- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2005/12/23
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本多猪四郎監督、橋本忍脚本。
自分が橋本脚本に魅入られるのは、単なる言葉や筋書きでは説明できない情念が、スクリーンからはっきりと感じられるところだ。「砂の器」「切腹」「日本のいちばん長い日」――映画でしか味わえない興奮を、この人の脚本は奇跡のように引き出してみせる。
ところが残念なことに、「太平洋の鷲」は、僕にとって熱中できる映画ではなかった。
もしかしたら、本多猪四郎監督の演出手法が、脚本の意図したテーマにそぐわなかったのかもしれない。やはり特撮はすばらしいが、しかし登場人物の台詞はそれぞれの立ち位置を説明しているだけのように思える箇所も多々あった。
あるいは橋本忍の脚本が、山本五十六という人物を表現し損ねているのかもしれない。この映画の主人公は、余りに神格化されすぎていた。時代の要請からして、そう描かざるを得なかったのかもしれないな、とも感じるほどだ。
以下雑感。
・悠然とゆく零戦の美しさ。CGの進歩とはまた違った感動。
・戦闘シーンにBGMを入れない。当時の観客にとって、戦闘機の爆音こそが、最も心を揺さぶる音だったということなのだろうか。