ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

スピーク

 

スピーク

スピーク

 

POVのホラー。リアルタイムというのは言い過ぎだけどストーリーがほぼ連続していて、映画内の舞台がほぼひとつの建物のみでたぶん半径100メートル以内に収まっちゃうくらいのスケール。いかにも低予算でアイディア勝負のPOV映画って感じ。

なんだけど、アイディアの部分でだいぶ負けちゃってるからなあ。心霊現象のドキュメンタリーって時点でストレートすぎてどーなのと思うし、対立軸のある人間関係も序盤はともかく中盤以降全然効いてない。舞台設定は変化に乏しく、どんどんと恐怖の度合いが高まっていく感じは少なくとも自分にはない。カメラは恐怖シーンでがちゃがちゃと動き何が起こっているのかわかりづらく、しかも大量にCGをブチ込んで次から次へと超常現象のオンパレードが繰り広げられて怖くもなんともない。アトラクションじゃねーんだからさ。ラストもちょっと捻りの利いたことをやったつもりなのかもしれないけど、演出がマズくてわかりづらい上にチープでなあ。

観るべき所は、うーん、映像が向こう側の世界の画を差し込んでくるところとか? いやー、でもそこはこの100万倍巧みな格好で白石監督がやってるからなあ。

薔薇十字叢書 ヴァルプルギスの火祭

 

薔薇十字叢書  ヴァルプルギスの火祭 (講談社ラノベ文庫)

薔薇十字叢書 ヴァルプルギスの火祭 (講談社ラノベ文庫)

 

なんだオレ三門鉄狼じつは4冊も読んでるのか。今まで散々な感想しか書いてないのに。なんで読むのか。好きなのか。いやいやそんな。まさか。まさかまさか。

といいつつも読み始めたのはもちろん「京極堂」が出てくると聞いたからで、どうやらこの作品京極夏彦トリビュートらしい。京極堂の孫たちが登場し活躍するラノベらしい。マジか。マジでか。マジでそんな蛮勇を。

と思いつつ読み始め「あー蛮勇だったなあ」と読み終わった。いやまあこういう蛮勇はそもそも嫌いじゃないしチャレンジは必要だと思うし結構自覚的にこの道具立てを選んだみたいだからそれ自体は悪くないと思う。ただまあトリビュートとして描くには圧倒的に書けてない、というか元の京極堂シリーズがすごすぎて、そのガワやら雰囲気やらの一部を取り込もうとしても、まあどこかに歪みが出ちゃうよね、という感じがする。

この作品においてはたぶん館の存在感とその中心点として機能するべきキャラクターがいかに異界を創りあげているか、そこに説得力を持たせることができなければこのスーパーバカバカしい謎は成立せず、もうちょっと恐れずに全力で京極堂しなければならなかったんじゃないかなあ。みっしり。それには圧倒的に分量が足りないならばやっぱりそもそもの問題設定が間違っているとしか。

あとはキャラが薄いのも残念。そこら辺、原典を元にしたキャラクターだから省略している、ってのもかなりあるとは思うんだけど、如何せん原作の二番煎じでキャラが薄くなってるようにしか思えないよね。つくりとしては厳しいなあ。

しかしラストの本家京極堂登場シーンはもうちょっとどうにかならんものか。推理のひっくり返し方の根拠があまりに貧弱すぎるよ。あそこでちゃんと全員がひっくり返るような説得力を持たせられないんじゃ、トリビュートとしても失敗なんじゃないかなあ。ひっくり返された推理の中にも何らかの意味を見いだして主人公が肯定する、くらいまではいって欲しいものですはい。

ギフト

 

ギフト(字幕版)

ギフト(字幕版)

 

うーん良い良い。サム・ライミ堪能。冒頭の湖面を滑る映像だけでもう「サム・ライミきた!!」って感じ。

ホラーに見せかけて話のつくりはミステリなんだけど、そうやって考えるとかなりつくりは雑。そもそも容疑者が少ないのももちろんあるんだけど、女が亡くなったらまず真っ先に疑われるのが恋人なのは当然なワケで、多少ミステリを読んだことあるひとならまあ大体つくりがわかるよね。むしろストーリーはいかに婚約者に疑いの目を向けさせないか、ってことだけをやり続けていて、そういう視点で見るときちんと演出してあるなあ、と逆に感心する話ではあります。でもヒントを出し過ぎだよね。「実はあいつが死んでホッとしている」とかそこまでキアヌ妻に言わせる必要はあったのだろうか?

なんて結構危ういつくりをしていながらも、最後に「あー面白かった」と思えるのは、単なるミスリードかとおもった事象がちゃんとヒロインの能力&救済に結びついているから。ってかさ、「幻かと思ったけれども私の手元には彼から受け取った○○が……」ってベタベタなヤツがこんなにも有効に機能するなんて思わなかった。そういう超常現象の扱いも含めて、いやあ巧みにコントロールされてますねって感じ。

鉄男

 

鉄男 ニューHDマスター

鉄男 ニューHDマスター

 

『鉄男 THE BULLET MAN』はなんか観たことがあってなんだかよくわかんねーなーとおもった。塚本監督って色んなところでリスペクトを受けてるっぽいし、近頃だと『沈黙』でのスコセッシのやり取りとかを聞いたけど、でもその偉大さがイマイチよくわかんないんだよなー。『野火』ホントにオレダメだったもんなあ。

