ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

エンド・オブ・ホワイトハウス

 

エンド・オブ・ホワイトハウス [Blu-ray]

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近年観た映画の中では最もエキサイティン! したかもしれない。映画を観ながら何度絶叫したことか……

アメリカが自衛を理由に愛国心煽る映画は散々撮られてきたけれども、まさかこんな何の考えもなしに煽ってくるとは思わなかった! そもそも何の工夫もなく国籍不明の戦闘機がワシントンDC領空侵犯して攻撃してくるってのがまず想像の遥か上だったけど、韓国首相(!)がテロリスト軍団と共にホワイトハウスを占拠する展開はもう開いた口が塞がらなかったよ。いやーヤバイねこの発想。テロリストの手法が明らかに中東のIS由来の表現を参考にしていて、あーそうあっちの方の人種にできないからターゲットにしたのね。PCとか散々言ってる国がこんな映画とって愛国心煽るんだー、ってあーそうもしかしてその言い訳のモーガン・フリーマンでございましょうか?

コレ観てるアメリカ人って南北朝鮮の由来とかどれだけ認知してんのかな……とスーパー不安になりますね。っていうかラストの「南北分断とか知らねーけど俺たちは国を守ったし再建の希望がある」って、そういうこといってっからテロ喰らうんでしょうに……ヤバすぎだろ……

 

とまあ、別に政治的に色々主張があるわけでもない自分でさえ「うへー!」と悲鳴を上げてしまう作品でしたが、展開的には妙な引き込む力があり、なんか知らんけど2時間集中力切らさずに見られるのだった。色々伏線が台無しで、無駄に息子を探させてみたり、息子のホワイトハウス知識がほとんど生きなかったり、元同僚の裏切りも速攻バレたり、ケルベロスパスワードはブルートフォースアタックで呆気なくクリアされちゃったり、もうそういうツッコミどころを楽しむ映画なんだろうなきっと、うん。

ワレサ 連帯の男

 

ワレサ 連帯の男 [DVD]

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灰とダイヤモンド』観てないのだよなあ。というか観ている映画がちょっとエンタメに寄りすぎてて、もっとこういう映画の見方も覚えねばなーと思いながら観た。

というのもちょっとたるいというか、どう見りゃ良いのかあんまりよくわからんなーというのが正直なところ。そもそもバックグラウンドをあんまり良く知っていないのが結構な障害になっている気もする。ワレサって人の事も全然記憶になかったし、そもそもポーランドに対する知識がなさ過ぎる。こないだちょうど世界遺産で「ワルシャワ歴史地区」の回を視聴してたんだけど、よく考えりゃそれってソビエトの影響下で行われた事業だったわけでしょ? いやあ、全然頭から外れてました。迂闊。なんでポーランドってそんなにカトリックが多いの? ってところから全然知識がないもんなあ。ドイツとロシアに色々ちょっかい出された国、っていうイメージだけど、プロテスタントギリシア正教の間にカトリックが挟まってんのかー、というのが素直に驚き。

映画全体を通して印象に残ったのは女性の強さで、いやホントあの妻すごいよなあ。あの極端に映画の役割を演じすぎない妻の立ち位置がとても良い。留置所での授乳やら入国検査やら、印象が残るシーンが結構女性率が高いよね。そもそもインタビュアーが強そうだし。

にしても冒頭で大量に出てきたロゴ? あれなんて言うの? の数が多くてビックリした。

下読み男子と投稿女子 -優しい空が見た、内気な海の話。

 

下読み男子と投稿女子 -優しい空が見た、内気な海の話。 (ファミ通文庫)

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ラノベに関するラノベ作品は普通にあるけれど、職業ものとしてリアリティを扱いかねてるなーと言う作品はかなり多い。いやまああなたはラノベ作品を世の中に送り出している立場ですから、その業界の酸いも甘いもかみ分けており、自虐ネタ無しにそのジャンルについてのフィクションを描けないのかもしれませんし、その自虐こそが職業もの特有の作品の面白味と考えているのかもしれませんけど、他人の愚痴って本人が思っているほど面白くないものですからね? みたいなヤツ。「ぶっちゃけコレって自分の一番楽な題材を美少女に包んでラノベパッケージングしてやっただけだよね」って実際思いません? オレだけ?

