ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

トロン:レガシー

 

トロン:レガシー [Blu-ray]

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  • ジェフ・ブリッジス
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ジェフ・ブリッジスのかっこいいビジュアルとダフト・パンクの音楽を聴く映画であった。

っていうか、なんでコレ続編やったんだろうね……オレにはどこが面白いと思ったのか、全然よくわかんなかったよ。オリジナルの方が世の中に大きなインパクトを与えたのはわかるんだけど、それをこの時代にリメイクでやる時、どういう見せ方が最適なのかなぁ。なんかダフト・パンクが落とし所として最適って感じもして、なんかもっとダサかっこいいみたいなところに落とし込めなかったのかなあ。こんなにシリアスな話にしなくても良いのに……父と子の絆、みたいな話を抽象空間でやっても、感情移入に限界がある感じだしさあ。いやまあ、シンプルな話をストレートにやりたかったのだろうけど。こんなの、言ってしまえば何でもアリの世界だからなあ。うーむー。

っていうか、前半からビカビカのテレビドラマっぽい映像のつくりだったのが気になったのかもしれないな。カメラの置き方もライティングの仕方も、全然映画って感じがしなくて「えええ……」となった。この違和感、一体どこから来てんだろうなあ。まあ、そういう絵作り含めて、全体的に全く乗れない映画でございました。

フリー・ガイ

 

うーん、期待したほど面白くないなあ。こういういわゆるメタ物はもう今まで散々やられているわけで、今更単にゲームに生命が発生して現実と虚構の二面作戦で、という枠組みだけじゃあ乗れないよねえ。じゃあそこにプラスアルファでなんの面白味を乗せるのかって話だとは思うんだけれども、うーむ……

例えば直近、『バービー』はフェミニズム的な構図を援用してメタ構造を美味くエンタメに落とし込んでいたけれども、この話ってそういう「ああこれは現実のこの比喩なのね?」みたいな要素がだいぶ薄いよね。

でまあ、それはそれで一つの決断だとは思うし、そういう見立てを割りきってエンタメに徹するという選択もあるとは思うんだけれども、じゃあその純粋なエンタメ勝負でどこまで面白かった? みたいなのはあるかなあ。ってか、メタ的な構造で何かの比喩を語らない、という選択自体が、武器を封印している感があるし。

っていうか、ゲーム内部の視点で物語を語ったのだから、視聴者は現実よりもゲームの方に強く感情移入するべき構造だと思うんだよなあ。でも、仮想現実の良さみたいなのがあまり強く語れないストーリーの流れになっちゃってるし、挙げ句現実のキャラクターと結ばれることはないなんて、当たり前のオチに落ち着いちゃってるし……せっかく色々はっちゃけられる媒体なのに、もったいないなあと思いました。

犬ヶ島

 

おおお……こんなあからさまに、ウェス・アンダーソンが社会風刺をするなんて。いや、今までやってたっけ? なんかそう言うのとは距離がある監督のように思っていたので、ちょっとビックリしてしまったよ。

いやまあしかし、現在のジャニーズ事務所の報道を見ていると、なんかこう、一層身につまされる話でありますね。留学生の活動によってしか機能しないマスコミとか、そんなんBBCの報道を連想せざるをえないじゃないですか。科学者の見解が政府から握り潰されてしまうところとかも、学術会議の任命権の問題なんかを思い出しちゃうしねえ……

いや、もちろんウェス・アンダーソンが日本のそういう諸問題を理解しているとは思わないし、時期的に直接そういう出来事を敷いているのではないのは当然なんだけど、でもね、ここまであからさまにディストピアとして描いた日本が、現実の社会の暗喩であるように思えちゃうのは、いやあ、暗澹たる気持ちにさせられちゃいますね。

あ、作品としては面白かったです。犬が好きなのもあるけれども、今まで見たウェス・アンダーソン作品の中で一番わかりやすくエンタメしてたんじゃないかしら。ニンジャスレイヤー的なヘンテコ日本感もバッチリで、大変楽しませていただきましたよ。

ブラックパンサー

 

やっと観たんだ。世の中的には絶賛されてるのは知ってるんだけど、うーん、そこまでかなあ……いやまあ、確かにこういう角度で作品がつくられたことが評価されるべき、なのかもしれないけれども、映画として良くできているかと言われるとどうも……っていうか、この前に見た『私ときどきレッサーパンダ』が素晴らしすぎたんだよなー。あの映像の密度とか脚本の練られ方を見ちゃうと、マーベルの映画がプログラムピクチャーに見えちゃうよなあ。確かに掛け合いとかスペクタクルの見せ方とか、そつなくそれっぽくとってあるけれども、「映画だ!」って瞬間がないというか、そういう映像の趣向みたいなのが、足りなすぎるんだなあ。