なんて思いながら見た『鉄男』だけど、んーなるほどなるほどこれは確かに当時いきなり観たら衝撃だったかもしれない、と思う。なんというか、この内容を語るならこの映像以外にはないだろうなあと思うくらい、後半のとんでもないストーリー展開と映像表現がマッチしていて、音楽もまあかなり癖になるデキで、うんうんこれはちょっと圧倒されちゃうよね。

あとモノクロで日本の工場を撮るとカッコいい! というのも大変よい。偏執的なほど画面に映るパイプが、実は気づいていないオレらの日常の味方を教えてくれる感じ。観たことのある風景と地続きだからこそ、映像からこういう奇妙な恐ろしさを感じるのかしらねえ、と思った。

パブリック・エネミーズ

 

パブリック・エネミーズ (吹替版)
 

最近だと「野火」でもそうだったんだけど、カメラに好き嫌いが出てしまったのは本当にどうにかならんのだろうか。この映画も映像がほんと見てられないもん。クッソ工夫のない手持ちカメラの肩越しの切り返しショットで無駄な会話を聞かされることの何と辛いことか。もっとヒキの絵をくれ!! とりあえず手持ちのカメラで登場人物の後を追いかけて会話へイン、だからこの画角でしょーがないよね、じゃないんだよ!! デジタル撮影とかもあるのだろうけども、基本的には動画の流れの中できちんと見せるべき所を見せるための工夫や時間が圧倒的に不足してるってことだよねコレ。じゃなきゃ表情が重要な場面であんなクッソくらいライティング採用しないでしょ。あのダンスシーンの被写界深度や光のコントロールの無さによって生じる圧倒的な台無し感にオレはオレはオレは憤死するかと思った。もうね、拷問のような143分。こういう絵作りの違和感をとりあえず棚に上げてその他の要素に集中できる心の棚を設けたいものだぜ……

とか言いつつも、映像が良かったら映画を楽しめたかというと全然そうも思えないのでなんともなー。豪華主演の共演のはずが、クリスチャン・ベールの扱いがきつすぎでしょう。っつーか、ジョニー・デップと檻越しに向き合うあのシーン! この映画で一番シンボリックな箇所になってもおかしくないのに、あんな再現ドラマライクの画像でテキトーに思わせぶりな会話挟まれても、これっぽっちも面白くねーわ! って、漏れ出すのは結局映像に関する文句だよなー、はぁ……

ゾンビスクール!

 

ゾンビスクール!(吹替版)

ゾンビスクール!(吹替版)

 

ゾンビって「死体だから残虐に殺しても良いよね!」という建前があるからってところがあるわけで、んじゃあ子どもをどうやって殺すの? と大変期待しながら見たんだけど、そこらへんかなり丁寧にやってあって満足した。最初の一人目を殺すところはショッキングに演出して、そのあたりからちゃんと人間ドラマにフォーカスが当たるようなつくりになっている。その後謎の東洋人が現れて子どもをざくざく斬るんだけど、暗闇のライティングでかなりショックを和らげてあって、ラストもまとめて燃やすなど適切な処理をしてある。といっても体中血だらけにはなっているわけで、終始撮影中子供達が大丈夫だったか心配してしまうけどね。

ストーリーはコメディタッチだけどまあそこそこ笑えるかなあと言う感じ。キノコのおっさんの下りは爆笑した。ゾンビパニックをトリップ中に体験するデブのおっさんというだけで笑えるもんなあ。

ただラストはあんなところで締めて良かったのかしら? ゾンビものだからもちろん綺麗に終わるとは思っていないけど、学校出たあと中途半端に謎のパーティー施設を経由したのが、あのメチャクチャ無理のある「実は死んでませんでしたー!」展開をやるためだけになってるよね。はっきりいってどうでも良い。けどじゃあどこで話を閉じるかっていうと、だいぶ難しい話だけどね。

あとヤボかもしんないけど、大人に感染しないなら、世界規模のパニックというのはちょっと考えづらいよなあ。

愛と追憶の日々

 

愛と追憶の日々 [Blu-ray]

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うーん変な映画。これが大ヒットしたんか。よくわからんなあ。

ジャック・ニコルソンが出てれば大体ジャック・ニコルソンから目を離せない私でも、この映画はやっぱりシャリー・マクレーンの映画って感じがするなあ。冒頭のエピソードから強烈だけど、とりとめもなく飛び飛びに進む時間をシャーリー・マクレーンの存在感がズン! と繋ぎ止めている感じ。肌を晒したあのドレスで海にダイブ! とか、あとはもうジャック・ニコルソンと二大怪獣大決戦って感じのベッドシーンとか、いやはや迫力満点のシーンが随所随所で効いていました。女性視点で時間が経過する作品っていうのは結構難しいと思うんだけど、いやあよくやるもんだなあ。後半難病ものッぽい展開になっていったのは正直あんまり好きじゃないんだけど、でもこうやって高速で流れゆく時間の中でああいうエピソードが語られるのは、なんだかんだグッときてしまうのでした。

にしてもジャック・ニコルソンが宇宙への思い入れなんかを語るところはやっぱり笑ってしまう。彼が宇宙に行くなんて、大統領よりも想像できないよ!