ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ゾンビスクール!

 

ゾンビスクール!(吹替版)

ゾンビスクール!(吹替版)

 

ゾンビって「死体だから残虐に殺しても良いよね!」という建前があるからってところがあるわけで、んじゃあ子どもをどうやって殺すの? と大変期待しながら見たんだけど、そこらへんかなり丁寧にやってあって満足した。最初の一人目を殺すところはショッキングに演出して、そのあたりからちゃんと人間ドラマにフォーカスが当たるようなつくりになっている。その後謎の東洋人が現れて子どもをざくざく斬るんだけど、暗闇のライティングでかなりショックを和らげてあって、ラストもまとめて燃やすなど適切な処理をしてある。といっても体中血だらけにはなっているわけで、終始撮影中子供達が大丈夫だったか心配してしまうけどね。

ストーリーはコメディタッチだけどまあそこそこ笑えるかなあと言う感じ。キノコのおっさんの下りは爆笑した。ゾンビパニックをトリップ中に体験するデブのおっさんというだけで笑えるもんなあ。

ただラストはあんなところで締めて良かったのかしら? ゾンビものだからもちろん綺麗に終わるとは思っていないけど、学校出たあと中途半端に謎のパーティー施設を経由したのが、あのメチャクチャ無理のある「実は死んでませんでしたー!」展開をやるためだけになってるよね。はっきりいってどうでも良い。けどじゃあどこで話を閉じるかっていうと、だいぶ難しい話だけどね。

あとヤボかもしんないけど、大人に感染しないなら、世界規模のパニックというのはちょっと考えづらいよなあ。

愛と追憶の日々

 

愛と追憶の日々 [Blu-ray]

愛と追憶の日々 [Blu-ray]

 

うーん変な映画。これが大ヒットしたんか。よくわからんなあ。

ジャック・ニコルソンが出てれば大体ジャック・ニコルソンから目を離せない私でも、この映画はやっぱりシャリー・マクレーンの映画って感じがするなあ。冒頭のエピソードから強烈だけど、とりとめもなく飛び飛びに進む時間をシャーリー・マクレーンの存在感がズン! と繋ぎ止めている感じ。肌を晒したあのドレスで海にダイブ! とか、あとはもうジャック・ニコルソンと二大怪獣大決戦って感じのベッドシーンとか、いやはや迫力満点のシーンが随所随所で効いていました。女性視点で時間が経過する作品っていうのは結構難しいと思うんだけど、いやあよくやるもんだなあ。後半難病ものッぽい展開になっていったのは正直あんまり好きじゃないんだけど、でもこうやって高速で流れゆく時間の中でああいうエピソードが語られるのは、なんだかんだグッときてしまうのでした。

にしてもジャック・ニコルソンが宇宙への思い入れなんかを語るところはやっぱり笑ってしまう。彼が宇宙に行くなんて、大統領よりも想像できないよ!

アメリカン・アナーキスト

American Anarchist | Netflix

『アナーキスト・クックブック』っていう武器やら爆発物やらのレシピ&革命指南本があって、アメリカのテロリストやら銃乱射犯やらが参考にしてるらしいんだけど、その著者のインタビュー。本が出た時代の背景もあって、反戦運動的なアレやらヒッピー文化やらなんやらの印象が強くて、オレはてっきり情報を拡散することの不可避性とかそういうもうちょっと公的な問題に踏み込むのかと思ったら、意外や意外インタビューを受ける著者の内面にすげー深く切り込む内容で、それがメチャクチャ面白い。

というのも革命思想に傾倒していた著者はその後『アナーキスト・クックブック』と距離を取って結婚し子どもをつくりなんと今や世界中を股にかけて学習障害のある子どもの教育者として生活しているのだという。かたやコロンバインで子どもが『アナーキスト・クックブック』に影響を受け銃乱射事件を起こしているのに、である。

この映画はもう容赦なくその矛盾に切り込んでいく。編集がかなり強力なのもあるけれど、こっちが心配になってしまうくらいはっきりと踏み込む。でもって大変心を打つのは、著者もその踏み込みを受け止めようと努力しているところだ。教育者としての彼は、自分のかつて犯した罪をきちんと償わなければならないと理解している。しかし、彼は過去の自分の過ちを、どのように解釈し受け止めれば良いのか今だわからない。革命思想に傾倒していたどこの誰ともしれない若者が衝動に突き動かされて書いた一冊の本が、世界中で大量の人間の命を奪うテロリズムに利用され世界を変えてしまうなんて、一体誰が想像できるだろう? 想像できたとして、その事実をどのように自分の人生に位置づければ良いのだろう?

