングな外面や以下にもな舞台装置や過激な絵面を用意するってところに行き着くわけで、脈絡もなく差し込まれるフレディ自称とか生理的嫌悪喚起蛆画像とか自重してないスプラッタシーンとか、もうそのなんだ、そもそもコレで本当にこれを怖がってた人間はいたのだろーかと思いながら見る。あーそうですかデートムービーですか隣の彼氏に抱きつくタイミングをきちんと示せればそれでオッケーなのでこういうつくりなのですかもしやみたいなところを勝手に考えてしまうほど。

しかしなー突然やってくるあのラストの収束はないよなー。死んだ彼のテキトーな台詞を実践して退治とか。あまりの超展開に爆笑してしまったよ。

清須会議

 

清須会議

清須会議

 

うーん面白くないなー。詰まらないかと言われるとまあギリギリ役者と台詞でこの長尺をちゃんと見入って詰まらなくはないんだけど、全体を通して面白いと感じられるところがないよなー。映画見終わって三谷幸喜の名前を見た途端「は!?」と思うくらい面白くない。いや三谷幸喜は大河ドラマとかも見てないし一番直近で観た映画は何だ? えーと、『有頂天ホテル』? とかだからそんな三谷幸喜の名前で判断されても! という感じかもしれないけどまあとにかく面白くない。

いや完璧に思いつきなんだけど、もしかしたらこれ大河ドラマだったら面白かったのかなーという気もする。映画は史実をバックグラウンドに敷いているわけで、どうやって視聴者を驚かすかというよりもむしろどのように読者を驚かすかが重要というか、三法師を持ち出すという思考としてはまあ当たり前の範疇にある出来事(しかもそこそこ有名)を、どのように隠蔽しておもしろおかしく見せるかというところが焦点であってそもそも結構な無理ゲー。を、役者と台詞とそこそこの演出でまあなんとなくそれっぽく持っていった感じであり、これたぶんドラマだったら成立してたかもなー、でもこれじっくり向き合う映画なんだよなー。

しかしこの映画の絵作りは基本的に気に食わず、ローキーで進む室内とスーパー彩度の高い外の様子の対比がちょっと主張しすぎてないですか? その割には内外の対比で全体が機能しているようにも思えないし。もちろんコメディなのでどこかで明るさを出さなきゃならなかったかもしれないけどさー、あの館がうまいこと秀吉の舞台装置として機能してないよなあ。

っていうか最初のクッソ荒い映像が廊下を歩いているウチにシャープになるあの入りからしてつまらん。あれ気の利いているつもりなのかしら。やるなら徹底的にやりゃいーのに。

ルートヴィヒ

 

ルートヴィヒ DVD

ルートヴィヒ DVD

 

歴史系の映画は好きなのだが世界史あんまり覚えていないので観ながら「あーそういやプロイセンの時いたなあ」「フランスはナポレオン3世とかなのね」なんて記憶を辿っていたら突然BL展開が始まってブッ飛ぶ。しかもキス1度で国が傾くとか延々三歩の距離を保つとか、あーこれなんなんですかね私嫌いじゃないです。好きです。はい。

いやまあ若い日のルートヴィヒがまずちょっと妖しいよね。そんな髪型で観葉植物(念入りに準備)の向こうから色までコーディネートキメキメの服で「ワーグナー!」とかもう、ええと、これはもう萌えてよろしいのか。そうか。よろしいか。そりゃまあ突然胸が広く見える服着てフレアいっぱいのレンズで木の下ふたりとか撮られても納得してしまいますよね。しないか。いやでもあの瞬間に僕が感じた「世界変わったな」って感じが劇的にヤバかった。劇的。

まあ映画としてはちょっと冗長というか、そんなに各キャラクターに興味も持てないなあと言うところもあって辛さも感じる。

しかしなあ、ノイシュバンシュタイン城の後年の使われ方とか、あとワルキューレの政治利用のされ方とか、結果的にかなり皮肉な成果を残すことの多い王だったのだなあ。

トライアングル

 

トライアングル(字幕版)

トライアングル(字幕版)

 

あーうんうんいいいい。思いも寄らない方向にストーリーがドンドン転がって宙ぶらりんになったかと思ったらちゃんとひとつ上のレイヤーから解答があって納得できる作りになってる。以下ネタバレなんで作品観てからどうぞ。

 

まあこんないかにもB級な映画をなんで見だしたかっていうと「ループもの」って話を聞いたからで、その前情報がなければ再生しなかっただろうけどやっぱり前情報ない方がいいよなーコレ。ループものとしてのルールや工夫を楽しむ、という作品というよりも、作品の見方そのものがスライドしていくのが楽しい作品だと思うので。

ぶっちゃけ見終わってから冷静に考えると、特に中盤のヒロインのサスペンス要素が結構無意味で、全体の贖罪の意味づけから見たらもうちょっとやりようがあったんじゃないの子ども絡めて? とは思うんだけど、でも見ている途中の「この世界のルールは何だ?」「本当にこの状況に合理的な説明がつけられるのか?」という宙ぶらりん感が大変面白いわけで、それを堪能すべき作品だろうなあ、とは思います。

なんつーか、メタ映画としてメタで観客と戦ってる感じ。で、メタレベルでちゃんと納得の行く回答が示される作品っていうのはなかなかレアなので、うん、よくやった作品だなあ、と思いますはい。

 

スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい

 

まず企画自体が良いよね。ひとりの賞金首をめぐって一癖も二癖もある大量の暗殺者たちが一斉にホテルの屋上を目指す。彼らの思惑が思惑を呼び一種バカバカしくもある惨劇をもたらすってのは、まあ企画自体が大変よろしい。

問題はその暗殺者のキャラ付けをどうするかってところだけど、黒人女性ふたり組とバカ三兄弟がもうキャラ立ちが強すぎてヤバイ。あの二組に目が惹きつけられて、もう他の所に全然意識がいかない。いや、変装の名手とか拷問の人とかいろいろいるけど、でもキャラ付けという意味ではちょっと失敗しているよね。あーそんな人もいたかなあ、くらいの印象で話が進んでしまう。まあでもバカ三兄弟のチェーンソーの死に際が最高なのでオールオッケー。死体しゃべらせるのも最高。最高。

演出も序盤のたたみかける感じは好きで、暗殺者の視点をポンポン飛びながら状況説明するのは適切な混乱をもたらす程度で良い。それに比べて後半は割とオーソドックスというか、やんちゃをしない編集で、ちょっと寂しかったりするけど、でもあのまま最後までやられてたら辛いだろうからそれはそれで成功なんだろうなあ。

ただ、FBIの真相からラストの下りは結構どうでもよく、それがこの映画全体のガッカリ感に繋がってきちゃうよなあ。本当はあのコード抜きに心情がガッと掴まれなきゃならんのだろうけど、うーん、音楽で盛り上げられてもイマイチピンとこない。熱演はしてるんだけど、映画全体がそこに着地する話なのホントに? というのがある。でもラストでみんな生きてたし続編があるのかなあ、とググったらあったんだけど前日譚かよ! あんな思わせぶりに生かす必要あったのかしら……