ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

キングコング:髑髏島の巨神

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これっぽっちものれなくてビックリした。地獄の黙示録パロはオレ観てないのでさっさと観なきゃなーと思ったけどのれないのはたぶんそのせいじゃない。

 

脚本ははっきりひどいと思うんだけど、たぶん根本的には演出とかが全然合ってなくて、カメラとかの時点でもうまるっきり納得がいかない。音楽の使い方とかももうはっきり趣味が違う。なんだろう。エンディング後に見せたサプライズ以外はもうホントに全部ダメだった。

いやまあ脚本レベルでは人間ドラマを書き割りにして怪獣が暴れればオッケーという映画なのか。そうなのか。だったらなんで冒頭であんな社会情勢入れつつ女性カメラマンを入れたのか。最後に照明弾で打ったりなんかしたのか。ウィールミートアゲインで博士の異常な愛情の最終戦争起こるのか。マジか。けどはっきり節操なさ過ぎてオレは大嫌いだ。とりあえず立ち止まってストーリーの段取り台詞をやり取りして全然工夫がないのも最悪。

だけどそのマズさをさらに助長しているのは映像のクソさで、なんでこんなアップの絵の連発で映画を成立させようとかしちゃってるの? 編集もただガチャガチャと情報量を増やして繋ぐだけで、そんなドヤ顔でワケわからん長回しでコングヌー! とやられたってそんなん最初に顔出してるんだし全然衝撃とかないわ! なにそのドリーズームはなんかの目配せ? 何の?

っつーかさ、もうちょっとスカルアイランドを魅力的に見せろよなー。竜の巣を抜けたら出てきたスカルアイランドがいきなりベトナム世界遺産ってそんなん全然目新しくもなんともないわー! 島自体が全然魅力的じゃないから、その王たるコングももう全く魅力的に思えない。エピソードがヘリの下敷き助けとか夜ヌッと現れた鼻タッチとか、もう脚本の工夫がなさ過ぎるにもほどがあるだろ。逆光で仁王立ちしてサミュエル・L・ジャクソンと対峙させてりゃキャラ立つとでも? マジで?

 

もうなんつーかこの落胆はたぶんだいぶピーター・ジャクソンのせいなんだと思う。いやまあPJの偏執的な爆盛りスカルアイランドなんてそりゃまあ期待もしてなかったけどさあ、でもあのフィルムに焼き付けられたキングコングへの異常な愛情が脳裏のどっかに焼き付いちゃっててねえ……

HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス

 

2だからまあしょうがないのかもしれないけれども、1に比べて思いっきりパワーダウンしているなあ……1はそもそも「変態仮面」というどう実写化するのかがよくわからないものが素晴らしいテイストで実写化されていて変態仮面の一挙手一投足に「うおおおお」というワンダーがあったわけだけれども、2はそれだけに頼れない、というかもっと新機軸を打ち出す必要があって、そりゃまあ天狗の面のアクションは大変おもしろくはあったけどそれだけじゃ弱いよね。ブリーフクロスでバチコーン! ほどのインパクトはもうないんだよなあ。その中でもアクションは健闘していて、随所に「わっはっは」と腹を抱える見所がありつつ、アクションとしてすげえ迫力が出ているので、うーんコレは幸せな実写化だなーと感心はさせられるんだけど。でもねー、そのアクションが暴走してラストとんでもないところまで言ってしまう1の迫力にはほど遠いよなあ。

んじゃあストーリーでそこら辺の弱みを補えてるかっていうと、そこもずいぶん弱いんだよなあ。オープニングのパクリが示してるように、仮面ヒーローもののテーマを思いっきりなぞれるはずなのに、踏み込みが全然足りなくて。いやー別に描かなくてもいい作品なのかもしれないけれど。中途半端に裏切りとか入れられても、そこに主人公の苦悩がキッチリ噛み合ってなくて機能していない感じがかなりしました。マンハッタンロープアクションをパクるシーンはもっと気が利いた翻案が欲しいなーって感じがするし、祖父の下りもなー、あまりに適当すぎてなー……

でもエンディング。エンディングカッコいい。かっこよすぎる。1もこんなにかっこよかったっけ? あのエンディングが見れただけでもう大満足ですよ。最高。

 

 

グレースのために

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才能ある新進気鋭のシェフが新しいレストランをオープンする、とまあ言ってしまえばただそれだけの話である。話であるんだけど、うーん、おもしろいなあ。目標のある人間が今までの場所を飛び出して、困難に立ち向かい新たな何かを打ち立てようとする……すごく当たり前のことなんだけど、やっぱりそれってとてもわくわくするし応援したくなるんだなあ。ひとつの店をオープンするに当たってどんな問題が起こりえるのか、というのはちょっと想像力だけでは追っつかないところなので、そこら辺のリアリティがいちいちグサグサ胸に突き刺さる。スタッフを待たせておきながら工期の遅れって、いやーそれきっついよね。

構成的には中盤で差し込まれる父親のエピソードが衝撃的すぎてちょっと想像が追いつかないところがある。途中までシェフの話だったはずなのに、いやなんで急にこんな家庭環境のヘビーな話聞かされてるの? しかも当時の映像残ってるとか、ちょっと生々しすぎでしょう……なんて思いつつ、そこから恩師に繋がって良かった良かった……と胸を撫で下ろす。家庭を上手く保てなかったのは、父親と一緒だもんなあ。そこら辺の構成上の微妙な綾に、最後までドキドキしっぱなしでした。

いやあ、飲食って大変ですね。

戦場にかける橋

 

