ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

マダム・イン・ニューヨーク

 

インド映画でフェミニズム的な視点ってそんなに意識したことがなかったけど、ここまでド直球な映画が出ていてちゃんと海外に出ているのは素晴らしいなーと思った。

まあ基本的に異文化に飛び込むことで、周囲との軋轢から自己の姿を見直し、それまで惰性で当たり前だった自分から脱皮する……というのは大変オーソドックスなストーリーの形式だと思うんだけれども、それが「異邦人への見返りを求めない優しさ」によって引き起こされているのがすごくいいんだよなー。アメリカっていう土地が可能にする、ある種理想化された人間の善性だとは思うんだけれども、しかしやっぱり見ず知らずの他者に優しくできるのは、他の動物にはない人という種族の特徴だよなあ、と思わされる。

そしてまた、学ぶことの喜びが、これ以上なくストレートに描かれているのも良いよねえ。娘は普通に英語が話せるし、若い女性には男女間の差異というのはそこまで意識されていないのかもしれないけれども、母親世代でも学ぶことで世界が広がる、というのをここまでストレートに描かれると、大変心に響いてしまいます。

ただまあ、結論がそこまで過激ではないというか、誰かに強い異議申し立てをする形になっていないのは、穏当でありながらも本当にそれでいいのかなあ、とは思ったりもする。自分をひとりの人間として尊重して欲しいという結論に行き着くのは素晴らしいと思うけれども、それが周囲に理解されないとき、彼女はどういう行動を取れるのかなあ、とは思ってしまうよ。