話題になってたんでさすがにね……
まー丁寧に本歌取りしているなあという感じ。フィクションとしての『かぐや姫』をVR空間で本歌取りして、そこでのバッドエンドが現実でのハッピーエンドでひっくり返される構造は強固だし良いなあと思う。女性が社畜になっていく比喩と、その救済としての音楽、という構造もシンプルで良いし、疑似の親子関係を築くのも特に前半機能しているように思う。
ただまあタイムスリップの要素は果たして……という感じは正直する。社畜の社会に戻った人間が、奇跡を起こす歌で逆に影響を受けて社畜を卒業、というところまではギリ良いとして、そこから先の展開がちょっと飲み込めない。というか時を超えて再開した声が早見沙織じゃん? やっぱ魂って声に宿るように感じてしまうところはあって、同一人物と言われてもなかなか肌感として飲み込めないところがあった。
あと、せっかく時を超えてロリババアになったのだから、もうすこしヤチヨと人間の死に対しての関係性を深掘りしても良かったのではないか。主人公の母子関係のシコリも、やはり父親の死に起因しているのだから、永遠の命を持ち様々な人間との別れを繰り返したヤチヨによって、主人公と母親の関係が再解釈される……みたいな展開があった方が合理的なように思う。
まあ、それを考えるとラストはVR世界に味覚を持ち込み、自分もまたあちら側に行く……という形が取れた方が良いのか? まあ喪の仕事でもあるからなかなかそのような結末は難しいよな。でも母親との問題は、もっとわかりやすく解消されても良かったのではないかなあ、とは思う。