征服娘。 (集英社スーパーダッシュ文庫 (か12-1))
posted with amazlet on 08.02.10
文化で征服という明言をしてしまって、武力衝突があって、しかも経済的問題も陶然関わってくるだろうし、この風呂敷の広げっぷりは大丈夫か。無論根っこにあるのは自己実現なのかも知れないけど、でもそれだけで済む話じゃあない印象。
物怖じせずよくこのモチーフを取り上げたなあ、と最初は思ったが、しかしヴェネツィアという固有名詞を使わなかったのが吉と出るか凶と出るか。正直この内容であれば背景に実在の時代的バックボーンをおいた方が面白いように思える。それをせずにファンタジー世界で話を進めるのは中高生向けにはプラスに働くのか。ただ名前を変えただけ、というのであれば個人的に残念。
自分の拙い世界史知識では喜望峰発見されてたら地中海は衰退するわけで。どうするのか。フォークを持ち込み毒殺か。それはフィレンツェだ。
やや作品内での固有名詞が多すぎる感があり、バックボーンが読めない中高生はこれでわかんのか? という気はする。
とりあえず主人公を好意的に描くことに成功していて良い。父親から科せられるだろう挫折が楽しみ(父親に死亡フラグが立っているので、絶対に超えられない死者という力石ポジションになるのか)。