ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ケス/KES

 

初期のケン・ローチ。69年からこういう視点の映画を撮っているんだなあ。

いやまあなんというかだいぶしんどい映画で、動物を殺してしまうのはやっぱり良くないよね……コレだけ積んで積んで積んだ後のラストで、救いもなく、しんどい……「ミスト」とかよりも全然しんどいよこれ。

まあでもその良くない展開が必要な映画だというのもよくわかる。実際にこの少年のような現実が日常にあったら、ハヤブサを育てるだけで成長しきってハッピーエンド、という話を描くのは難しいんだろうなあ。

脚本としては、一番面白いはずの、飼育のシーンが飛ばして描かれているのが面白いところだよなあ。映像的に鳥に芝居をつけるのが難しかったという事情もあろうけれども、そのふれあいのシーンで少年が成長していく、というのは普通に考えれば一番おいしいシーンのはずで。

いやでも、そのシーンを飛ばしたからこそ、クラスの中でのハヤブサ飼育のシーンの発表が、めちゃくちゃ効いている展開になっているのもあるんだよなあ。あのシーン、視聴者は生徒として、先生として、飼育の経緯を追体験するわけで。めちゃくちゃトリッキーな構成ではあるけれども、このくらいの距離感があるからこそ、なんとか最後のケスの死も受け入れられるくらいではいられるのかもしれないなあ。