ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ONCE ダブリンの街角で

 

いくらインディーズで映画がたくさん取られているからといってもさすがにこれはきついなーというのが第一印象で、いや今日日そこらのYouTuberでも鑑賞に堪える絵作りするでしょう、みたいなところに意識を持って行かれて最初は全然乗れなかった。冒頭の出会いの切り返しの流れとか、あまりにもこなれてない編集で笑ってしまう。掃除機を引きながらの最初のデートとか、まあ狙ってるところはわからんでもないけどさー、見せ方が見せ方なんでわざとらしさにちょっと冷めるよねえ、という感じ。いいシーンでもいちいち映像のこなれなさに意識を持って行かれるのはツラい。ストーリーもあってないようなもので、はっきり言って見ていてつらい……

のだけれど、主人公が歌い出すと一気に目が覚めてテンション上がって見入ってしまう。なんだかんだ言って歌の説得力ってすげーなーと思う。冴えない男が顔芸しながらシャウトして失恋の歌を披露する、それだけで、イマイチ締まんねーなと思っていた映画が「あーうんこの楽曲が中心なら許せるかも」と変わってしまうんだからもうなんかズルいよなあ……

極道の妻たち

 

極道の妻たち [DVD]

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メインのプロットの偶然性がヤバくて、いや関係性つくりたいのはわかるけどホントにそれでいいの? という懸念が全く拭えなかった。さすがにグァムで偶然出会うのはやり過ぎじゃないかなあ。そういうところに意識を引っ張られるような作品じゃないのはわかってるんだけど、登場人物が少なく濃密な関係性を描く作品だからこそ、やっぱり気になるなあこれ。

さすがに岩下志麻の演技は迫力があって、いやーこれすげえ説得力だなあと感心する。というか終始岩下志麻で保ってる感じ。シリーズになるにはこのくらいのキャラ立ちがないとやっぱりダメなんだなあ。

それに比べると妹側のドラマが弱くて、いやあんなグアムきっかけでいいのかー。のだけど、あそこからキャットファイトまで持っていくのはすごいなあ。鬼気迫るふたりの演技に「ひえええええ!」と声が出る。そっからラストのラブシーンの流れもまあ素晴らしくて、ラストのポーンと放り出された感じはたまんないなあ。

あと成田三樹夫の役柄が新鮮で、子煩悩な親分の姿を見ているだけでニヤニヤしました。

Shame

 

前に見たことがある気もするけれども全然印象が残ってなくてまあでもこの内容じゃしょうがないかーと思う。たるい。オレの読解力が問題なのか。いやしかし被写界深度浅くしていい雰囲気で撮られても、ウーン俺にはこの映像にたっぷりと浸る精神的な余裕は全くなかった。

いやーセックス依存症の主人公の苦悩とかそんなに苦悩なのか。生活もそこまで極端に破綻しているわけでもなくて、妹との関係もまあまあそんなもんだよねってかんじで、うーん俺はこの映画のどこにフォーカスしていいのかよくわからん。執拗なエロシーンをじっくり堪能すればいいのか。うーん。

妹のリストカットを知るパートが人身事故から、っていうのはなんか言語化しづらいけれども納得するしいいなあと思う。

あと『アメリカン・コミュニティ』を読んだばっかりだったので、LAの車社会でバスに乗ることに驚くパートが理解できて謎の満足感があった。普段映画見てるとこういう細部を見落としてんだろうなあ。

アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所

 

大統領選以降のアメリカを探るシリーズ。色々見たり読んだりしたけれども、これが一番今の状況をうまく説明できる気がする。

まず一番驚いたのが「ゲーティッドコミュニティ」のカジュアルさ。どことなく話では聞いたことがあって、「へーアメリカって富裕層がそこまでやるのかやべーな……」とか漠然と思っていたんだけれども、この本によるとゲーティッドコミュニティはかなりたくさんあるらしい。家もそんなに高すぎはしないらしい。マジか。でも市民の自治の意識が日本なんかのあり方とは全く別レベルで高いのは、アメリカという国家の成り立ちを考えればなるほど納得できるよなあ。

最後にまとめられているように、9のコミュニティはそれぞれ様々な意味で象徴的であり、いやこんなに多様性があるのは確かに面白いなあ。普段ハリウッド映画からは見えてこない衰退していく地方の状況もきちんと押さえてあって、そうそうこういうのが読みたかったんだよって言う感じ。

