ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

焔のシグナティス

焔のシグナティス (MF文庫J す 4-1)

焔のシグナティス (MF文庫J す 4-1)

冒頭、いきなりゴスロリ服着た火車がヤタガラスを召喚するところからオレはもう頭を抱えてしまった。
嫌だ。嫌だ。本当に嫌だ。

もうね、全員ゴスロリ服着せればいいんですよ。悪魔も吸血鬼も魔法少女も幽霊も幼女も妖怪もみんなみんなみんなゴスロリ服着てツンデレで主人公を振り回せばいいんですよ。アホか。

「異世界からのヒロイン」という設定がある時点で、物語には力学が生まれる。「新たな世界の導き手」「価値観の相違」「無力な自分への諦め/怒り」「異種族の恋」。
で、その「異世界」が「地獄」「魔法界」「あの世」とか細分化されることによって、その力学に微妙な味付けの変化が行われる。というか、味付けが変化されなければ差別化ができない。この小説である意味がない。

物語の歴史は古い。結局根っこにある物語のパターンにそうそう変化が生まれるはずはない。今更新たな発見は希だ。
ディテールを変化させ、その細部から生み出される物語の相互作用こそが、数え切れないほど繰り返されてきた物語を唯一のものにする。


妖怪ヒロインにゴスロリ服を着せることになんの意味があるのか?
妖怪という属性をわかりづらくさせてまで、物語を引き立たせる何かを生み出せるのか?
それとも何も考えていないのか?


確かに、ガジェットの組み合わせで物語りっぽいものは作れる。
けど、人の心に届く物語は、ガジェットの向こう側の意味をきちんと踏まえ、それを意味のある形で再構成させている。

当たり前の話だ。当たり前のはずだ。当たり前のはずなんだけど。