あまりに巨大な自分の罪に向き合えない著者の困惑が画面越しに伝わってきて、目が離せない。彼が抱いている困惑は、規模は違えどたぶんインターネットで日々目の当たりにする「過ちを認めることの難しさ」と繋がっているよなあ。

わかれ路

 

わかれ路 (字幕版)

わかれ路 (字幕版)

 

邦題がシブすぎるよねコレ。いや映画の中身もシブすぎてウトウトしちゃう内容だけどさ。

じっくりたっぷり撮っているけれども、結局はおっさんが美女ふたりの間で不倫二股かける話で、まあ根本的にどうでもいい。不倫してるとなんか感情移入できたりするんだろーか。これだけカットバックや妄想シーンを挟み込んでくるんだから、もうちょっとこうリチャード・ギアに親身にならなきゃいかん話だと思うんだけど、もう全くこれっぽっちも共感できない。美術を学んで金持ちの娘をゲットして建築家で有名で可愛い娘さんもいて、なのになんか妻が気に入らなくて著名ジャーナリストと不倫、とかもうマジでどうでもいいわ。どうでもよくない? ねえ?

ストーリーも地味にシブくやっているように見せて実はそんなに深く考えてないんじゃね? という感じが強く、だってラストで襲う悲劇の作意ってひどすぎるでしょう。ラストの決着の付け方はまあ気が利いていなくもないと言えないけど、事故の時点で結構予測がついちゃう類のものなので、オチだけを見るためだけの時間だとしたらかなり辛い。っていうかラストそこで手紙捨てて、なんかよくわからない水に流れるとか、いやーもうちょっとなんか締め方あるんじゃないのか。

国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」

 

国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」 (講談社選書メチエ)

国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」 (講談社選書メチエ)

 

いや面白い面白い。「五つの視座」というタイトルの通り、この本は何かの真理を言い当てるものではなく、世界をどのように捉えるかその新たな角度を示してくれる。でもってそれこそオレが世界史の本を読んで興奮する部分であるので、こういう風に様々な視点を大枠からご教授いただけるともう大変エキサイティングでありますはい。

まずなにより、そもそも国家という枠組みがどのようにつくられたかという話が衝撃的すぎて、いやほんとにビックリした。コペルニクス的なアレ。ウェストファリア条約が大事ばかり記憶していたら、えー、ここでウィルソン大統領出てくんの? 国際連盟と民族自決? いやー、世界史で赤文字で習ったワードの重要性が、ようやく今になってわかってくるとか、ほんと当時は知識を詰め込んで繋げることができてなかったんだなー。でもってその視座を得たもんで、近年のISのテロが全く異なる意味合いを持ってきちゃったりするわけで、いやー、やっぱり我々先入観を疑のは難しいよねえ。

地政学とかそこら辺についても全く知識がなかったので、序盤で語られる東アジアのホットな情勢も大変面白い。日本の産業革命から満州国やらのくだりって、一体何が可能にしたのかってイマイチよくわかってなかったのだけれども、「ロシアの脅威」って明示されてすげー納得する。そうかそうか尊皇攘夷とかじゃないけど、やっぱりある程度の強制力がないと将来への展望とか真面目に考えたりしないよなあ……

アメリカが成長を強いられた国、みたいな話も大変面白かった。「無限の成長は不可能」ってもう否定するのも馬鹿らしいくらい当然のことに思えるけど、しかし渦中の人間は積極的に目を逸らすよね。本に描かれて議論は結構飛躍が多くて、そのまま鵜呑みにしていいかよくわからんなーって感じはけど、リーマン・ショックまわりのあれやこれやを見たもんで、感情的には納得してしまうなあ。