あとは政治だなあ。どの地域にも経済の問題が密接に絡むというのはまあ納得だけれども、ことある毎に共和党民主党への言及が挟まって、あー二大政党制ってこんなにも地域に根ざしてるんだなあと改めて納得。

しかし文章がとても気持ち良くて、それぞれの章の冒頭と末尾、筆者がコミュニティにやってきて出て行くパートの随筆が大変良い。

 

イエスマン "YES"は人生のパスワード

 

このジャケットが良くないんじゃないかなあ。なんか想像していたのよりもずっと洒脱で愉快な作品で、今までなんとなく避けていたのを後悔するデキだった。

いやね、最初に「イエス」と言い始めるきっかけのエピソードが迫力不足なのは大変残念だし、それ以降のストーリーもまあ大体のところが想像できるし、エピソードそれぞれの切れ味はそんなにあるわけじゃないし、とまあ大満足とは言えない部分もたくさんある。

あるんだけど、はいごめんなさい、ちょっとヒロインが悪魔的にかわいすぎて私負けましたわ。なんなのあのコ。登場のバイクのエピソードは「素敵だけどやり過ぎだけど素敵ですね」って感じだし、再会のバンドの歌がもう本当に素晴らしすぎて延々リピードしたいくらいだし、ってか旅行の時の赤線の入ったあの衣装が最高にかわいい。やばい。あのヒロインが動いているのを見るだけで、この映画を再生した甲斐がありました。大満足。

マッケンナの黄金

 

なんか色々飛ばしてんなーこの映画。冒頭いきなり歌詞入りの曲をたっぷり聴かされるところから「尋常じゃない作品だ!」とは思ったけど、なんつーかとにかくクドい。そこそこカメラが面白いんだけど、「ホラ見ろこんなにたっぷりとこの迫力ある映像を見せてやるぜ!」ってやられると食傷気味になるよね。あんだけ迫力たっぷりに筏下りの滝をカット割りした後、川へと飛び込むと意外に緩い流れの引きの画になっちゃうのは、さすがに詐欺過ぎでしょ。吊り橋とか、囮脱出とか、何かあるのかと思わせて全く意味のないシーンは連続し、挙げ句人を増やしてから騎兵隊突入で一気に頭数を減らすというアクロバティックな脚本! いやはや、なんなんですかねコレ。ラストシーンで崖上りしたのも全くその必然性がわからんし、上で殴り合った後なんとなく降りてしまうあの展開には爆笑した。立て付けから言うともっと面白く見れてもいいはずなんだけどなー、残念だなあ。

しかし、西部劇でこういうテイストの作品があるのはちょっと発見というか、黄金巡って大冒険してラストで崖まで崩しちゃおうなんて「インディージョーンズかよ!」みたいな作品があるのはちょっと面白かった。

好敵手 世紀のテレビ討論

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討論番組のイメージって「朝まで生テレビ」なんだけれども、それってもう気付いた時にはフォーマットとして確立されているものだったし、どういうきっかけでそういった形式の番組が生まれたかなんて想像したこともなかった。いやまあなんとなく田原総一朗がジャーナリストとして破天荒でなにがしかを打ち立てた人なんだろうなあ、というイメージはあるんだけど、そもそも何と戦っていたかとかを想像したことはないワケで。

アメリカの選挙番組を一変させたふたりの討論、というのはなるほどそういう歴史の転機がキッチリあるからこそ今の討論番組が成立してるのかあ、と漠然と想像させてくれるだけの説得力がある。というか説得力がありすぎて笑ってしまう。こんな劇的な討論が行われていいのかしら。

ただ、そもそもアメリカ大統領選がどういう手続きかとか詳しくは知らなず、当時の社会情勢もなんとなく想像するだけで、討論がどれだけ刺激的な内容だったかは拙い知識から予想するしかなく、うーんだいぶニュアンスを見落としてそうで残念ではある。

 

しかしなあ、『俺たちニュースキャスター』でもアンカーマンという存在がクローズアップされてたけど、この時代のニュースって今の自分たちが想像するニュースと全然違うんだろうなあ。久米宏がいかに偉大だったかとか、なんとなく「すごいことをした人だ」って称える感じは伝わるけど、具体的に何がスゴイのかってわからんもんなあ。