ひえー……川一本でこんな本がかけちまうのかー。「文明史」みたいな括りは大好きだし、最近メソポタミア文明やらなんやらで、人類の始まりの辺りのくだりはよく読んでいるけれども、ここまでダイナミックに人類の歴史を俯瞰させられるとビックリするなー。読み応えもたっぷりで、じっくり堪能させていただきましたよ。
色々面白い話に事欠かず、各章のテーマの展開も大変納得感のあるもので、まあとにかく読んでくれって本ではある。例えば「川の法律的な扱い」辺りのテーマひとつとっても、今まで考えたこともない視点で考え込まされてしまう。日本に住んでいるとそういう感覚が全くないけれども、確かに川は上流下流で国を超えて流れうるものだし、そうすると上流に権力が集中するよなー――と思いきや、海に出るには下流側の協力も必要で、そりゃ確かにそう単純には割り切れませんよね。
あとはダムという仕組みが人類をどのように発展させ、またどのように時代にそぐわなくなっていっているか、というのもなかなか興味深い。昔「ダムから人へ」なんてスローガンがあって、あまり受けが良くなかったような印象はあるけれども、世界の潮流としてはそういう方向に向かっている部分もあるんだなあ。
ただこれから、地球温暖化というやべー未来がほぼ確実に待ち受けているわけで、その中で川の存在がどのように見直されるかは興味の湧くところ。コンクリート建築のインフラを構築し直すタイミングで、こんなに頻繁に異常気象がやってくると、これから100年・それ以上の未来のことも、きちんと考えて文明をデザインしていかなきゃならんのだろうなー。