ゲイの話であると同時に難民の話。
まずは難民の現実を描いた話として大変強烈な作品で、それだけでも見る価値があるよなあ。そこにいるのは現実に生きている人間で、人種やナショナリズムといった概念でそれに区切りを設けることが、いかに残酷なことかというのが肌に浸みてわかる。難民として身分を偽ることでそのアイデンティティが剥奪されるくだりはつらい。
のだけれども、主人公の疎外感はゲイというマイノリティのところにも原因があって、二重苦になっているワケだよな。彼は難民として身分を偽る以前に、その性的嗜好において己を偽り続けなければならなかった。
物語としては、家族への性的嗜好のカミングアウトとその受容がひとつのクライマックスとして描かれるわけだけれども、さらに言えばこの映画自体も、彼が難民となったことで失わなければならなかったアイデンティティの回復として機能しているワケか。…匿名を守るためのアニメーションでありながらも、ドキュメンタリーという形式をとらなければならなかったのは、そういうところに必然性があるわけだな……
まあそれにしたってお兄さんがスーパー過ぎて凄い話だわ。
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