なんかPTAっぽくないな。劇伴のせいだろうか。『ダンケルク』みたいにずーっと後ろで音楽が流れてるんだよな。思えばOPのジョギングのカットからかなりわざとらしく感情をかき立てる音楽が流れていて、なんかそういうテーマで作品をつくったんだろうか、という感じはする。過去作もそこそこ見ているけれども、こういうサスペンスっぽい作品はそんなになかった印象だよなあ。
とはいえ映画の筋自体はいかにも監督らしい、一筋縄じゃ行かない感じ。この陰謀論が幅をきかせる時代に、地下組織vs秘密結社みたいな枠組みを投げつけるってスゲー度胸だよな。しかもそこで描かれるのが白人と黒人の恋愛と混血児、麻薬中毒者の父子家庭と托卵! 国境絡めて人種差別も描きつつ、少女が銃を手に富裕層の男性を撃ち殺す! しかも出てくる人間が大抵皆ヤバいというか、何が正義みたいな安易な答えはどこにもねーんだよなあ。フィクションなのを良いことに、混沌の現実を戯画化して、混沌のストーリーを紡いでるのは、いかにもこの監督っぽいですわ。
でまあ、このとっちらかった話の背骨を貫くのが、薬中ディカプリオの娘に対する愛ってのもまた趣深いというか。いや、他にこの展開を収拾する術はなかったんだろうなって感じもする。ラストのチェイスとか、映画の都合みたいなのが展開を左右してて、しかしそれもあって構わない、みたいな気持ちになってしまう。陰謀論が幅をきかせつつある今の世の中だからこそ、こういう作品になったんだろうなー。
いやまあ、しかし話は長いと思いますけどね。