ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」

 

国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」 (講談社選書メチエ)

国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」 (講談社選書メチエ)

 

いや面白い面白い。「五つの視座」というタイトルの通り、この本は何かの真理を言い当てるものではなく、世界をどのように捉えるかその新たな角度を示してくれる。でもってそれこそオレが世界史の本を読んで興奮する部分であるので、こういう風に様々な視点を大枠からご教授いただけるともう大変エキサイティングでありますはい。

まずなにより、そもそも国家という枠組みがどのようにつくられたかという話が衝撃的すぎて、いやほんとにビックリした。コペルニクス的なアレ。ウェストファリア条約が大事ばかり記憶していたら、えー、ここでウィルソン大統領出てくんの? 国際連盟と民族自決? いやー、世界史で赤文字で習ったワードの重要性が、ようやく今になってわかってくるとか、ほんと当時は知識を詰め込んで繋げることができてなかったんだなー。でもってその視座を得たもんで、近年のISのテロが全く異なる意味合いを持ってきちゃったりするわけで、いやー、やっぱり我々先入観を疑のは難しいよねえ。

地政学とかそこら辺についても全く知識がなかったので、序盤で語られる東アジアのホットな情勢も大変面白い。日本の産業革命から満州国やらのくだりって、一体何が可能にしたのかってイマイチよくわかってなかったのだけれども、「ロシアの脅威」って明示されてすげー納得する。そうかそうか尊皇攘夷とかじゃないけど、やっぱりある程度の強制力がないと将来への展望とか真面目に考えたりしないよなあ……

アメリカが成長を強いられた国、みたいな話も大変面白かった。「無限の成長は不可能」ってもう否定するのも馬鹿らしいくらい当然のことに思えるけど、しかし渦中の人間は積極的に目を逸らすよね。本に描かれて議論は結構飛躍が多くて、そのまま鵜呑みにしていいかよくわからんなーって感じはけど、リーマン・ショックまわりのあれやこれやを見たもんで、感情的には納得してしまうなあ。