シナリオ的には、なるほどこれならちゃんとお話になる、という内容ではあるんだけれども、根本の「超兵器を持った国が国際社会に出て行く」ってアングルって国際秩序のバランスをあからさまに崩すわけで、そこら辺への危機感をそんな風に説得されちゃっていいの? みたいな気持ちはある。それまで他国の人権問題には不介入だった主人公が、急に介入しなきゃ行けないって思い直したところも、ストーリーとしてはだいぶ不自然だよね。あそこら編、現実に社会的な差別に苦しむ黒人の視点だったらそうなって当然と思うのもわかるんだけれども、でもあの話の設定じゃあ、まだそこまでの流れにならないじゃん? みたいな感じ。そういう意味で、ちょっと障害が茶番臭く感じてしまったよ。

私ときどきレッサーパンダ

 

劇場で公開スルーになったの? ディズニープラスでしかサブスク配信してないのコレ? いやーマジで? 傑作じゃん。Pixarが脚本に力を入れている会社なのは知ってるし、基本的にアベレージも高いけれども、いやー、こんな作品がつくれるなんてなあ。しかも、クリエイターの血がこんなに通った形で……いやあ、ホント最高だと思いますわ。

脚本はホント素晴らしいくて特にオレが今更言うことはねーんだけど、いやー、やっぱりキャラクターが最高に良いよなあ。4人の女の子が、それぞれの個性を発揮しながら、お互いにお互いを尊重して生活している様が、超イキイキと描かれていて……どんだけ頭の良い脚本を作っても、このキャラクターの生きている感じがなければ台無しだよねえコレ。キレキレな動きやら、細かなネタの数々やら、もうそういうのが全部愛おしくて堪らないですよ。いやー、やっぱりこれ、愛だよなぁ、愛。

そしてこれトロントの話なのだよなー。正直あんまりトロントの文化みたいなのがわかってないのだけれども、カナダとアメリカの舞台の違いが作品性になにか影響を与えてたりするんだろうか? 雑に見ていると、西海岸とかそっちの方が舞台になってるのかなーとか思ってたんだけど……

フォードvsフェラーリ

 

うーん、やっぱりジェームズ・マンゴールドは映画が上手いなあ。インディ・ジョーンズはやり過ぎ感があったけど、基本的には好きな監督と思う。

この映画、「フォードvsフェラーリ」ってタイトルでそういう内容を期待してたけども、ストーリー的にはもっと別の対決を描いているよね。マット・デイモンvsクリスチャン・ベールの方がまだイメージに近いか。ともあれ、成功を目指す男が常に争いに巻き込まれなければならない、という話では、ある。

のだけれども、『バービー』見た後だと、主演ふたりの殴り合いのシーン、アレ、笑っちゃいますよね。もちろん、あの短い殴り合いが、お互いに相手への配慮を含んだものであることが、叩き付けるものの選択や相手への気遣いで示されてはいるんだけれども、それを遠くから見守る妻の視線が強烈でねえ。全体が、いかにも「男の映画」ってつくりなだけに、要所要所で存在感を発揮する妻の存在がねえ……ラストシーンの距離の取り方が、いやあ、なんとも言えない……並んでフィニッシュを決めたときの「自分で決めたのよ」の表情があっただけにねえ。

ま、そういうこと考えずに、純粋にエンタメとして良くできてるし、いやあ……やっぱりジェームズ・マンゴールド、映画が上手いよ。

 

マイティ・ソー/ダーク・ワールド

 

いやあ……びっくりするほど詰まらないなあ。マーベルの映画で一番ダメだったかもしれない。

まあ何はともあれ画面が暗くて……いや、別に暗いことが悪いわけじゃないんだけれども、そういうところでガチャガチャやられると、一体何やってんのかよくわかんなかったりするんだよねえ。おかげで眠くて眠くて。ストーリーも同様に起伏が少ないというか、雑というか。前作もそんなに複雑なことをやっているわけじゃないけれども、今作のストーリーの雑さってそれに輪をかけてひどくない? ポータルみたいなヤツが本当に全く意味不明というか、ストーリーの都合によってテキトーなところにできちゃってるというか……惑星直列とかどうでも良い説明でみんなカバーできると思ってんのかしら、アレ……そしてさらに輪をかけて、ヒロインがエーテルに帰省されるくだりとか超テキトーすぎるし。いやホント、脚本家はなにを考えてこんなシナリオにしたんだろ……

前作には二つの世界を巡るギャップのコメディ味も多少あったけれども、そういうのも極端に薄くなったし。ってか、ユニバースの中で、この前にあの天文学者ってなんかあったんだっけ? 継続して登場するキャラの立ち位置も思いっきり変わってるような気がして、いやあ、全然乗れませんでしたわ。