ほら、例えばマンガマンガがあるわけじゃないですか。『まんが道』とかさ。アレ、もちろんリアリティがあって「へーあの面白いマンガの制作の裏側にはこんなギリギリのリアリティがあるのか……」みたいな驚きは確かにある。あるんだけど、それに説得力を与えてるのって、やっぱりマンガという表現に対する信頼というか、信仰なワケじゃないですか。「マンガは面白い」――そのシンプルにして強固な信念が、自虐への強烈なカウンターとして機能しているから、エンターテインメントたり得るわけで。

「ラノベラノベの作者って、ラノベをどこまで信仰できてるの?」ってのは、私常々疑問だったわけです。

でまあようやく『下読み男子と投稿女子』の話ですけど、いや、その信仰が描けている時点でもう満点ですね。物語を読むことが喜びである、ライトノベルというジャンルが素晴らしい、という主人公の感情がビリビリ伝わってくるその描写だけで、私ちょっとアレな話なんですが、ボロボロ涙が止まりませんでした。別にさ、全てを肯定的に描く必要はないと思うけど、フィクションとしてエンターテインメントとして、美しく表現されるべきものを美しく描くことは必要だし、それって書き手のジャンルへの信頼を映してしまう気がするんだよねえ。

作品として見たときには、祖母との和解させ展開とかは結構物語の構造に寄りかかって無理矢理解決させてる感があるなあとか、虚構との二重構造は強力過ぎるが故にちょっとやりすぎかなあ、とかそういう感じもしなくもないけれども、最後の和解のきっかけが時間差の評価シートとか、そういうスーパー気が利いた小道具とかも抜群に上手く、大変気持ち良く読み終えられた作品でございました。

アメリカン・ハッスル

 

アメリカン・ハッスル スペシャル・プライス [Blu-ray]

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何はともあれクリスチャン・ベイルの下っ腹で大爆笑する。いやーすごいすごい。そりゃああんなだらしない姿をだらしない格好で撮りたくなるわ、アレ。

ちょっと長めの映画で、映像的に派手なシーンだってほとんどなく、例えば音楽だって終始スーパー控えめなんだけれども、もう全く目が離せない。騙し騙されの話ではあるんだけど、金をだまし取るため……とかいうのよりも、むしろ愛を巡った騙し合いの方が前面に出ているのが最高にエキサイティング。

出会いのシーンでは「え? この人が主演女優なの? あんまり魅力的には思えないなあ……」と思ってた相棒が、主人公の愛を勝ち取るためにFBIと付き合い始めたときはかなりの鳥肌だったのだけれども、それが嫁と対峙するあのシーンの迫力ったらそれに輪をかけてすごい。っつーか嫁の尻上がりに存在感が高まっていく感じヤバイ。マフィア軍団に単身乗り込んでいくあの驚きったら!

しかしまあ表面上のストーリーを引っ張っている「善人を騙す」という構図こそがこの映画のキモで、市長との家族ぐるみの交流が最高に良く描けてるよなあ。どちらかというと破綻のシーンの方が好きで、感情を必死に押さえて殴るに止める感じ、それを後ろの方でじっと家族が見つめている感じ、あのやるせなさが最高に好きです。

いやーぱっと見地味だけど、大変面白い映画だった。

素晴らしき哉、人生!

