ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

シン・シティ 復讐の女神

 

シン・シティ』は映画館で見たので記憶が遙か彼方で内容もすっかり忘れてるんだけれども、この作品単体に限ってみるとちょっととりとめがないよなあ。一応連作短編形式ではあるのだけど、それぞれの復讐が「シン・シティ」という共通の場によって辛うじて関連性を持っているだけで、パッチワーク感が否めないというか。別にこれらの作品をひとつにまとめて映画作品にする必要ってあるの? という感じ。魔性の女なり市長なり、中心に据えて物語を語る余地が充分にあるように思えるからこそ、それらが分断されて普通の復讐譚にまとめられてしまっているのが惜しい。こんなにキャラを使い捨てにする必要ないよなあ。その分1キャラずつの彫り込みが浅くて、切り取った思わせぶりな言葉が浮いちゃっている気もする。いやー、どうなんだろうなあコレ。まあ、ロバート・ロドリゲス監督の続編だからなあ、こんなもんなのかなあ。

それにしても相変わらずOPタイトルはかっこよくて、あのアメコミ調CGにバシッと字幕が決まるあの映像を見られただけで満足、というのはある。

 

カエアンの聖衣

 

あ、これ新訳版で、出たのはだいぶ前だったのね。そうか全然気づかなかった。いや、内容が普遍的というか、時間を経ても古さを感じさせない内容だったんだろうけど。

そこら辺も含めてなんかこう読み方が違ってたのかなーという感じは全体的にあって、ワイドスクリーン・バロックってのがそもそも全然ピンと来ていない。Wikipediaで「主な作品」を見ても未読の作品ばっかりで、手をつけてないことを恥じ入るばかりでございます。でもなー、別に呼んでて今まで知ってるSFとそう明瞭に区別するないようだったようには思えないんだよなー。服が知性を持つとか、宇宙を股にかけて泥棒するとか、学術調査で種族の起源を探るとか、あと例によって圧巻の刑務所脱出シーンとか。「おーそうそうSFってこれこれ」感は普通にあって、なにも考えずに楽しめたのでした。

でもまあ、中島かずきの解説で「キルラキル」が取り上げられてて、あーなるほどそーかそーかと納得。作品的には映像がガーッとなっててそこまでSF成分が生きているようには思ってなかったんだけど、そこは確かにテーマとして面白いところよねえ。

トロピック・サンダー/史上最低の作戦

 

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なんなのこの豪華キャスト、ってかトム・クルーズ。なんかやけに説得力のある富豪だなーと思ったらまさかのトム・クルーズ。もうあのキレキレのダンスを見られただけで大満足の映画。オマケにやけに挿入歌が豪華で、しかも過去の名画のあれやこれやを何の意味があるのかわからんけどとりあえずつっこんであるわけで、その豪華さにとにかく圧倒されてしまいます。無論ベトナム映画のパロディもちょこちょこ差し込んできますね。

あーでもこういう映画にしてはちょっと頭が良すぎるというか、はっちゃけ度合いが足りない感じもしなくはない。ドラッグとかの下りもうちょっとアホくさくやってもいいと思うんだけど、そこをめまいズームでスマートにやっちゃってて、いやまあきちんと決まってはいるんだけど、もっとアホみたいに誇張しても良いんじゃないのかなあ。障害者を題材にしている映画のギャグも、まあ確かにツッコんではいるんだけど、良心的な範囲に収まってるような……そういうところに全力でケンカを売りに行って欲しかった感じは、正直ある。

あとなー、脚本としては普通の友情物語に話が回収されてしまって、虚実の入り交じった舞台設定を生かし切れてなかったのはちょっと残念かなあと思う。もしかしたらもうちょっと謎の感動を呼び起こせたんじゃないのかしら。

ポリスアカデミー

 

いやーなんだこの脱力感。コメディなんだけど、全体的にアイディアの数はそんなに多くなく、編集も散漫な印象があるんだけど、むしろその牧歌的な感じがこの映画のトーンと合っていて全然悪くないっつーか。序盤でちゃんとそれぞれのコンプレックスを店ながら、最終的には流れでそれを回収してしまうというもうなんかこうどうしようもないストーリーテリングも含めて、このタルさは全然悪くないですね。上映時間も適切。

序盤は大量にキャラクターが出てきて果たして彼らを捌けるのかと心配だったけど、もう全然杞憂でした。っていうかキャラクターを立たせるためだけの小話を延々続けた感じだからまあ当然か。しかしなんだ、ヒロインっつーか、あの金持ちの娘だけがなんかキャラ薄かったよね。もう少し役割厚く振ってあげても良かったよね。