スペクタクルで高尚なことをやってるのはわかるけど、うーん、こんなに評価が高いのか……もちろん戦争物だし善悪が割り切れない話になるのは全然有り得ると思うんだけど、でもなー、後半の展開どうなんだろうなあ。確かに悲劇的結末ではあるんだけれど、それぞれが背後に負っているものが中途半端な感じがするというか、橋とその爆破という象徴性が帯びる者を彼らの行為が破壊することに、ストーリーを面白くするため以上の意味が見いだせないっていうか……橋で線路を繋ぐという構造が、あんなスットコ決死隊の爆破作戦で壊されちゃっていいのかなあ? うーん、わからん。

一方序盤の展開はストーリーとしては大変面白いのだけれども、ちょっとタルくないかなあというのが正直なところで、たっぷり撮りすぎじゃないかなあ。ジャングルの収容所は確かにエキゾチックではあるけれども、あの長尺を保たせるには映像的な変化が乏しすぎるような……『アラビアのロレンス』だって色々長尺な作品だけど、映像の端々から伝わってくるスペクタクル観が保たせてるわけじゃないですか。小さな点が人間になってやってくるまでジッと画面を見入っちゃう。そういう映像的な強度が足りてるようには思えないんだよなあ……

マミー

 

Mommy/マミー [DVD]

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とにかく正方形の画面がきつい。もちろん正方形だからこそ取れるカットも随所にあって、それはそれで大変印象的に描かれていると思うんだけども、基本的に会話なんかのシーンが大変ツラく、いわゆる日の丸構図? 的なものになりがちで、するとどうも対話シーンは単調になっちゃう感じが否めない。まあそれはそれで独特の効果が出ているのかなーと思わなくもないけどデメリットの方が大きくないかなあ。突然始まる横長シークエンスとクッソわざとらしく狭まる額縁も、まあ確かにやりたいことはわかるんだけどちょっとわざとらしすぎて好きじゃないですね。っつかなんで現実に戻るところをゆっくり狭めたんだろう。アレちょっと下品じゃないですか?

とまあ演出には文句タラタラですが、基本的には救いようのない日常をどう生きるかというお話で、そういう意味では役者が健闘してるよなあ。正方形の画面で切り取られると、どうしてもその役者の芝居に視点が行かざるを得ないわけで。先生を送り出した後のマミーのあのカットは、突然年老いた感じに見せつつ迫力のある芝居で、もう釘付けで見入ってしまいました。

でもそしたらあのラストはどうなんだろう。まあ施設の性質からいって強化ガラスだろうしたぶん飛び出すことって不可能だよねえ。あそこから横長シークエンスがもう一度展開したらちょっと感動的だったかもしれない、とかはちょっと思った。

おいしい生活

 

おいしい生活 (字幕版)
 

え? 何? なんなのこのジャケット? なんか全然映画のイメージと違うんだけど。

ウディ・アレン作品はまあ思い出したようにちょこちょこ観るくらいだけど、ここまでコメディに振った作品って記憶にないかもしれない。なんと言っても「1年後」が出る前の展開が最高。フランチャイズってすげーなー。後半のストーリーはまあわかりやすいと言えばわかりやすいんだけど、ちょっと展開に乏しいかなあ、という感じはする。

するんだけど、まあこの作品の場合ストーリーなんてある種の添え物で、主演ふたりの丁々発止を楽しみなさい! って映画なんだろうなあ。とにかく妻の存在感がすごい。冒頭のせっかくのチョコレートエピソードをベッド上の寝そべりで意識の彼方に放り投げて、狭い自宅での長回し口論! 部屋の中に曲者が次々押しかけるが、そんなのお構いなしにクッキー焼き続ける妻!「私は誰に何言われても平気!!!今日ね、旦那にクッキー焼くの!!!誰が私を何て言おうが私は旦那にクッキー焼かなきゃいけないわけ!!!!誰も私を止められないの!!!!アンタもそうやって生きていきな!!!」ってコピペが脳内をぐるぐる回る!

しかしウディ・アレンの映画を観ていつも思うのはニュアンスが拾いきれなくてもったいないなーというとこで、あの夫婦の会話は文化的背景を知ればもっと楽しめるんだろうなー。今でも充分楽しくはあるんだけど。オレも教養身につけよう……

ミセス・ダウト

 

トッツィー』見たばっかりなんで比較して見れて面白い。どちらも役者の女装モノで、ダスティン・ホフマンロビン・ウィリアムズががっぷり四つって感じですね。

脚本のデキからすると『トッツィー』の方がよくできている感じもして、ウーマンリブを絡めつつ作中作を上手く利用しクライマックスの盛り上がりに向けてストーリーを展開させるのは改めてすごいなーと思い知らされる。一方こっちの『ミセス・ダウト』の脚本は、構成上の美しさと言うよりもむしろもっと原始的な「秘密の情報開示」を軸に回っていて、いつバレるのバレないの? のドキドキがメチャクチャ協力に機能している。顔マスクという発明がまさかここまで有効に機能するなんてなーと最後まで感心しておりました。

作品としてはたぶん『トッツィー』の方が完成度が高い気もするけど、どっちの映画の方が好きかと聞かれれば、オレは迷いながらも『ミセス・ダウト』を選ぶんじゃないかと思う。どちらも虚構によって救われた物語なのは変わらないが、『トッツィー』のラストはフィクションの人格を過去のものとしてハッピーエンドを掴み取ってる展開で、オレはどうも嘘くさいなーと思ってしまうのだ。『ミセス・ダウト』の問題は完璧には解決しないが、それでもフィクションが現実の苦しみをほんの少しだけ支えてくれる。そういうエンディングの方が、虚構を内側に含んだ作品としてはグッとくるんだよね。