 

素晴らしき哉、人生!  Blu-ray

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ずっと見なきゃ見なきゃと思っていてようやく見たのだった。

いやねー良い映画なんですよ。すごく良い映画。テーマははっきりしているし台詞のやり取りは気が利いているしエピソードのつくりはとても良い。子どもの所在を花片の有無で暗示する下りとか、もうあまりにも良すぎてビックリしちゃうね。色んな人が名画として名前を挙げているのはよくわかる。わかるよ。わかるんだけどね。

 

俺、この映画の後半の展開思いっきり気に食わねえわ。

 

いやまあ、ifの世界が出てきたときに「あー嫌な予感がするなあ」ってのは感じてたんだけどね、あそこの世界で「主人公がいないことで幸せになった人物」が徹底的に描写を避けられているのは、あまりに恣意的ではっきり引く。なんて主人公に都合のいい世界!! 最後の望みだった妻が独身で画面に現れたときは、もうね、なんつーかその、「Kanon問題はここにあったんだ!!」って感じで爆笑しちゃったよ。

結局さ、主人公には様々な困難が襲いかかるけど、その困難って正しい道を選ぶか誤った道を選ぶかの二択で、主人公はいつも正しい道を選ぶのよね。でもそこには、少なくとも「選択肢」が提示されていて、そこで彼は正しい道を選びました、だから世界は正しい形であるのです、という道理に沿って構築されている。彼は主人公であるという祝福を、この映画の世界から与えられている。

選択肢を与えられない場所で、彼はどんな行動を取れた? 家族に当たり散らし、酒に溺れ、自殺を試みるという、ごく当たり前の行動しか取れない。そういう意味では、主人公が甘えを許された世界ではあるよねえ。

 

でも、本当に人の心を打つのは、その選択肢さえ与えられていない人間が、どうやって世界に相対するかってことの方なんじゃないのかなあ。だからこそこの映画では、選択肢が与えられていない場所から奇跡を起こす役割を与えられた妻こそが、魅力的に感じられちゃう。ま、しょうがないよね。ラストの寄付金のきっかけもミラクルだけど、やっぱりハネムーンのアレ、あの逆転ホームランを打たれちゃったら、もう惚れますわ。

はじまりのうた BEGIN AGAIN

 

ストーリー的には本当にたわいもない話で、興味を剥がさないために時系列を弄って所々回想を挟めなきゃいけないくらいなんだけど、いやでも今思い返すと適切にキャラクターへの興味を呼び込んでいて良い変更だよなあ。恋愛関係と親子関係を並列に走らせてきちんと物語に結末を儲けるメインのストーリーラインも、奇をてらわずに本当に適切。素晴らしい。

ほいでもってちゃんとストーリーに引き込んでから、きちんとこの映画ならではのマジックが機能していて、それは脳内で始まるアレンジだったり、外でゲリラ的に録るアルバムだったり、留守電に吹き込む即興曲だったり、あとは二股で聴くプレイリストのシーンであったり……この映画ならではの素敵なアイディアをコレだけ入れられたら、もう大満足でございます。

にしてもなー、二股イヤホンのシーンは本当にハッとさせられたなあ。日常の風景に音楽を載せることで全く別の意味を持たせる、っていうのはある種の編集なんだけど、その編集作業を恋人同士で聴くことで、ふたりにしか見えない世界の切り取り方が可能になるわけで、いやそりゃすばらしく雰囲気が出るよね、うん。

地雷を踏んだらサヨウナラ

 

地雷を踏んだらサヨウナラ [DVD]

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いやー浅野忠信すごいなあ。子どもとはしゃぐシーンをこんな風に撮れるんだからなあ。すごいなあ。浅野忠信を堪能する映画でありました。

映画自体はあまり良く撮れているとは思えなくて、実在の人物の映画化にちょっと戸惑っている感じ。映画として最も劇的であるだろう地雷シーンのために、耳が聞こえないという点をことのほか強調して、なおかつ木にあんなわかりやすく登らせた上、最後スローモーションで走らせちゃうってのは、なんかこうあまりにもみっともなさ過ぎないだろうか。ラストの『明日に向って撃て!』も、もうなんかやり過ぎで見ていられない。主人公の内面をもっとじっくり描いて共感できていたら、また感じ方も違っていたのかもしれないけれど、基本的には無鉄砲に戦場で自業自得の写真を撮り続ける若者、くらいの見え方しかしなかったからなあ。うーん……

ところで、冒頭のベトナム戦争コラージュシーンが、いやあ別に色んな映画で使われている手法でそんなに戸惑うはずじゃないんだけど、なんかこう微妙に乗り切れない。何が違うんだろうアレ。