しかし演台のフェラシーンは爆笑ですね。っつーかカラオケ歌う番組とかあったよね確か。普遍的なギャグなんだなあ。

NO (ノー)

 

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最初は「なんかこれまた大丈夫か見てて辛い映画ではないのか」と思ったが、見るうちにだんだん慣れてくる……というか、意図的な見づらさであることがわかって全然普通に見られる。これ、きっと当時の映像とかに合わせてこういう絵作りしてるんだよね。最初は低予算なのかと思ったけど、CMのクオリティが結構なもので、いやこういう手間のかけ方なら全然嫌いじゃないです。

映画はピノチェト政権の史実を下敷きにしているらしく、南米の独裁政権の辺りを世界史の知識総動員で振り返ったりするんだけど、いやしかしこの映画の中のプロパガンダをどう受け止めていいかとか、資本主義のコマーシャリズムがどれだけ輝かしく見えたかとか、そこら辺の感覚がイマイチわからないのが残念だよなあ。80年代のコーラのCMの需要のされ方とか全然ピンとこないもん。カウンターで上司が打つYESがどれだけ気が利いているか、とかがわからんので、どうやって見ればいいのかちょっと迷う。

しかしなんであんなにハレーションすんのか。もうこれでもかと言わんばかりのハレーションに、いやまあもちろん効果はわかるんだけど、どーもこう押しつけがましさを感じてしまった。

あ、あと子役可愛いですね。

 

インクレディブル・ハルク

 

いやーひどい。見てらんない。

冒頭の実験をダイジェスト気味にすっ飛ばしたんだからさー、そこもうそんなに詳しく説明してもらわなくても全然オッケーでしょ。ライバル出して、ライバルも注射して、みたいないちいち言わんでも出た瞬間にわかる展開をくどくどくどくど丁寧にやられて呆れる。見せ方も呆れるくらいベタベタで、感情が高ぶるたびに突然の雨が降りだしてもう笑ってしまうよ。この映画の語りで唯一意外性があったのってスタン・リー登場シーンではなかろーか。

しかしそれでハルクの活躍シーンにカタルシスがあるかというと全然そういうことはなく、まあ結局CGがメチャクチャアクションしてもそれが説得力を持つのって難しいよなあ、という感じ。裸というのもたぶん微妙に効いていて、ふたりの対決シーンに全く迫力が感じられなくてツラい。最初の工場はまだギリギリみれたけど、他のシーンのアイディアのなさはちょっとどーなんだ。キャンパスの芝生の上とか、あんな明るいところでバトルしてどーすんの? ラストのハーレムでの戦いだって、おいココどこだよ? って感じになるし……ってか一般人いつまで逃げ惑ってんだ。

アベンジャーズ』のハルクシーンはとても爽快だっただけに、あーもう、なんだかなーという感じでした。

マイ・インターン

 

ロバート・デ・ニーロがこういう役をやるのか。なんかそれだけで笑ってしまいますね。普通ロバート・デ・ニーロだしホントにこの役柄でオッケーなのかなあ集中できるかな、と不安だったのだけれども、そこはさすがに名優だなあ。老いを適切な形で演じていて、大変大変参りました。ジャック・ニコルソンやらクリント・イーストウッドやら、名優はきちんとプランを持って自分の老いをフィルムに焼き付けるんだなあという感じ。

映画自体もかなり好感が持てて、ちゃんとソツなく面白い。最初距離の置き方に戸惑うふたりが、距離を詰めていくプロセスは適切だし、雑多なエピソードで散漫になりそうな映画全体を、後半の浮気問題に収斂させたのは見事。あとは「かつてこの工場で働いていた」というエピソードがマジックだよなあ。具体的に何かがあるわけではないけれども、その奇跡的な巡り合わせを明かすことで、ふたりの仲が決定的に深まるという非論理的な説得力がたまらん。

にしてもこの主人公のストレスフリーさはビックリである。ロバート・デ・ニーロが老いて新しい職場やPCやらに苦戦する様子が見たくない、という気持ちは確かにあるし、そこを編集やら何やらですっ飛ばして表現するのは確かにアリなんだけど、えーと、ああそうかこれはアレか、異世界転生のストレスフリーさに似てんのか。違うか。何にせよ、『プラダを着た悪魔』だと、そのストレスフリーさがファッションという価値観への軽視に繋がりかねないつくりだったから嫌だっただけど、このつくりだと別にそういう反感はありませんでした。