ピクセル

 

ピクセル (吹替版)

ピクセル (吹替版)

 

前々から評判あまり良くないのは知ってたけど、いやあ噂に違わぬダメさでビックリした。こんな題材をよくもまあ上っ面だけなぞってペラッペラのエンタメ映画に仕上げられたもんだと逆に感心する。あまりのひどさに終わった直後『スコットピルグリムvs邪悪な元カレ軍団』見に行っちゃったもん。ホントに。あのOPのジングル的なアレ入れてるだけでもう完璧に向こうの勝ちだよ。Genesisが創成期とかそういうレベルの問題じゃないよ。

っつーか

www.youtube.com

このムービーの想像力をこれっぽっちも超えていない、どころかむしろ退化してるようにさえ思えるのはどういうことよ? 新しくわくわくするようなアイディアなにひとつないじゃん。ニューヨークの道路を走るPAC-MANを単なるカーアクションにさせてしまうその神経に絶句だよ。地下鉄走らせて上部の駅がピクセル化されていった方が100万倍ワンダーだよ。

っつかそもそもピクセルに対しての捉え方が致命的で、この短編でも大変端的に示されているように、ドットの恐ろしさって複雑な事象を単純化して平面化していくことにあるわけじゃん? 今まで自分らが生きてきた場所とは別の尺度に世界が創り変えられていくのがワンダーなワケであって、それを単なる「物質分解光線(可逆)」みたいな超絶糞ななんの捻りもない設定に落とし込むその神経を疑う。なに単なる侵略宇宙人にしちゃってんの? っつかそもそもなんでドットにアンチエイリアスすんの? バカなの?

主人公たちの位置づけも最悪で、定跡通り負け犬主人公にするのはまあいいんだけど、その友人を大統領にするってひどすぎない? 確かにちょっと捻ってあってドラマのつくりをグンと楽にして、という効果はあるけどさー、そこでドラマをならしちゃったら負け犬主人公にする意味ねーじゃん。ナードの鬱屈を本気で晴らそうとかこれっぽっちも思ってないよね。本気でそちらに立つんだったら、あんな糞みたいなラブシーンなんて突っ込まずに、むしろワンダーボーイを二次元にさせて対決させなきゃダメじゃん!

あー腹立つ。子ども向けみたいな言い訳でできてんのかしら。映画を観ててこんなに腹が立ったのは久しぶりです。

狂い咲きサンダーロード

 

よくこんな作品を今Blu-ray化できたなーと思ってクラウドファンディングの支援者一覧見たら知り合いの名前があってビックリする。そうかそういえば確かにそんなことも言ってたなあ。

まず思うのは映画というジャンルの懐の深さで、この内容の作品が世の中に流通しちゃうのが映画ヤベーってなる。エロはないけど終始放送禁止用語のオンパレード、ド頭に壁に書いてある「OMANKOOOOOO」からしてビビるし、モザイクがかかっているとはいえ突然出てきた不良少年(小学生くらい?)がポンプでシャブやってるのには「うっひゃー!」となる。おいおいいくら何でもやりすぎでしょー!

がしかし、やり過ぎだからこそこの映画であるわけで、破綻する演出・過剰な効果・散漫な脚本だからこそ染み出してくるものってあるよなあ。序盤の不良たちのガヤは明らかに入れ込みすぎだし、鉄パイプ工作して花火を使ってまで派手にしたい殺陣は勢いが噴き出してるし、ホモの右翼とか圧倒的に歪でなんかはみ出してる。そして終始流れる曲・曲・曲。いやはやいやはや。

なんて半分馬鹿にしたような言い方になってしまったけど、でもやっぱりどうしようもなく好ましい作品なのは間違いなく、ってかあの主人公を嫌いになるってオレにはなかなか難しいなあ。技術的にも、序盤の暴力がカットインしてくるような台詞応酬の編集が大好きです。